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第八章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・裏闘技場の闇試合編~
道場訓 七十七 凶女、マコト・ハザマ
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一体、何が起こったというの?
マコト・ハザマこと私はあまりの驚きに立ち上がり、肉眼でリング状の光景を食い入るように見つめた。
リングの上では外からの参加者である、ケンシン・オオガミという空手家の少年に軍配が上がっている。
当然だった。
現在、リングの上に五体満足で立っているのはケンシンのほうなのだ。
一方、私たち〈鬼神会〉の専属の闘技者であったオンマは違う。
頭部から大量の血を垂れ流しながら倒れていた。
生きてはいない。
遠目から見ても完全に絶命している。
それは誰が見ても明らかだったため、オンマの生命の相方の運命も同時に決まってしまった。
勝敗が決したことで一気に興奮した観客たちが見守る中、オンマの生命の相方――見すぼらしい格好の細身の男は穴の中へと落ちていく。
専用の檻の床が抜け落ちたためだったが、それでも細身の男は悲鳴の1つも上げずに無言のまま穴の中へと吸い込まれるように消えていった。
その光景を見ても私の心は毛ほども動揺しない。
外の参加者以外の出場者において、生命の相方という存在などあくまでも観客の興奮を煽る小道具の一種に過ぎなかった。
なので闇試合に参加する各任侠団組織の専属選手の生命の相方は、専属選手たちがどこから連れて来たかも分からない赤の他人だ。
しかも余計なことをしないように、純度の高い魔薬を使用して半ば廃人として連れて来ている。
まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。
それよりも今はケンシンという空手家の少年のことだ。
あのオンマを一瞬で倒してしまった謎の空手家のことをもっとよく見たい。
私はもっとケンシンを見ようと塀に身を乗り出そうとしたとき、
「マコト、それ以上は危ないから止めなさい」
と、お父さまから注意された。
「あ……ごめんなさい、お父さま」
そうだった。
あまりの1回戦の衝撃にすっかり忘れていたわ。
円形のリングと穴を囲うように設けられている観客席には、リング上で闘う選手たちの攻撃から守るため強力な結界系の魔法とスキルが2重に張られている。
これは胴元側からすれば当然の配慮だ。
トーナメントも上に行けば行くほど選手の試合も白熱し、使う魔法や技も強力になっていくのが闇試合の常である。
なので選手たちから放たれる攻撃系の魔法やスキルから観客たちを守るため、観客席の表面には強力な結界魔法と魔法神秘系のスキルが張られているのだ。
ほとんど透明な結界なのでリング上の闘いを観るのに支障はないが、強力な結界なので生身で触れれば只では済まない。
落ち着きを少しだけ取り戻した私は、そのままゆっくりと椅子に座った。
同時にお父さまが話しかけてくる。
「今の闘いを見えたか? マコト」
私は首を左右に振った。
「いいえ、まったく見えませんでしたわ」
嘘偽りのない本音だった。
私には両者が互いに向き合ったところしか視認できなかったのだ。
試合開始の合図を受けたあと、オンマは魔法を発動して臨戦態勢を整えた。
これはいつものことで、絶対的な防御に自信のあるオンマが岩人間と化して外の参加者を翻弄する。
そして外からの参加者がどんな武器や魔法を使っても、厚い岩の装甲に防がれて最後はオンマに殺されるという結末だった。
ところが、今はその光景がまったく逆になっている。
いや、逆どころではない。
ケンシンが何をしたのかは分からないが、処刑人と称されるほどのオンマを一瞬で倒したのだ。
これには観客たちも大興奮だった。
大穴でケンシンに賭けていた人間も、オンマに賭けていた人間も関係ない。
これまでの外からの参加者は2通りの行動をする人間しかいなかった。
