βからΩになったなら

hina

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森の中の小道を渚と手を繋いで歩く。
目的地の神社まで三十分。初詣に行くのだ。

熊もそうだけど、危険な野生動物に出会いませんように……!
途中に人家や宿泊施設なんかはあるし、一応熊よけスプレーも用意したけど心配だ。


渚に贈られたベージュのダッフルコートで防寒はばっちり。
空気は冷たいけど、繋いだ手の温もりが愛おしくて、自然と笑顔になっていた。

「片手だけ冷える」
「手袋つける? って聞いたのに」
「渚も片手だけ冷たい?」
「そうだな」

渚はいつも朝に学校の中庭で過ごす時みたいに、僕の両手を両手でそっと包んでくれた。
じんわりと両手が温まっていく。

「あったかい」
「次は手袋も持ってこよう」
「でも繋ぐ手はそのままがいい」
「ああ。俺も」

渚は僕の髪にキスを落とす。

「唇にもして?」
とおねだりすると、渚は小さく笑って身を屈めて唇にもキスをくれた。

「したくなるだろ、瑞希」
「別荘に帰ったら……する?」
「してもいいの?」
「い、いいよ……!」

渚に手を離されたと思ったら、抱きしめられた。

「わっ! な、何」
「はあ、もう本当にどうしようか。愛し過ぎるんだよ」
両脇に腕をまわされて、抱き上げられた。
「な、渚っ」
「愛してる、瑞希」
息を奪うようにキスされて、地面に下ろされる。

「でもあんまり挑発しないで」
「違、そんなつもりじゃ……」
ふるふると首を横に振っていると、渚に顎を掴まれてダメ押しとばかりにもう一度キスされた。




そんなに大きな神社ではなかったけど、元日の神社は人で賑わっている。

「渚はまた大吉ー! 僕は小吉なのに」
「そう言えば、京都でも大吉引いたな」
「持ってるんだろうね……」
「そうかな」

渚は気にした様子もなくおみくじを結んでいる。僕もその隣におみくじを結んで、渚の手を握った。

「帰ろうか」
「うん!」

渚は恋人繋ぎに直しながら、僕の手をぎゅっと握ってくれた。

何を願ったかはお互いに聞かなかったけど、僕は今年も渚と幸せいっぱいで付き合えますようにと願った。

もう叶い始めてる願い事に頬を緩めながら、渚と並んで歩き始める。

危険な野生動物には会わなかった。良かった!
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