36 / 37
第36話 廃部の危機
しおりを挟む
朝霧夜一は日直の掃除を終わらせると、帰り支度を済ませて教室を出た。
一年A組の教室があった本校舎を飛び出し、疾風の如き速さでグラウンドの横に設けられていた歩道を駆け抜ける。
やがて見えてきたのは文化系サークル棟の裏手にあった林だ。
六月中旬の乾いた微風を受けて樹木の枝葉が踊るように揺れ動いている。
しかし夜一は脇目も振らずにラジオ放送部の部室へとダッシュ。
瞬く間に部室に到着した夜一は出入り口の扉を盛大に開け放つ。
「名護先輩、ライン見ました! 売り上げの結果が出たんですって!」
肩で呼吸しながら夜一は室内を見回す。
すでに他の部員は全員揃っており、各々が長机の席に座っていた。
「もう駄目だ! この世の終わりだああああ――っ!」
不意につんざくような悲鳴が夜一の耳朶を打った。
声の発生源に顔を向けると、自分の頭を両手で押さえながら絶望のふちに沈んでいた秋彦の姿が飛び込んで来た。
「まさか、DVDがまったく売れなかったんですか?」
武琉からラインが届いたのは、六時間目の授業が終わった数分後だった。
DVDの売り上げが判明したから部室に来いという内容に夜一はすぐにでも飛んで行きたかったが、さすがに担任が見張っている中で日直の掃除をサボることはできなかった。
なので急ピッチで掃除を終わらせ、担任やクラスメイトの女子に対する挨拶もそこそこに部室に足を運んだのだが。
「やっぱり世の中そんな甘くないですよね。ちょっと人気声優をゲストに呼んだからって、百万円も稼げるDVDが作れるはずがない」
そう夜一が溜息混じりに呟いたときだ。
「朝霧、何か勘違いしてないか? 秋彦の嘆きとDVDの売り上げは関係ないぞ」
夜一は「え?」と頓狂な声を発して武琉を見据えた。
「こいつフラー(馬鹿)だから調子に乗り過ぎたのさ。あれほど自作自演は気をつけろと念を押していたのに、ワン(俺)の忠告を無視して各動画サイトに書き込みを続けていたら荒らしと間違われてアカウントを停止されたんだと」
「一ヶ月もアクセスできないなんて拷問だ! それに何だよ早急にアカウントを復活させたかったら管理人に書類を提出って! めちゃくちゃ面倒臭えっつうの!」
夜一は子供のように長机を叩き始めた秋彦に歩み寄ると、秋彦の左耳に口を近づけて腹の底から声を振り絞った。
「紛らわしい真似しないでください! 本気でビビったじゃないですか!」
日頃から喉を鍛えている夜一の声量はかなりのものだ。そんな夜一に耳元で大声を上げられたら恐るべき耳鳴りに侵されるだろう。
現に秋彦は「耳閉感が! 耳閉感が!」と叫びながら椅子から転げ落ちてしまった。
そんな秋彦を完全に無視して夜一は武琉に話を振る。
「で? 肝心の売り上げはどうなったんです。赤字? それとも黒字ですか?」
「どちらかと言えばトントンだ。お前たちも手伝ってくれたお陰で予想以上にネットで口コミが広がってな。全部で千四百枚弱は売れたんじゃないか」
「千四百枚! 凄いじゃないですか。それなら九頭竜先輩から新たに借りた借金と合わせても十万円も差がない。四人で分割すれば一人頭二万五千円で借金がチャラになりますよ」
「いや、実はそれが……」
武琉はこめかみを人差し指で掻きながら難しい顔で言った。
「どうやら君夜に負った借金には利子がついていたらしくてな」
「利子?」
嫌な予感が夜一の背筋を全速力で走り抜けたとき、先ほどから無言を貫いていた君夜が堰を切ったように言葉を吐き出した。
「そうよ。借金を負う場合は必ず利子が発生する。今回、あなたたちが私に負った借金は二十一万円。それに未返済だった百万円を足した百二十一万円の利子を払ってもらう。大丈夫、一日一割のカラス金なんて言わないから。十日で一割のトイチでいいわ」
