暴発令嬢と完全無欠な王太子殿下

hina

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「殿下。本日は気持ちの良い陽気ですが、ご機嫌はいかがですか?」
レヴィと話していたことを誤魔化すために話題を振る。

「うん? ああ。いいよ。それより、また敬語になってる。ここは廊下だけど、今は私達しかいないから、気楽に話して」
「すみません。慣れなくて……」
「にゃー」
「レヴィ、またお出かけ? 遅くならないうちに帰ってくるのよ」
「にゃ」

ユセル殿下と会って抱き上げていた腕の中からレヴィが抜け出す。


「リリーの使い魔は自由だよね。使い魔と言うより、ただの猫みたいだ」
「あれはあれで凄く優秀なんですよ?」

ユセル殿下がふふっと笑って、レヴィを見送る。
今は猫のレヴィだけど、人間に戻ってレヴィウス様と呼ぶようになる日が早く来て欲しいようなそうでもないような複雑な気持ちで。
人間に戻ったら、接点なんてなくなっちゃうだろう。
レヴィウス様は宮廷魔法使いだし……。


でもレヴィウス様のアドバイスでもどうにもならない暴発をまずはどうにかしたい。

「リリーは今日も鍛錬場に行っていたみたいだね。どうだった?」
「今日も成果なし、です……」
「魔法は放出も難しいところなんだけど、リリーはその放出がどうしても派手になっちゃうんだろうね」
「なぜなんでしょうか……」
「イメージが大事だって言うけど、そんなイメージでは打ってないんだよね?」
「はい……」
「なら、無意識の領域か、精霊の加護か、そんなところかもね」
「それって自分ではどうにもならないって事ですか……」
「まあ、そうとも言うかな。原因を探るために催眠術士にかかるか、神殿でみてもらうか、方法がないわけじゃないから」
「対処法、あるかな……」

がっくりと肩を落とし、ふうと息を吐いた。

学園卒業のためだ。出来ることはやってみよう!
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