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第二章 元〈防国姫〉のヒーラーライフ
第十話 山中での少女との出会い
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「う~ん、今日は凄くいい天気ね。心まで洗われるようだわ」
私は大きく伸びをすると、頭上に広がる大海原を見上げながらごちる。
空はどこまでも青く澄み渡り、降り注ぐ太陽の日差しは目を覆うぐらいにまぶしかった。
今日はそこまで強い風は吹いていない。
蒼天に浮かぶ無数の白雲は、どこまでも緩やかに穏やかに流れていく。
現在、私とリヒトは王都から離れた山間の道を歩いていた。
理由は私の〈放浪医師〉の初仕事のため、医療施設や医師が常駐していない山村の1つに向かうためだ。
しかし、さすがに王都からかなり離れた場所にあるため、馬車などでは到底向かえない。
馬になら乗っていけるだろうが、その馬を買うお金がないので、こうして山々の景観を眺めながら目的地へ徒歩で移動していたのだ。
「アメリアお嬢さま」
私が新鮮な空気を肺一杯に吸い込んでいると、真後ろから声をかけられた。
「上を見て歩くのも大変結構なのですが、ここから先は道も細くなりますし足元がますます悪くなります。なにとぞ、ご注意ください」
「わ、わかっているわよ」
私は顔だけを振り向かせながら、私の影を踏まないように歩いていた後方のリヒトに言った。
リヒトは従者兼助手として、〈放浪医師〉の仕事を始めた私に同行している。
「私だって子供じゃないんだから、いきなり転ぶなんてありえ――」
ない、と言葉を続けようとした直後だった。
足元がズルッと滑り、私の身体の平衡感覚が一気に崩れた。
あ、マズい!
そう思ったのも束の間、瞬時に私の肉体は温かくしっかりとした何かに優しく支えられ、狂った平衡感覚が再び戻った。
「大丈夫ですか、お嬢さま」
リヒトだった。
小石か何かを踏んでしまって転びそうだった私を、リヒトは真後ろから抱きとめて転倒を防いでくれたのだ。
「あ……ありがとう」
私は少し顔を赤らめながらリヒトから離れる。
「どういたしまして。それよりも、お怪我はありませんでしたか?」
「う、うん。平気よ。あなたのお陰で怪我をせずにすんだわ」
本当だった。
もしも転倒していたら捻挫ぐらいはしていたかもしれないが、間一髪のところを助けられたお陰で私は無事にすんだ。
かすり傷程度ならいざしらず、このような人気のない山の中で捻挫でもしたら間違いなく命取りである。
なぜなら王都から離れれば離れるほど、獰猛な野獣や魔物と遭遇する確率が高いからだ。
まあ、リヒトが傍にいるから野獣や魔物が出てもそんなに怖くないのだけど。
などと私がリヒトをチラ見したときだ。
どこからか人間の悲鳴が聞こえた。
それも何か危険なモノに遭遇したときの女性の悲鳴だ。
だが、山間ということもあって声が反響して場所がわからない。
「あっちです、お嬢さま」
リヒトはある場所に向かって人差し指を突きつける。
さすがは王宮騎士団の騎士たちから天才と称されていた騎士だ。
並の人間よりも感覚が凄まじく鋭い。
「どうします? 誰かはわかりませんが、助けに行きますか?」
リヒトの問いに私は「当たり前よ」と答えた。
これから医者として生計を立てようとするものが、困っている人間を助けない道理はない。
「承知しました。ですが、それならば急ぎましょう。声の感じからして、すでにもう身の危険が迫っています」
「そうね。一刻も早く向かいましょう」
そう答えた直後、リヒトは私に「それでは失礼します」と言った。
私が頭上に疑問符を浮かべると、リヒトは担いでいた荷物を手に持ち替え、私の身体を半ば強引におんぶする。
「失礼ながら、お嬢さまの足では間に合いませんので」
次の瞬間、リヒトは私をおぶりながら猛然と駆け出した。
鬱蒼とした茂みの中へと飛び込み、早馬のような速度で樹木の間を泳ぐように走っていく。
女とはいえ1人の人間を背負いつつ、一流の狩人のように疾走していたリヒトは、あっという間に目的の場所へと辿り着いた。
そこは山中でも開けた場所だった。
私は息を呑んだ。
その開けた場所の一角――大木の根本には1人の少女が座り込んでいた。
年齢は13、4歳ぐらいだろうか。
見た目や服装からして狩人ではない。
ボサボサの赤髪に、瘦せ細った身体つき。