「と、十日で一割!」
夜一が驚くのも無理はなかった。
今日は番外編をDVDとして販売すると決めた日からちょうど一ヵ月後。
つまり君夜から新たな借金を重ねた日から三十日が経過しており、百二十一万円にトイチの利子が加わっていた場合、三十日が経っていた現在では約百六十万円にまで借金が膨らんでしまっている。
これではDVDの売り上げを差し引いても約五十万円の赤字だ。
「そんな馬鹿な。だってあのとき、九頭竜先輩は借金に利子がつくなんて一言も言わなかったじゃないですか」
「聞かれなかったからね」
「ふざけるな!」
君夜の物言いに夜一は完全にブチ切れた。
渾身の力を込めて長机に掌を叩きつける。
「いい加減にしろよ! 黙って聞いていれば好き勝手なことをベラベラと! トイチの利子なんて典型的な闇金の手口じゃないか!」
長机を叩いただけでは怒りが治まらず、ついに夜一は左手で君夜の胸倉を掴んだ。
右手は固く握り込んで弓矢を番えるように後方に引く。
「アカン! 夜一君、それだけはアカンて!」
極限まで引いた右拳を君夜の顔面に放とうとした瞬間、横から奈津美に抱きつかれた。
そのせいで夜一は君夜を殴るタイミングを完全に逃してしまった。
「離せ、奈津美! この女は一発殴らないと気がすまない!」
「嫌や! 絶対に離さへん! 男は女の子を殴ったら駄目なんやで! それに君夜ちゃんだけは絶対に刺激したらアカンのや!」
「それはこの女がヤクザの娘だからか!」
夜一は身体に抱きついていた奈津美を引き離し、君夜に人差し指を差し向けた。
「あんたらは平気なのかよ! あれだけ苦労して収録した番組じゃないか! それを売って借金が返せると分かった途端にこの女は十日で一割なんて馬鹿げた利子を言ってきた! こんな横暴が許せる訳ないだろ!」
「朝霧、とりあえず落ち着け」
夜一は射抜くような視線を武琉に向ける。
「落ち着け? これが落ち着いていられるか! せっかくDVDが売れたのにまた五十万円の借金ができたんだぞ! 名護先輩、あんたは平気なのかよ! 今回の収録で誰よりも苦労したのは先輩だろ!」
「分かったから一先ず落ち着けって。頭に血が上ったらまともに話せん」
「だから落ち着いてなんて」
唾を飛ばすほど武琉に反抗した直後だった。
「はあ……仲間にだけは手を上げたくなかったんだがな」
武琉は椅子を踏み台にして長机を一気に飛び越えると、夜一の目の前に颯爽と降り立った。
それだけではない。夜一の腹部にノーモーションから拳打を放ったのだ。
素人である夜一は何も抵抗できなかった。
武琉の右拳が緩みきっていた腹部に深々と突き刺さったとき、内臓全体が見えない手で掻き回されるような衝撃を受けて膝から崩れ落ちた。
「う……があ……ぐうう……うえええ……」
夜一は堪えきれずに胃液をぶち撒けた。
部室の一角に酸鼻たる匂いが充満する。
「すまん、朝霧。こうでもしないとお前の気を静められないと思ってな」
武琉は目眉をひそめて苦悶している夜一に視線を落とす。
「何するんや、自分! 夜一君を殴ったってしゃあないやないか!」
「一緒だ。あのままだったら確実に朝霧は君夜を殴っていた」
「せやけど!」
「お前も落ち着くんだ、奈津美。お前まで取り乱したら本当に話が進まん」
「話?」
「ああ、君夜との大事な話だ」
夜一は何度か咳き込んだ末に顔を上げる。
そこには君夜と対峙している武琉がいた。
「君夜、朝霧が来る前にも訊いたがトイチの利子は本当なんだな?」
