七曜学園高等部

hina

文字の大きさ
17 / 27
1

17

しおりを挟む
「瑠衣……?」
「あ、ううん。なんでもない」

訝しげに僕を見ていた泰雅に首を横に振る。
もっと切り出し方はあったはずだけど、言ってしまったものは仕方ない。

「いや、避けてたと言うか……」
「……。避けられてた」

拗ねたように言うと、泰雅は視線を逸らしながら話し出した。

「生徒会が忙しいのは本当だし」
「じゃあ、何が嘘なんだ」
「嘘はついてない」
「でも会いに行っても適当にあしらわれた」
「それは……、生徒会が落ち着くまで、瑠衣とはちょっと距離をおこうと思っただけで……」
「今もそう思ってるってこと?」
「まあ、多少は」
「僕のこと、迷惑?」
「なわけないだろ!」
「中等部で生徒会長してただって、ここまでじゃなかった」

泰雅から発せられる言葉は、僕が予想してなかったものばかりで。


「俺は……瑠衣に求められる男になりたくて、来週の魔法祭を成功させたら、瑠衣も少しは俺のこと認めてくれるかと思って……」
「なら先にそう言ってくれれば! 急に態度変えられたら、何かしちゃった!? って考えちゃうだろ!」
つい大声をだしてしまった僕を泰雅が抱きしめた。

「ごめん、不安にさせたな」
「何だよ、馬鹿! 泰雅の馬鹿……」

抱きしめられたまま、泰雅の背で拳を握った僕は我慢出来ずに涙を滲ませた。

「俺と離れて寂しかった?」
「そ、そんなわけ……」

あるけど……。少し身体を離して僕の顔を覗き込みながらにやにや笑う泰雅が憎らしくて、泰雅の腕の中で暴れる。

「自分で決めたことだけど、瑠衣との触れ合いがない日常は虚しかったよ。俺は何のためにこうしてるんだっけって何度も考えた」
「なら、少しは僕に……」
「でも自分で決めた事だから。ただ、俺はやり過ぎたみたいだな。瑠衣を思い詰めさせちゃダメだ……。瑠衣、ごめん。愛してるよ」

先程よりもぎゅうと強く抱きしめられ、泰雅の顔が近付いてくる。

「キスはナシ」
「どうして」

僕は顔を背けて抵抗の意を示す。

このまま受け入れたら、なし崩しに最後までいってしまいそうな気がする。

「泰雅にはもっと反省して欲しいから!」
「瑠衣、魔法祭が成功したら、唇にキスしてもいい?」
「い……イヤ」
「しょうがない。今はこれで我慢しよう」

と言って、僕の目尻に浮かんでいた涙をキスで拭う泰雅。

「僕の話、聞いてないだろ!?」
「唇へのキス、楽しみにしてる」
「良いって言ってないんだけど!」

話が通じない!


……魔法祭はクラス対抗で魔法を披露する学校行事だ。一般客も入って、毎年とっても盛り上がる。
僕のクラスも六月に入ってから練習を重ねてきていた。

優勝……は難しいかもしれないけど、五位以内に入れたらいいな。



僕を抱きしめて離さない泰雅の肩をぽんぽんと叩いて、宥める。

どちらがより渇望していたか、なんて考えても無駄かもしれない。

僕も泰雅もお互いを求め合っていた。

それがわかっただけで、今回のことにも意味があったのかもしれない。

僕ももう少し素直になりたいけど、泰雅の前だとうまくいかないのはなぜだろうとも思いながら、この時は泰雅が満足するまで大人しくしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

分厚いメガネ令息の非日常

餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」 「シノ様……素敵!」 おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!! その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。 「ジュリーが一番素敵だよ」 「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」 「……うん。ジュリーの方が…素敵」 ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい 「先輩、私もおかしいと思います」 「だよな!」 これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

処理中です...