βからΩになったなら

hina

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「大きいねー」
「瑞希、可愛い」
「渚、大仏様見えてる……?」

大丈夫かな。

十月中旬、修学旅行。
一日目、今日が奈良で明日が京都。明後日に帰路に着く。
予定がぎゅうぎゅうに詰まっているから、まわり切れるか心配だ。

「大仏もいいけど、瑞希はもっと重要だ」
「重症だね……」

手を握ろうとする渚をかわしつつ、先へ進む。
手を握ったら今度は抱きしめてくるだろうから、タイムロスになってしまうし、それは避けなければ。

でも後ろを見ると、那月と幸哉さんが手を繋いで大仏様を見上げていた。
なんだろう、この差は。
幸哉さんはみんなの前では那月に抱きついたりしないから、那月も手を握られても気にしないんだろう。
なんだか複雑な気分になって、僕は渚をジト目で見つめた。

でも渚はどこ吹く風で、僕の額にキスをした。






「今日だけで三カ所も神社に行くんだね」
「まず一カ所目だな」

二日目。
目的の一カ所目の神社について、お参りをした。
みんなでおみくじをひいて、僕は中吉、渚は大吉だった。

「瑞希、お揃いでお守りを買おう。どれが良い? 俺の分も選んで」
「じゃあ……これかな」

僕が白と水色の開運守りを二つ選ぶと、渚が巫女さんに渡して買ってくれた。
財布を出そうとしたら、首を横に振られてしまった。

「あ、ありがとう」
「ん」

渚が笑顔で頷く。

「どっちの色にする?」
「僕は白」
「じゃ、俺は水色だな」

上機嫌な渚は嬉しそうにお守りが入った袋をリュックの中にしまっていた。




その後も色々なところをまわり、今は甘味処で一息ついている。

「わらび餅美味しすぎ……!」
「一度食べてみたかったんだ」
那月がテーブルの向かいで頷いている。

七人で座れる席がなくて、僕と渚、幸哉さんと那月のテーブルと詩とαの圭くんと誠治くんのテーブルにわかれて座った。
と言っても、すぐ隣のテーブルだけど。
僕達七人は学食でお昼を共にしている仲だし、詩は圭くんと誠治くんとも楽しそうにしている。
ただ、詩は魁星の一つ上の先輩と恋人同士らしく、お土産を何にするか真剣になやんでいた。

僕はわらび餅を食べながら、減っていくのが悲しくて、思わずもう一皿頼もうかと思ってしまった。
思っただけで実行はしてないけどね。

僕は京都に来たらまたこのお店に来ようと決めて、お腹が満たされた僕達は腹ごなしに店の近くの小道を歩くのだった。
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