この場の雰囲気に呑まれて委縮する人間か、どう見ても恐怖を感じながら威勢の良い態度を取る人間のどちらかだ。
ただし、どちらにせよ最後はオンマに殺される運命を辿っていた。
闇試合の1回戦の第1試合は単なる催し。
それが胴元である私たちと、観客たちの暗黙の了解になっていた。
あくまでも闇試合を盛り上げるため、そしてこれから始まる真の死闘を観戦して貰う心の準備のための催しだと。
にもかかわらず、それが根本から覆された。
私は高鳴る鼓動を必死に抑えながら、ケンシンのことをずっと見つめる。
外からの参加者とは思えない、秘めた実力を持った空手家の少年のことを。
ゾクゾク、と私の背中に暗い感情が走り抜けた。
欲しい。
あの空手家の少年がたまらなく欲しくなった。
裏武人としては格下の部類に入るとはいえ、それでもオンマはこれまで数多くの闇試合をこなしてきた猛者だ。
けれどもオンマはサディスティックな試合を行う裏武人として評判が高かったため、ほとんど外からの参加者を相手にするだけの役目を与えていた。
つまり、2回戦はいつもわざと試合を棄権にさせていたのだ。
それでも観客たちからは苦情は来ない。
この闇試合もトーナメントと銘打っているが、実のところはあまり試合形式は重要視されていないのが実情だった。
あくまでも観客たちの娯楽として存在しているのが闇試合なのだ。
ただし、私たち以外の任侠団組織は別だった。
何とか自分たちの選手を優勝させようとあの手この手を使ってくる。
もちろん、どのような小細工をしてこようが〈鬼神会〉は盤石だ。
なぜなら闇試合は必ず〈鬼神会〉の本命選手が優勝することになっている。
裏工作の結果からではない。
完全な本人の実力による優勝だ。
それゆえに他の選手はいずれかの段階で〈鬼神会〉の本命選手とぶつかり、命を落とすという結末が決まっている。
動くのなら早いほうがいいわね。
外からの参加者とは思えない圧倒的な腕前を見せたケンシンだったが、それでも〈鬼神会〉の本命選手と闘えば敗北は必須だろう。
そうなればケンシンを愛玩動物として手に入れることは不可能になる。
私はおもむろに立ち上がると、出入り口の扉へと向かった。
「おやおや、マコト。またいつもの悪い癖かね?」
私は立ち止まり、満面の笑みを浮かべているお父さまに言った。
「変な言い方はやめてください。私はただ欲しいモノを手に入れてくるだけです」
マコト・ハザマこと私はあまりの驚きに立ち上がり、肉眼でリング状の光景を食い入るように見つめた。
リングの上では外からの参加者である、ケンシン・オオガミという空手家の少年に軍配が上がっている。
当然だった。
現在、リングの上に五体満足で立っているのはケンシンのほうなのだ。
一方、私たち〈鬼神会〉の専属の闘技者であったオンマは違う。
頭部から大量の血を垂れ流しながら倒れていた。
生きてはいない。
遠目から見ても完全に絶命している。
それは誰が見ても明らかだったため、オンマの生命の相方の運命も同時に決まってしまった。
勝敗が決したことで一気に興奮した観客たちが見守る中、オンマの生命の相方――見すぼらしい格好の細身の男は穴の中へと落ちていく。
専用の檻の床が抜け落ちたためだったが、それでも細身の男は悲鳴の1つも上げずに無言のまま穴の中へと吸い込まれるように消えていった。
その光景を見ても私の心は毛ほども動揺しない。
外の参加者以外の出場者において、生命の相方という存在などあくまでも観客の興奮を煽る小道具の一種に過ぎなかった。
なので闇試合に参加する各任侠団組織の専属選手の生命の相方は、専属選手たちがどこから連れて来たかも分からない赤の他人だ。
しかも余計なことをしないように、純度の高い魔薬を使用して半ば廃人として連れて来ている。
まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。
それよりも今はケンシンという空手家の少年のことだ。
あのオンマを一瞬で倒してしまった謎の空手家のことをもっとよく見たい。
私はもっとケンシンを見ようと塀に身を乗り出そうとしたとき、
「マコト、それ以上は危ないから止めなさい」
と、お父さまから注意された。
