後宮の中で目立たず生きてます

hina

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「ラーナ様はスコーンはお好きですか?」
「うん、好きだよ! ジャムを先に塗って食べるのが好き」
「ラーナ様はジャムファーストですか……私とは逆ですね」
「そっかあ……でも好みの問題だもんね。リオンさんとはあんまり共通点がないなあ」

窓際に座っていた僕は、苦笑して窓の外を見た。

後宮の部屋も良い眺めだったけど、ゼファー様の部屋も三階にあって良い眺めだ。

僕はフィルさんのことも聞きたかったけど、そういうわけにもいかない。
フィルさんとリオンさんの関係は今は許されざるもの。

だけど嫉妬しちゃうから、ゼファー様とフィルさんが仲良くするのはイヤだ。
というか、僕だけにして欲しい……と思うのは贅沢なのかな?

毎晩一緒に寝てるのにまだ不安になるものなんだなって、自分に驚きつつ、僕はふうとため息を吐いた。

「後宮に戻ったら、またフィルさんとお茶したいな」
「それは……。後宮に戻るのは難しいのではと」
「え? なんで?」
「陛下が反対なさるでしょうし……」
「ゼファー様?」

僕は首を傾げながらリオンさんを見る。
彼は視線を泳がせたあと、「フィルを気にかけてくださってありがとうございます」と小さく僕だけに聞こえるように呟いた。

僕はこくんと頷いて、笑顔を見せた。

結局、何で後宮に戻れないのかは分からなかったけど、リオンさんとフィルさんの絆は確かなんだなと眩しく思った。




「今日は一緒に湯浴みしようか」
「えっ、えっ?」

いつもより早く戻ってきたゼファー様に笑顔で抱き締められて、僕は顔を赤くした。

「我慢出来る……?」
そっと見上げてそう聞くと、ゼファー様は困ったように眉を下げた。

「うん。いや、無理かな。ごめん、言ってみたかっただけ」
「ぼ、ぼく、あの……」
「ん? どうした?」
「神果の実、食べても良いよ?」
「え、本気で言ってる……?」
「疑うの?」
「まさか……! なら明日にでも用意するよ。ラーナ、愛してる」

抱き締められたまま髪にキスされて、僕も思わずゼファー様を抱き締め返していた。

「僕も……ゼファー様が好き……」
「ラーナ……」

ちゅっと触れるだけのキスを唇に受けて、僕は潤んだ瞳でゼファー様を見つめた。

「一緒に湯浴みは明日にとっておこう」
「色々台無しだよ」

僕の頭に手をのせたゼファーに笑いかけて、僕はいよいよ明日……! と気合いを入れた。
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