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◇
馬車がお城の馬車寄せにとまった。
魔石灯を灯してくれた騎士のお兄さんが手を差し出してくれて、僕をエスコートしてくれた。
導かれるまま歩いて行くと、客室のような部屋に通された。
その部屋の中にいた使用人達が一斉に頭を下げ、その中の一人が僕に挨拶してくれた。
「ルシェル様でしょうか? お初にお目にかかります。私、ルシェル様の侍従に任じられましたアーシェと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「あ、はい。ルシェルです。こちらこそよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げるとアーシェさんは柔らかく微笑んで、「私共には頭を下げる必要はございません」と言った。
「ダメですか?」と聞くと、「ダメです」と笑ったまま注意されてしまった。
少し歳上のように感じるけど、仲良くなれそうでホッとした僕は騎士のお兄さんに座るように促されたので、大人しくソファに腰を下ろした。
「ちなみに私はカイゼルです。以後お見知り置きを」
「カイゼルさん。よろしくお願いします」
騎士のお兄さん……カイゼルさんもにこりと微笑んで頷いてくれた。
二人と話していると、部屋の扉がノックされた。
「はいっ!」
とびっくりしつつ声をあげると、豪華な群青のマントを羽織った人が入ってきた。
僕は思わず立ち上がって頭を下げた。
この人には頭を下げても良いんだよね? とアーシェさんに確認しようとすると、アーシェさんも頭を下げていた。
「いい。楽にしてくれ」
僕より頭一つ分は確実に高い身長を見上げて、さらりと流れる肩口で切り揃えられた白銀の髪が美しいなと思い、同じ銀色の神秘的な瞳にも見惚れた。
美しくて、逞しい。
それに華やかな花の香りがする。
「ルシェル……と呼んでもいいかい?」
「はい。お好きなように」
「俺が君の伴侶、国王のエクディアスだ。親しい者にはエークと呼ばれている。まあ、でも好きなように呼んでくれ」
「エーク様……」
「あ、敬語もいらないからな。俺はこんなだし、公の場では流石に態度は改めるけど、私的な場では堅苦しいのは好まない」
「え、あ、あの……」
「そうだな……徐々に慣れていってくれ」
戸惑う僕に気を使ってくれたのか、僕の頭にぽんと手を置いたエーク様は、僕の瞳を覗き込みにやりと笑った。
馬車がお城の馬車寄せにとまった。
魔石灯を灯してくれた騎士のお兄さんが手を差し出してくれて、僕をエスコートしてくれた。
導かれるまま歩いて行くと、客室のような部屋に通された。
その部屋の中にいた使用人達が一斉に頭を下げ、その中の一人が僕に挨拶してくれた。
「ルシェル様でしょうか? お初にお目にかかります。私、ルシェル様の侍従に任じられましたアーシェと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「あ、はい。ルシェルです。こちらこそよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げるとアーシェさんは柔らかく微笑んで、「私共には頭を下げる必要はございません」と言った。
「ダメですか?」と聞くと、「ダメです」と笑ったまま注意されてしまった。
少し歳上のように感じるけど、仲良くなれそうでホッとした僕は騎士のお兄さんに座るように促されたので、大人しくソファに腰を下ろした。
「ちなみに私はカイゼルです。以後お見知り置きを」
「カイゼルさん。よろしくお願いします」
騎士のお兄さん……カイゼルさんもにこりと微笑んで頷いてくれた。
二人と話していると、部屋の扉がノックされた。
「はいっ!」
とびっくりしつつ声をあげると、豪華な群青のマントを羽織った人が入ってきた。
僕は思わず立ち上がって頭を下げた。
この人には頭を下げても良いんだよね? とアーシェさんに確認しようとすると、アーシェさんも頭を下げていた。
「いい。楽にしてくれ」
僕より頭一つ分は確実に高い身長を見上げて、さらりと流れる肩口で切り揃えられた白銀の髪が美しいなと思い、同じ銀色の神秘的な瞳にも見惚れた。
美しくて、逞しい。
それに華やかな花の香りがする。
「ルシェル……と呼んでもいいかい?」
「はい。お好きなように」
「俺が君の伴侶、国王のエクディアスだ。親しい者にはエークと呼ばれている。まあ、でも好きなように呼んでくれ」
「エーク様……」
「あ、敬語もいらないからな。俺はこんなだし、公の場では流石に態度は改めるけど、私的な場では堅苦しいのは好まない」
「え、あ、あの……」
「そうだな……徐々に慣れていってくれ」
戸惑う僕に気を使ってくれたのか、僕の頭にぽんと手を置いたエーク様は、僕の瞳を覗き込みにやりと笑った。
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