βからΩになったなら

hina

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「渚は全教科満点だったって」
「さすが渚様と言いたいところだけど、βもΩも通う我が校のテストはαには簡単らしいよ」
「簡単……」
βの時でも満点なんて取れなかった。成績は変わってないと思うけど、Ωには発情期もあるし、勉強はどうしても……と考えたところで、αも……渚も発情期には一緒にこもってたなと気が付いて、αの優秀さは天性のものなんだなと実感した。

テスト勉強はしたんだけどな……羨ましくなんて……と思ったけど、それ以上はやめとこうと思い直してため息を一つこぼした。

「テストも終わったし、いよいよ修学旅行だね」
「京都と奈良、楽しみだね!」
「班行動、渚様達と一緒に回れるの嬉しいな」

休み時間、那月と詩と盛り上がる。
十月に入り、イベントが目白押しだ。街はハロウィンモードになってるし、わけもなくワクワクする。

「渚と一緒だと目立ちそうだなあ」
「幸哉達も美形だもんね」
「圭《けい》くんと誠治《せいじ》もいかにもαって感じだし」
「でもαと一緒に行動して怒られないかな?」
「むしろ安心されるんじゃ?」
「どうかなあ……」

那月も詩もΩらしく、綺麗で可愛い。僕達は修学旅行の班別行動は三人グループに決まったけど、Ωだけじゃ危ないかもしれないし、αが四人もいたら、変な人にも声をかけられないだろう。
でも渚は逆にファンの人に声をかけられるかな……。
一緒に街を歩くと、きゃぁとか、もしかして渚じゃ……!? とか、声をかけられなかったとしても、色んな声を聞いたりするし……。


僕は唇を尖らせて、渚のことを考えた。




「はぁー。今日も瑞希の充電は至福だな」
「渚って、僕に関してはちょっと残念だよね」
「どこが?」
「そんな怖い声で聞かないで」

お昼を食べ終わって中庭にやってきた僕達は、各々自由に過ごしていた。
渚は僕に後ろから抱きついてきて、自分の頬を僕の頭に擦り付けてきている。

「触れても触れても足りないと思うのは運命だからなのか」
腕の力が強まって、ぴったりと密着する。

「離れて、離れて」
「無理だ」

渚の腕をぱたぱたと叩くけど、全然緩まない。

「渚さん、瑞希が苦しそうだから離してあげて下さい」
那月が苦笑しながら、助け舟を出してくれた。

「俺も那月くんを抱きしめたい……」
幸哉さんがぼそっと呟いて、那月が小さく首を傾げる。
「そういうことは付き合ってから」
「じゃあ、俺と付き合って……」
「付き合って?」
「くれますか……」
「やり直し。もっと自信を持って言ってね」


その後、幸哉さんは何回も告白をやり直させられていた。
那月はちょっと厳しいみたい。
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