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「ええ。本気です。私は遊殿が欲しい。遊殿、私と付き合って下さい」
「あ……あの……! ……はい、お願いします!」
僕はつまりながらも、しっかりと頷いた。
「くそっ、囲まれたか……。神子様、また会いましょう」
僕を捕まえている男の人が焦ったように言った。護衛の人達が男の人を取り囲んだらしい。
「いえ……もう会いたくないです」
「ふふ。そうおっしゃらずに」
そう言葉を残されたと思ったら、僕は解放されて男の人は影を靡かせてふっと消えた。
「えっ……どこに……」
「逃げられたか……」
「紫陽さん」
「遊殿……」
駆け寄ってきた紫陽さんにぎゅっと抱き締められて、僕もそっと紫陽さんの背に腕を回した。
「良かった。遊殿に何かあったら私は……」
「大丈夫、僕はこうして紫陽さんの腕の中にいます」
「遊殿……。それよりも、貴方と恋人になれて凄く嬉しいです」
「えっ! あの……」
そうだった。ついさっき恋人になったばかりだった。
「殿下、早めに帰りましょう。まだこのあたりは危険です」
紫陽さんの顔が近付いてきて、あっ、キスされると思ったけど、鹿英さんの言葉に紫陽さんが固まった。
「ああ。そうだな」
紫陽さんに抱き締められたままその顔を見上げていたら、唇ではなく額にキスされて離された。
でも手はしっかりと握られて、僕達は急ぎめで城へと戻ったのだった。
◇
「はあ……遊殿……」
「紫陽さん……あの、離して下さい」
城に帰ってきて、誘われるままに初めて入った紫陽さんの部屋の中、僕は困っていた。
「無理です、すみません」
「……あの、恋人同士になったので……敬語はなしにしませんか? いえ、しよう?」
「いいんですか?」
「うん。みんなに敬語を使われるから寂しくて……紫陽さんは敬語を使われ慣れてるかもしれないけど……」
「わかった。遊の望むようにしよう」
「ありがとう」
望むようにと言った紫陽さんだけど、それは敬語のことだけみたいで、紫陽さんは僕を膝に乗せたまま抱き締めてきてしばらく離してくれなかった。
「あ……あの……! ……はい、お願いします!」
僕はつまりながらも、しっかりと頷いた。
「くそっ、囲まれたか……。神子様、また会いましょう」
僕を捕まえている男の人が焦ったように言った。護衛の人達が男の人を取り囲んだらしい。
「いえ……もう会いたくないです」
「ふふ。そうおっしゃらずに」
そう言葉を残されたと思ったら、僕は解放されて男の人は影を靡かせてふっと消えた。
「えっ……どこに……」
「逃げられたか……」
「紫陽さん」
「遊殿……」
駆け寄ってきた紫陽さんにぎゅっと抱き締められて、僕もそっと紫陽さんの背に腕を回した。
「良かった。遊殿に何かあったら私は……」
「大丈夫、僕はこうして紫陽さんの腕の中にいます」
「遊殿……。それよりも、貴方と恋人になれて凄く嬉しいです」
「えっ! あの……」
そうだった。ついさっき恋人になったばかりだった。
「殿下、早めに帰りましょう。まだこのあたりは危険です」
紫陽さんの顔が近付いてきて、あっ、キスされると思ったけど、鹿英さんの言葉に紫陽さんが固まった。
「ああ。そうだな」
紫陽さんに抱き締められたままその顔を見上げていたら、唇ではなく額にキスされて離された。
でも手はしっかりと握られて、僕達は急ぎめで城へと戻ったのだった。
◇
「はあ……遊殿……」
「紫陽さん……あの、離して下さい」
城に帰ってきて、誘われるままに初めて入った紫陽さんの部屋の中、僕は困っていた。
「無理です、すみません」
「……あの、恋人同士になったので……敬語はなしにしませんか? いえ、しよう?」
「いいんですか?」
「うん。みんなに敬語を使われるから寂しくて……紫陽さんは敬語を使われ慣れてるかもしれないけど……」
「わかった。遊の望むようにしよう」
「ありがとう」
望むようにと言った紫陽さんだけど、それは敬語のことだけみたいで、紫陽さんは僕を膝に乗せたまま抱き締めてきてしばらく離してくれなかった。
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