運命に逃げられたαは、それでも運命を諦められない

hina

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僕はΩだ。

生まれはここよりもっと南の侯爵領。侯爵家の三番目の末っ子として生を受けた。
兄と姉は二人ともαで、華やかな容姿をしていた。
僕はΩのお母様に似て華奢で、日陰で健気に咲く可憐な花のようだと言われていた。
可憐な花より大輪の薔薇が良かったなと、小さい頃の僕は兄と姉を羨ましく見つめていた。
今は魔法で赤茶髪琥珀目に色を変えているけど、お母様譲りの輝く白金の髪も、お父様譲りの水色の瞳も僕は気に入ってるんだけどね。

そして周囲の予想通り、十ニ歳に行われる第二性の検査結果はΩで、家族や友人、使用人達もそれまでと変わらず僕に接してくれて、嬉しかったのをよく覚えている。

お母様と僕は身体が弱くて、よく体調を崩していた。そして苦いお薬が嫌で、甘いお薬を作れないかなと思ったのが、薬学に興味を持ったきっかけだった。

高等教育では魔法学と薬学を専門に学び、僕は薬師の資格を得た。

そして現在二十一歳。貴族の令息としてではなく、ただのテューネとして国の隅っこの男爵領で薬師をしている。

三ヶ月前に逃げ出したことは後悔してない。
じゃないと今頃、王太子殿下に囚われ、王宮に軟禁されて、王太子妃に据えるなんて話や、もっと悪ければ愛人として囲うなんて話をされていたかもしれないから……。




「まだ見つからないか? 方法を変えるしかないか……」
「次はどのような方法で手を尽くしましょうか」
「そうだな……」

レテュネ。
君はどこに消えたんだろう。

私から隠れているのか?

まさか事件に巻き込まれているなんてことは……。
侯爵家にもそのような報せはないというし、そんなことはないと信じたいが……。

君を探しているのは私だけじゃないよ、レテュネ。

それを知ったら、帰ってこないだろうか。



……だがそれも望みが薄そうだなと私は溜め息を吐いた。
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