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最終章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・元勇者の消滅編~

道場訓 九十五   激闘

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 ゴウッ!

 同時に正拳突せいけんづきの先端から巨大な炎の塊が飛んでくる。

 やはり、そうきたか。

 おそらくカムイの性格はやられたらやり返すというもの。

 だとしたら遠距離用の〈神遠拳しんとうけん〉を連続して放てば、それを真似する技を繰り出してくると思った。

 なので俺はこの瞬間を予想して両手に〈気力アニマ〉を溜めたのだ。

闘神とうしん鏡破きょうは〉。

 闘神流空手とうしんりゅうからての3段から修得できる技術の1つであり、術者の肉体の周囲に張った気力アニマまくに触れた相手の技や魔法をそのまま返すことができる。

「オオオオオオオオオオオオ――――ッ!」

 俺は雄叫びを上げながら、〈闘神とうしん鏡破きょうは〉でカムイの〈神炎拳しんえんけん〉を受け止めた。

 そして――。

 パギィィィィンッ!

 俺は〈闘神とうしん鏡破きょうは〉でカムイの〈神炎拳しんえんけん〉を受け止めたあと、そのまま両腕に込めた〈気力アニマ〉とともに〈神炎拳しんえんけん〉を反射させる。

 ゴオオオオオオオオオオオ――――ッ!

 自分が放った〈神炎拳しんえんけん〉を逆に自分に返されたカムイ。

 しかし、カムイが驚いたのは一瞬だけだった。

「しゃらくさいわあああああああァァァ――ッ!」

 カムイは右手を手刀しゅとうの形にすると、その手刀しゅとうに強大な〈魔力マナ〉を込めた。

 それだけではない。

 凝縮した〈魔力マナ〉に呼応するように、カムイの全身をおおっていた炎が手刀しゅとうへと集まり長大な炎の剣と化す。

「――〈紅蓮剣ぐれんけん〉ッ!」

 直後、カムイは自分に向かってきた〈神炎拳しんえんけん〉を炎の剣で一刀両断した。

 2つに引き裂かれた〈神炎拳しんえんけん〉は客席へと飛んでいき、観客席の表面に張られていた強力な結界魔法けっかいまほう魔法神秘系まほうしんぴけいのスキルに衝突する。

 ドオォォォォォンッ!

 その衝撃はあまりにも凄まじく、観客席全体が大きく揺れ動いたほどだ。

 だが、俺とカムイは互いから視線をらさない。

 それどころか、さらに俺たちの闘気は勢いを増していく。

「大将、これは返せるか?」

 カムイは炎の剣――〈紅蓮剣ぐれんけん〉を床へ突き刺し、そこから勢いよく跳ね上げる。

 すると床が爆発し、真っ赤で巨大な炎の柱が上がった。

「オラアアアアアア――――ッ!」

 その灼熱の火柱に向かって、カムイは〈紅蓮剣ぐれんけん〉をぎ払う。

 俺は瞠目どうもくした。

 巨大な炎の十字架じゅうじかが俺に向かって襲い掛かってくる。

 やがて凄まじい爆音と衝撃音がとどろき、再び会場全体が激震に見舞われたように揺れた。
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