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第三話 前世の記憶
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とてつもなくショックだった。
婚約が決まってからというもの、シグルドさまはデートのたびに何度も私に愛をささやいてくれた。
それがすべて演技だったってこと?
「ひどい……そんなのひどすぎる」
(ひどい? これぐらいひどくもなんともないと思うわよ。これから私がお姉さまにすることに比べたらね)
そう意味深な言葉を発したミーシャは、顔だけをシグルドさまに振り返らせた。
「シグルドさま! 今、セラスお姉さまがはっきりと自白いたしました! やはり、ここ最近第1王子のアストラルさまのお命を狙っていた刺客の黒幕はセラスお姉さまで間違いないようです!」
え? 一体何のこと?
アストラルさまの命を狙っていた刺客の黒幕?
アストラルさまとは、この国の第1王子であるアストラル・フォン・ヘルシングさまのことだろう。
私と同じ17歳でよく学院でもお見かけしたことがある。
正直なところ、シグルドさまとは容姿も体格も天と地ほども差がある超絶イケメンの王子だ。
そういえば、ここ数週間は学院でもぱったりと見かけなくなっていた。
まさか、誰かに命を狙われていたから学院に来てなかったの?
そして、その刺客の黒幕がなぜか私にされている?
「そうだったのか!」
私がパニックの極みに達していると、シグルドさまは「衛士、セラスを捕縛しろ!」と怒声を上げた。
すると壁際に立っていた2人の衛士が私に駆け寄ってきて、2人がかりで私の身体を左右から捕縛する。
「ま、待ってください! 私は無実です! 私はアストラルさまのお命などは断じて狙って――」
いません、と言葉を続けようとしたときだ。
このとき、私は自分の身体――首から下がまったく動かせないことに気づいた。
2人の衛士に左右から押さえつけられているからではない。
それも少なからずあったが、それ以上にまったく自分の首から下が動いてくれなかったのだ。
私はハッとした。
これもミーシャの【魔眼】のせいではないか。
なぜなら、先ほどの説明中に私はミーシャの【魔眼】をしっかりと見つめていたからである。
私は首だけを動かしてミーシャを見上げた。
するとミーシャは口パクだけで私に告げてくる。
ざまぁ、と。
一方、シグルドさまは真面目な顔で衛士たちに命令する。
「衛士たちよ、セラス・フィンドラルを牢屋にぶち込め! 明朝、僕の命を狙った罪で処刑する!」
そ、そんな……。
絶望に打ちひしがれた私は、何とかシグルドさまに無実を主張した。
けれど、シグルドさまは受け入れてくれる気配がない。
きっとこれがシグルドさまの本性なのだろう。
私に優しい顔を向けながら、裏で忌々しく舌打ちしていたのだ。
悔しい。
できることなら、この状況を何とかしたい。
でも、今の私には何もできない。
とはいえ、ここで完全に諦めてしまっては無実の罪で処刑されるだけだ。
「お願いです、シグルドさま! 私の話を聞いてください! 私は何も――」
「この期に及んで白々しい! いい加減に観念して、大人しく自分の罪を認めなさいよ!」
ミーシャは高らかに叫ぶと、私の腹をハイヒールのつま先で蹴ってきた。
ズンッ!
私の腹――胃袋の位置に深々とハイヒールのつま先が突き刺さる。
そのときだった。
私の脳内に【空手】という言葉がはっきりと浮かんだ。
そして――。
私は前世の記憶のすべてを思い出した。
婚約が決まってからというもの、シグルドさまはデートのたびに何度も私に愛をささやいてくれた。
それがすべて演技だったってこと?
「ひどい……そんなのひどすぎる」
(ひどい? これぐらいひどくもなんともないと思うわよ。これから私がお姉さまにすることに比べたらね)
そう意味深な言葉を発したミーシャは、顔だけをシグルドさまに振り返らせた。
「シグルドさま! 今、セラスお姉さまがはっきりと自白いたしました! やはり、ここ最近第1王子のアストラルさまのお命を狙っていた刺客の黒幕はセラスお姉さまで間違いないようです!」
え? 一体何のこと?
アストラルさまの命を狙っていた刺客の黒幕?
アストラルさまとは、この国の第1王子であるアストラル・フォン・ヘルシングさまのことだろう。
私と同じ17歳でよく学院でもお見かけしたことがある。
正直なところ、シグルドさまとは容姿も体格も天と地ほども差がある超絶イケメンの王子だ。
そういえば、ここ数週間は学院でもぱったりと見かけなくなっていた。
まさか、誰かに命を狙われていたから学院に来てなかったの?
そして、その刺客の黒幕がなぜか私にされている?
「そうだったのか!」
私がパニックの極みに達していると、シグルドさまは「衛士、セラスを捕縛しろ!」と怒声を上げた。
すると壁際に立っていた2人の衛士が私に駆け寄ってきて、2人がかりで私の身体を左右から捕縛する。
「ま、待ってください! 私は無実です! 私はアストラルさまのお命などは断じて狙って――」
いません、と言葉を続けようとしたときだ。
このとき、私は自分の身体――首から下がまったく動かせないことに気づいた。
2人の衛士に左右から押さえつけられているからではない。
それも少なからずあったが、それ以上にまったく自分の首から下が動いてくれなかったのだ。
私はハッとした。
これもミーシャの【魔眼】のせいではないか。
なぜなら、先ほどの説明中に私はミーシャの【魔眼】をしっかりと見つめていたからである。
私は首だけを動かしてミーシャを見上げた。
するとミーシャは口パクだけで私に告げてくる。
ざまぁ、と。
一方、シグルドさまは真面目な顔で衛士たちに命令する。
「衛士たちよ、セラス・フィンドラルを牢屋にぶち込め! 明朝、僕の命を狙った罪で処刑する!」
そ、そんな……。
絶望に打ちひしがれた私は、何とかシグルドさまに無実を主張した。
けれど、シグルドさまは受け入れてくれる気配がない。
きっとこれがシグルドさまの本性なのだろう。
私に優しい顔を向けながら、裏で忌々しく舌打ちしていたのだ。
悔しい。
できることなら、この状況を何とかしたい。
でも、今の私には何もできない。
とはいえ、ここで完全に諦めてしまっては無実の罪で処刑されるだけだ。
「お願いです、シグルドさま! 私の話を聞いてください! 私は何も――」
「この期に及んで白々しい! いい加減に観念して、大人しく自分の罪を認めなさいよ!」
ミーシャは高らかに叫ぶと、私の腹をハイヒールのつま先で蹴ってきた。
ズンッ!
私の腹――胃袋の位置に深々とハイヒールのつま先が突き刺さる。
そのときだった。
私の脳内に【空手】という言葉がはっきりと浮かんだ。
そして――。
私は前世の記憶のすべてを思い出した。
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