異世界に迷い込んだら神子様と呼ばれてるけど、僕にはもったいないような気がする

hina

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「げ」
「またお前か、日々喜」

晩餐があった日から数日。
遊殿が朝の祝詞を唱え終えるのを拝殿の外で待とうとやってきたら、そこにはまた日々喜の姿があった。

「兄上、今日もお忙しいのでは?」
「だからこそ、朝に遊殿の顔を見たいんだ」
「それには同意しますけど、ご無理はしない方がいいのでは」
「無理ではないからやってきてる」
「……」

日々喜は苦々しい顔をしながら押し黙った。
私も無言になる。

早く遊殿の顔を見たい。
本当は夜も遊殿と一緒に寝たいが、それは早過ぎるだろう。

私はまだ自分の気持ちも伝えていない。
けれど、遊殿と手を繋いで庭を散策出来たし、悪いようには思われていないんじゃないかと思っている。

でもそれだけで判断するのは危険だ。
それに遊殿は男同士で付き合うことに抵抗があるのだ。この世界に慣れるまでは慎重に行くべきだろう。

ただ、もう既に告白している日々喜のことを嫌っている様子もないので、遊殿はその人自身を見ているのかもしれない。


「あ、おはようございます! 紫陽さん、日々喜さん!」
「遊殿」
「遊様」

それでも、私達兄弟が遊殿に骨抜きにされていることだけは確かだった。






「明日はついに街に行ける……!」
「そうですね、ついにですね」
双葉くんが笑って振り返った。
数日前、紫陽さんに王都の街を見たいか聞かれ、僕は思いっきり頷いた。
突然降って湧いた話だけど、ずっと行ってみたかったんだ。
黒髪黒目はこの世界にはいない神子特有の色なそうなので、城を出る前に神術で髪の色を変えると言っていた。

神術ってなんでも出来るんだなあ。


晩御飯を食べたばっかりで身体が温まっているからか、冷たい夜の風が気持ち良い。
でも外に面している廊下って暴風が吹いている時なんかは移動が大変だよななんて思いながら、自室まで歩く。

今日はこの後明日の最終確認のために紫陽さんがやってくるんだ。
それも嬉しくて、今日は一日中テンションが高かった。
紫陽さんはちょこちょこ会いに来てくれるけど、前もって来てくれると言ってくれることは少なくて、時間が空いた時にふらっと来る感じだから、約束があるとそれが楽しみで仕方ないんだ。
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