後宮の中で目立たず生きてます

hina

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僕はラーナ。男しかいないこの世界のヴィルアティリアという国の地方貴族の三男で、今は王の後宮に入れられて王のお渡りもないまま、目立たず静かに暮らしている。

「今日も本が読めて幸せ……」
「昨晩もお渡りがなかったというのに、ラーナ様は相変わらず能天気ですね」
「酷いよ、ハルム。僕はね、そんな中、この自由のない後宮で少しでも楽しみを見つけようと……」
「あー、はいはい。私は忙しいのでまた後で」
「酷いや、ハルム……」
たった一人、この後宮まで僕についてきてくれた従者が部屋を出ると、僕は途端に一人になる。
パタンと持っていた本を閉じて、部屋の中央に置かれたソファから窓際の椅子へと移動する。

窓の外には広大な王宮の庭が広がっていた。
この部屋は三階に位置していて、遠くまで見渡すことが出来るのが、ちょっとしたお気に入りポイントだ。

今日は雨が降っていて、なんとなく気怠い午後を過ごしている。


この後宮には僕を含めて十二人の妃がいる。
国王陛下は二十五歳で黒髪緑眼の美丈夫らしいけど、どの妃の元にも通うことはなく、政務に明け暮れているのだとか……。

ちなみに僕は二十一歳で金髪碧眼の華奢な身体つきをしている。
母様譲りの見た目なのだ。
兄様達は父様似なんだけどね。


僕はこれまで、陛下とは一度も会っていない。
妃は十二人もいるし、式みたいなものもなかったし、陛下は僕に顔を見せてくれるわけでもなく、放置されている現状……。

もし図書室の本を読み切ったらどうしようかと心配する日々は、少し空しかった。
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