βからΩになったなら

hina

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学校の周りをぐるりと回って寮に戻ってきた。大使館があったりもする高級住宅街が広がる学校の周りには高校生が放課後に気軽に寄れる場所は少なかった。

学校の最寄り駅近くにはお店がいくつかあるけど、魁星の生徒も多いし、目立つ渚とでは何となく利用しづらいのだ。
今日はまだ冬休みだから大丈夫かと思い、門限までには時間があるし、駅近のファーストフード店でデートを続行することにした。

渚と飲み物とポテトを買って、二人で隣り合って座れる三階の窓際の席に陣取った。

「瑞希。あー、どうしてそんなに可愛いんだ?」
「渚の目にフィルターがかかってるんじゃないかな……」
渚が僕にポテトを食べさせながら、可愛い可愛いと連呼する。

「だとしても俺は幸せだ」
「それは良かった」

渚がたまに可愛いのは分かるけど、僕がいつも可愛いとは流石に思えない。でも渚には可愛く見えてるなら、それは否定しないでおこうと思う。

パン屋さんでも飲み物を頼んでいたので、お腹が水分でいっぱいだしそんなにお腹は空いてないんだけど、渚は僕に餌付けすることに夢中で本当に幸せそうだから、ポテトを食べるくらいはなんともない。けど。

「渚も食べて? はい」
僕だけが食べてるのもなんだかなあと思って僕も渚にポテトを差し出す。
「ん、また瑞希が食べさせてくれるの? 嬉しいな。ん、美味しい。でも俺は瑞希が食べたい」
調子良く「キスして良い?」なんて聞いてくる渚に「ダメだから!」と言って、僕は顔を背けた。

流石にキスまでするのはいただけない。

「瑞希、瑞希。機嫌直して。ポテト食べて?」
顔を背けたままいると、渚が眉を下げて甘い声で声をかけてきた。
「今はキスはしちゃダメだからね!」
ダメ押しで言うと、渚は分かりやすく落ち込む。
「分かったよ。今は我慢するよ」
だからポテト食べてと勧めてくる渚に折れた僕はまたポテトを口にしたのだった。




「瑞希! 久しぶり!」
「那月! 冬休み入る前から僕発情期だったから本当に久しぶりだね! 連絡は取り合ってたけど、実際会えるとやっぱり違うよね」
「うん! 明日は問題なく出かけられそう?」
「大丈夫だよ! 詩とも久しぶりに会えるー」
「うん!」

寮の僕の部屋に訪ねてきた那月に部屋に入ってもらいながら、僕は嬉しさに笑顔を浮かべた。

「最終日しか空いてなくてごめんね。うちちょっと遠いからなあ」
「仕方ないよ。休み中、幸哉さんとどうだった?」
「話した通り、幸哉がうちまで来てくれて泊まってたんだけど、幸哉はやっぱり何か凄いよ」
「ふふ。それは気になる……」

明日は那月と詩と出掛ける予定だ。
那月の惚気を聞いて、僕も渚との話をしてその夜は更けていった。
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