あまり上等ではない衣服と近くに転がっているカゴを見ると、山菜か薬草を採りに森の奥へ足を踏み入れた山村の子供だろう。
そんな少女は苦悶の表情を浮かばせながら、右足首を両手で押さえている。
足を挫いているのかもしれない。
などと私が遠目から少女を観察していたとき、少女の前方にあった深い茂みから巨大な茶色い塊が飛び出してきた。
「ギガント・ボア……か」
リヒトがぼそりとつぶやく。
ギガント・ボア。
その名前は私も知っている。
ワイルド・ボアという猪の突然変異種で、全長2メートルほどのワイルド・ボアとは違って、ギガント・ボアの全長は5メートルを超えるという。
事実、そうだった。
目の前に現れたギガント・ボアは、王都に入る際の正門すら一撃で打ち砕けるような巨躯をしている。
それだけではない。
口元には分厚くて先端が刃物のように鋭い2本の牙が生えていた。
プギイイイイイイイイイイイイイイイイイイ――――ッ!
大気を震わせるほどの鳴き声が周囲に響き渡った。
ギガント・ボアは明らかに少女を獲物としている。
「お嬢さま、あの子を頼みます」
リヒトは私を下ろすと、足元に転がっていた大きめの石を拾い上げた。
そしてその石をギガント・ボアに向かって勢いよく投げつける。
かなりの威力があったのだろう。
顔面に石をぶつけられたギガント・ボアは、少女からリヒトへと顔を向けた。
両目は怒りと興奮のために血走り、地面を足で何度も引っ掻くような「前掻き」を始める。
それでもリヒトはまったく怯まずにギガント・ボアと視線を交錯させると、拳の骨を盛大に鳴らしながらギガント・ボアに近づいていく。
それだけで私は、リヒトの行動の意味を察した。
自分が囮となっている間に、少女の治療をしてあげてくださいと行動で告げているのだ。
ええ、わかったわ。
私は早足で少女の元へ移動した。
「大丈夫?」
少女の元に到着した私が尋ねると、少女は「あなたは?」と声を震わせながら訊き返してくる。
「私はアメリア。そういうあなたは何てお名前?」
「め、メリダ……です」
「メリダ。いいお名前ね」
私はメリダの右足首にそっと触れた。
するとメリダは「い、痛い」と涙目で訴えかけてくる。
軽く触診しただけですぐにわかった。
やはりメリダの右足首は捻挫していた。
普通の方法で治療すれば、数週間ほどで完治するだろう。
ただし、私にかかれば数週間も必要ない。
「ちょっと我慢してね。今すぐ治してあげるから」
「そ、そんなの無理です! 完全に足を挫いてしまったんですよ!」
それよりも、とメリダは顔を蒼白にさせながら叫ぶ。
「あなたたちは早く逃げてください! あれはこの森のヌシとも呼ぶべきギガント・ボアです! ここにいては殺されてしまいます! あの男の人も1人で闘えば確実に死んでしまう!」
「ああ、それは絶対にないから安心して。とにかく、まずはあなたの怪我を治しちゃいましょう」
私は言葉を失っていたメリダの患部に再び触れると、両手の掌から魔力を流し込んで「痛いの痛いの飛んでいけ」と唱える。
直後、メリダは大きく目を見開いた。
当然だろう。
全治数週間の捻挫が、見る見るうちに治っていったからだ。
やがて10秒も経たないうちにメリダの捻挫は完治した。
「もうこれで大丈夫よ」
私がそう告げたと同時に、後方から「ドゴオオオオンッ!」という凄まじい衝撃音が聞こえた。
「どうやら、あっちのほうも終わったようね」
振り返ると、地面に横たわるギガント・ボアの姿が確認できた。
間違いなく絶命しているだろう。
ギガント・ボアの額は、破城槌で殴られたように大きく陥没していたからだ。
そんなギガント・ボアの近くには、右手の開閉を繰り返している余裕の表情のリヒトがいた。
「あ、あなたたちは一体……」
小刻みに全身を震わせたメリダに対して、私は微笑みながら答えた。
「ただの〈放浪医師〉とその助手よ」
私は大きく伸びをすると、頭上に広がる大海原を見上げながらごちる。
空はどこまでも青く澄み渡り、降り注ぐ太陽の日差しは目を覆うぐらいにまぶしかった。
今日はそこまで強い風は吹いていない。
蒼天に浮かぶ無数の白雲は、どこまでも緩やかに穏やかに流れていく。
現在、私とリヒトは王都から離れた山間の道を歩いていた。
理由は私の〈放浪医師〉の初仕事のため、医療施設や医師が常駐していない山村の1つに向かうためだ。
しかし、さすがに王都からかなり離れた場所にあるため、馬車などでは到底向かえない。
