14 / 31
14
◇
「げ」
「またお前か、日々喜」
晩餐があった日から数日。
遊殿が朝の祝詞を唱え終えるのを拝殿の外で待とうとやってきたら、そこにはまた日々喜の姿があった。
「兄上、今日もお忙しいのでは?」
「だからこそ、朝に遊殿の顔を見たいんだ」
「それには同意しますけど、ご無理はしない方がいいのでは」
「無理ではないからやってきてる」
「……」
日々喜は苦々しい顔をしながら押し黙った。
私も無言になる。
早く遊殿の顔を見たい。
本当は夜も遊殿と一緒に寝たいが、それは早過ぎるだろう。
私はまだ自分の気持ちも伝えていない。
けれど、遊殿と手を繋いで庭を散策出来たし、悪いようには思われていないんじゃないかと思っている。
でもそれだけで判断するのは危険だ。
それに遊殿は男同士で付き合うことに抵抗があるのだ。この世界に慣れるまでは慎重に行くべきだろう。
ただ、もう既に告白している日々喜のことを嫌っている様子もないので、遊殿はその人自身を見ているのかもしれない。
「あ、おはようございます! 紫陽さん、日々喜さん!」
「遊殿」
「遊様」
それでも、私達兄弟が遊殿に骨抜きにされていることだけは確かだった。
◇
「明日はついに街に行ける……!」
「そうですね、ついにですね」
双葉くんが笑って振り返った。
数日前、紫陽さんに王都の街を見たいか聞かれ、僕は思いっきり頷いた。
突然降って湧いた話だけど、ずっと行ってみたかったんだ。
黒髪黒目はこの世界にはいない神子特有の色なそうなので、城を出る前に神術で髪の色を変えると言っていた。
神術ってなんでも出来るんだなあ。
晩御飯を食べたばっかりで身体が温まっているからか、冷たい夜の風が気持ち良い。
でも外に面している廊下って暴風が吹いている時なんかは移動が大変だよななんて思いながら、自室まで歩く。
今日はこの後明日の最終確認のために紫陽さんがやってくるんだ。
それも嬉しくて、今日は一日中テンションが高かった。
紫陽さんはちょこちょこ会いに来てくれるけど、前もって来てくれると言ってくれることは少なくて、時間が空いた時にふらっと来る感じだから、約束があるとそれが楽しみで仕方ないんだ。
「げ」
「またお前か、日々喜」
晩餐があった日から数日。
遊殿が朝の祝詞を唱え終えるのを拝殿の外で待とうとやってきたら、そこにはまた日々喜の姿があった。
「兄上、今日もお忙しいのでは?」
「だからこそ、朝に遊殿の顔を見たいんだ」
「それには同意しますけど、ご無理はしない方がいいのでは」
「無理ではないからやってきてる」
「……」
日々喜は苦々しい顔をしながら押し黙った。
私も無言になる。
早く遊殿の顔を見たい。
本当は夜も遊殿と一緒に寝たいが、それは早過ぎるだろう。
私はまだ自分の気持ちも伝えていない。
けれど、遊殿と手を繋いで庭を散策出来たし、悪いようには思われていないんじゃないかと思っている。
でもそれだけで判断するのは危険だ。
それに遊殿は男同士で付き合うことに抵抗があるのだ。この世界に慣れるまでは慎重に行くべきだろう。
ただ、もう既に告白している日々喜のことを嫌っている様子もないので、遊殿はその人自身を見ているのかもしれない。
「あ、おはようございます! 紫陽さん、日々喜さん!」
「遊殿」
「遊様」
それでも、私達兄弟が遊殿に骨抜きにされていることだけは確かだった。
◇
「明日はついに街に行ける……!」
「そうですね、ついにですね」
双葉くんが笑って振り返った。
数日前、紫陽さんに王都の街を見たいか聞かれ、僕は思いっきり頷いた。
突然降って湧いた話だけど、ずっと行ってみたかったんだ。
黒髪黒目はこの世界にはいない神子特有の色なそうなので、城を出る前に神術で髪の色を変えると言っていた。
神術ってなんでも出来るんだなあ。
晩御飯を食べたばっかりで身体が温まっているからか、冷たい夜の風が気持ち良い。
でも外に面している廊下って暴風が吹いている時なんかは移動が大変だよななんて思いながら、自室まで歩く。
今日はこの後明日の最終確認のために紫陽さんがやってくるんだ。
それも嬉しくて、今日は一日中テンションが高かった。
紫陽さんはちょこちょこ会いに来てくれるけど、前もって来てくれると言ってくれることは少なくて、時間が空いた時にふらっと来る感じだから、約束があるとそれが楽しみで仕方ないんだ。
あなたにおすすめの小説
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―
猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。
穏やかで包容力のある長男・千隼。
明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。
家事万能でツンデレ気味な三男・凪。
素直になれないクールな末っ子・琉生。
そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。
自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。