「あ……ごめんなさい、お父さま」
そうだった。
あまりの1回戦の衝撃にすっかり忘れていたわ。
円形のリングと穴を囲うように設けられている観客席には、リング上で闘う選手たちの攻撃から守るため強力な結界系の魔法とスキルが2重に張られている。
これは胴元側からすれば当然の配慮だ。
トーナメントも上に行けば行くほど選手の試合も白熱し、使う魔法や技も強力になっていくのが闇試合の常である。
なので選手たちから放たれる攻撃系の魔法やスキルから観客たちを守るため、観客席の表面には強力な結界魔法と魔法神秘系のスキルが張られているのだ。
ほとんど透明な結界なのでリング上の闘いを観るのに支障はないが、強力な結界なので生身で触れれば只では済まない。
落ち着きを少しだけ取り戻した私は、そのままゆっくりと椅子に座った。
同時にお父さまが話しかけてくる。
「今の闘いを見えたか? マコト」
私は首を左右に振った。
「いいえ、まったく見えませんでしたわ」
嘘偽りのない本音だった。
私には両者が互いに向き合ったところしか視認できなかったのだ。
試合開始の合図を受けたあと、オンマは魔法を発動して臨戦態勢を整えた。
これはいつものことで、絶対的な防御に自信のあるオンマが岩人間と化して外の参加者を翻弄する。
そして外からの参加者がどんな武器や魔法を使っても、厚い岩の装甲に防がれて最後はオンマに殺されるという結末だった。
ところが、今はその光景がまったく逆になっている。
いや、逆どころではない。
ケンシンが何をしたのかは分からないが、処刑人と称されるほどのオンマを一瞬で倒したのだ。
これには観客たちも大興奮だった。
大穴でケンシンに賭けていた人間も、オンマに賭けていた人間も関係ない。
これまでの外からの参加者は2通りの行動をする人間しかいなかった。
この場の雰囲気に呑まれて委縮する人間か、どう見ても恐怖を感じながら威勢の良い態度を取る人間のどちらかだ。
ただし、どちらにせよ最後はオンマに殺される運命を辿っていた。
闇試合の1回戦の第1試合は単なる催し。
それが胴元である私たちと、観客たちの暗黙の了解になっていた。
あくまでも闇試合を盛り上げるため、そしてこれから始まる真の死闘を観戦して貰う心の準備のための催しだと。
にもかかわらず、それが根本から覆された。
私は高鳴る鼓動を必死に抑えながら、ケンシンのことをずっと見つめる。
外からの参加者とは思えない、秘めた実力を持った空手家の少年のことを。
ゾクゾク、と私の背中に暗い感情が走り抜けた。
欲しい。
あの空手家の少年がたまらなく欲しくなった。
裏武人としては格下の部類に入るとはいえ、それでもオンマはこれまで数多くの闇試合をこなしてきた猛者だ。
けれどもオンマはサディスティックな試合を行う裏武人として評判が高かったため、ほとんど外からの参加者を相手にするだけの役目を与えていた。
つまり、2回戦はいつもわざと試合を棄権にさせていたのだ。
それでも観客たちからは苦情は来ない。
この闇試合もトーナメントと銘打っているが、実のところはあまり試合形式は重要視されていないのが実情だった。
あくまでも観客たちの娯楽として存在しているのが闇試合なのだ。
ただし、私たち以外の任侠団組織は別だった。
何とか自分たちの選手を優勝させようとあの手この手を使ってくる。
もちろん、どのような小細工をしてこようが〈鬼神会〉は盤石だ。
なぜなら闇試合は必ず〈鬼神会〉の本命選手が優勝することになっている。
裏工作の結果からではない。
完全な本人の実力による優勝だ。
それゆえに他の選手はいずれかの段階で〈鬼神会〉の本命選手とぶつかり、命を落とすという結末が決まっている。
動くのなら早いほうがいいわね。
外からの参加者とは思えない圧倒的な腕前を見せたケンシンだったが、それでも〈鬼神会〉の本命選手と闘えば敗北は必須だろう。
そうなればケンシンを愛玩動物として手に入れることは不可能になる。
私はおもむろに立ち上がると、出入り口の扉へと向かった。
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