馬になら乗っていけるだろうが、その馬を買うお金がないので、こうして山々の景観を眺めながら目的地へ徒歩で移動していたのだ。
「アメリアお嬢さま」
私が新鮮な空気を肺一杯に吸い込んでいると、真後ろから声をかけられた。
「上を見て歩くのも大変結構なのですが、ここから先は道も細くなりますし足元がますます悪くなります。なにとぞ、ご注意ください」
「わ、わかっているわよ」
私は顔だけを振り向かせながら、私の影を踏まないように歩いていた後方のリヒトに言った。
リヒトは従者兼助手として、〈放浪医師〉の仕事を始めた私に同行している。
「私だって子供じゃないんだから、いきなり転ぶなんてありえ――」
ない、と言葉を続けようとした直後だった。
足元がズルッと滑り、私の身体の平衡感覚が一気に崩れた。
あ、マズい!
そう思ったのも束の間、瞬時に私の肉体は温かくしっかりとした何かに優しく支えられ、狂った平衡感覚が再び戻った。
「大丈夫ですか、お嬢さま」
リヒトだった。
小石か何かを踏んでしまって転びそうだった私を、リヒトは真後ろから抱きとめて転倒を防いでくれたのだ。
「あ……ありがとう」
私は少し顔を赤らめながらリヒトから離れる。
「どういたしまして。それよりも、お怪我はありませんでしたか?」
「う、うん。平気よ。あなたのお陰で怪我をせずにすんだわ」
本当だった。
もしも転倒していたら捻挫ぐらいはしていたかもしれないが、間一髪のところを助けられたお陰で私は無事にすんだ。
かすり傷程度ならいざしらず、このような人気のない山の中で捻挫でもしたら間違いなく命取りである。
なぜなら王都から離れれば離れるほど、獰猛な野獣や魔物と遭遇する確率が高いからだ。
まあ、リヒトが傍にいるから野獣や魔物が出てもそんなに怖くないのだけど。
などと私がリヒトをチラ見したときだ。
どこからか人間の悲鳴が聞こえた。
それも何か危険なモノに遭遇したときの女性の悲鳴だ。
だが、山間ということもあって声が反響して場所がわからない。
「あっちです、お嬢さま」
リヒトはある場所に向かって人差し指を突きつける。
さすがは王宮騎士団の騎士たちから天才と称されていた騎士だ。
並の人間よりも感覚が凄まじく鋭い。
「どうします? 誰かはわかりませんが、助けに行きますか?」
リヒトの問いに私は「当たり前よ」と答えた。
これから医者として生計を立てようとするものが、困っている人間を助けない道理はない。
「承知しました。ですが、それならば急ぎましょう。声の感じからして、すでにもう身の危険が迫っています」
「そうね。一刻も早く向かいましょう」
そう答えた直後、リヒトは私に「それでは失礼します」と言った。
私が頭上に疑問符を浮かべると、リヒトは担いでいた荷物を手に持ち替え、私の身体を半ば強引におんぶする。
「失礼ながら、お嬢さまの足では間に合いませんので」
次の瞬間、リヒトは私をおぶりながら猛然と駆け出した。
鬱蒼とした茂みの中へと飛び込み、早馬のような速度で樹木の間を泳ぐように走っていく。
女とはいえ1人の人間を背負いつつ、一流の狩人のように疾走していたリヒトは、あっという間に目的の場所へと辿り着いた。
そこは山中でも開けた場所だった。
私は息を呑んだ。
その開けた場所の一角――大木の根本には1人の少女が座り込んでいた。
年齢は13、4歳ぐらいだろうか。
見た目や服装からして狩人ではない。
ボサボサの赤髪に、瘦せ細った身体つき。
あまり上等ではない衣服と近くに転がっているカゴを見ると、山菜か薬草を採りに森の奥へ足を踏み入れた山村の子供だろう。
そんな少女は苦悶の表情を浮かばせながら、右足首を両手で押さえている。
足を挫いているのかもしれない。
などと私が遠目から少女を観察していたとき、少女の前方にあった深い茂みから巨大な茶色い塊が飛び出してきた。
「ギガント・ボア……か」
リヒトがぼそりとつぶやく。
ギガント・ボア。
その名前は私も知っている。
ワイルド・ボアという猪の突然変異種で、全長2メートルほどのワイルド・ボアとは違って、ギガント・ボアの全長は5メートルを超えるという。
事実、そうだった。
目の前に現れたギガント・ボアは、王都に入る際の正門すら一撃で打ち砕けるような巨躯をしている。
それだけではない。
口元には分厚くて先端が刃物のように鋭い2本の牙が生えていた。
プギイイイイイイイイイイイイイイイイイイ――――ッ!
大気を震わせるほどの鳴き声が周囲に響き渡った。
ギガント・ボアは明らかに少女を獲物としている。
「お嬢さま、あの子を頼みます」
リヒトは私を下ろすと、足元に転がっていた大きめの石を拾い上げた。
そしてその石をギガント・ボアに向かって勢いよく投げつける。
かなりの威力があったのだろう。
顔面に石をぶつけられたギガント・ボアは、少女からリヒトへと顔を向けた。
両目は怒りと興奮のために血走り、地面を足で何度も引っ掻くような「前掻き」を始める。
それでもリヒトはまったく怯まずにギガント・ボアと視線を交錯させると、拳の骨を盛大に鳴らしながらギガント・ボアに近づいていく。
それだけで私は、リヒトの行動の意味を察した。
自分が囮となっている間に、少女の治療をしてあげてくださいと行動で告げているのだ。
ええ、わかったわ。
私は早足で少女の元へ移動した。
「大丈夫?」
少女の元に到着した私が尋ねると、少女は「あなたは?」と声を震わせながら訊き返してくる。
「私はアメリア。そういうあなたは何てお名前?」
「め、メリダ……です」
「メリダ。いいお名前ね」
私はメリダの右足首にそっと触れた。
するとメリダは「い、痛い」と涙目で訴えかけてくる。
軽く触診しただけですぐにわかった。
やはりメリダの右足首は捻挫していた。
普通の方法で治療すれば、数週間ほどで完治するだろう。
ただし、私にかかれば数週間も必要ない。
「ちょっと我慢してね。今すぐ治してあげるから」
「そ、そんなの無理です! 完全に足を挫いてしまったんですよ!」
それよりも、とメリダは顔を蒼白にさせながら叫ぶ。
「あなたたちは早く逃げてください! あれはこの森のヌシとも呼ぶべきギガント・ボアです! ここにいては殺されてしまいます! あの男の人も1人で闘えば確実に死んでしまう!」
「ああ、それは絶対にないから安心して。とにかく、まずはあなたの怪我を治しちゃいましょう」
私は言葉を失っていたメリダの患部に再び触れると、両手の掌から魔力を流し込んで「痛いの痛いの飛んでいけ」と唱える。
直後、メリダは大きく目を見開いた。
当然だろう。
全治数週間の捻挫が、見る見るうちに治っていったからだ。
やがて10秒も経たないうちにメリダの捻挫は完治した。
「もうこれで大丈夫よ」
私がそう告げたと同時に、後方から「ドゴオオオオンッ!」という凄まじい衝撃音が聞こえた。
「どうやら、あっちのほうも終わったようね」
振り返ると、地面に横たわるギガント・ボアの姿が確認できた。
間違いなく絶命しているだろう。
ギガント・ボアの額は、破城槌で殴られたように大きく陥没していたからだ。
そんなギガント・ボアの近くには、右手の開閉を繰り返している余裕の表情のリヒトがいた。
「あ、あなたたちは一体……」
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