「ええ、本当よ。ですが私も鬼ではありません。トイチの利子は元金である百万円の分さえ返してくれれば帳消しにしてあげます」
「それでもワン(俺)たちには五十万の借金が残る」
「ですね。でも、すぐに返せなんて言いません。前と同じ気長に少しずつ返してくだされば結構です。そうだ。来年も綾園動画コンテストに作品を応募するというのはどうでしょう? 武琉君なら今度もきっといい台本が書けますよ」
「いや、悪いが来年はない」
武琉は落ち着き払った声で言った。
「ワン(俺)は今日でラジオ放送部を辞める」
夜一が口元に付着した胃液を手の甲で拭うと、傍に立っていた君夜も声を漏らした。
「うちも辞めるわ。借金を返済するために部活するなんてこりごりや」
「ジャストモーメンツ! お前ら、俺の許可なく部を辞めるなんて許さねえぞ!」
いきなり会話に入り込んできたのは武彦だ。
ずっと無視されて辛かったのだろうか。
よりにもよって長机の上に飛び乗って大声を上げた。
「許すも許さないもない。ワン(俺)も本音を言えば奈津美と同じさ。どうして借金を返済するために部活をしないといけないんだ」
武琉は空いていた椅子に腰を下ろした。
「秋彦、お前も建前じゃなくて本音を言ってみろ。こんな馬鹿げた状況に陥ってまでラジオ放送部を続ける価値があるのか?」
「それもそうだな」
秋彦はまったく答えに窮しなかった。
「構成作家とパーソナリティが抜けたらラジオ番組なんて作れねえ。こんな時期から新入部員なんて期待できねえ。借金も返す当てがねえ。ねえねえねえ尽くしだからな……いっそのことラジオ放送部は今日を持ってお開きにするか」
意外な展開だと夜一は目を丸くさせた。
てっきり秋彦なら二人を説得すると思ったのに。
「ちょっと待って! 今日で部を解散するなんて嘘でしょう?」
だが三人の退部に一番戸惑いを見せたのは君夜だった。
「嘘じゃない。どちらにせよ二人もメンバーが抜けたら廃部は決定だ」
秋彦は長机の上に胡坐を掻いた。
一年A組の教室があった本校舎を飛び出し、疾風の如き速さでグラウンドの横に設けられていた歩道を駆け抜ける。
やがて見えてきたのは文化系サークル棟の裏手にあった林だ。
六月中旬の乾いた微風を受けて樹木の枝葉が踊るように揺れ動いている。
しかし夜一は脇目も振らずにラジオ放送部の部室へとダッシュ。
瞬く間に部室に到着した夜一は出入り口の扉を盛大に開け放つ。
「名護先輩、ライン見ました! 売り上げの結果が出たんですって!」
肩で呼吸しながら夜一は室内を見回す。
すでに他の部員は全員揃っており、各々が長机の席に座っていた。
「もう駄目だ! この世の終わりだああああ――っ!」
不意につんざくような悲鳴が夜一の耳朶を打った。
声の発生源に顔を向けると、自分の頭を両手で押さえながら絶望のふちに沈んでいた秋彦の姿が飛び込んで来た。
「まさか、DVDがまったく売れなかったんですか?」
武琉からラインが届いたのは、六時間目の授業が終わった数分後だった。
DVDの売り上げが判明したから部室に来いという内容に夜一はすぐにでも飛んで行きたかったが、さすがに担任が見張っている中で日直の掃除をサボることはできなかった。
なので急ピッチで掃除を終わらせ、担任やクラスメイトの女子に対する挨拶もそこそこに部室に足を運んだのだが。
「やっぱり世の中そんな甘くないですよね。ちょっと人気声優をゲストに呼んだからって、百万円も稼げるDVDが作れるはずがない」
そう夜一が溜息混じりに呟いたときだ。
「朝霧、何か勘違いしてないか? 秋彦の嘆きとDVDの売り上げは関係ないぞ」
夜一は「え?」と頓狂な声を発して武琉を見据えた。
「こいつフラー(馬鹿)だから調子に乗り過ぎたのさ。あれほど自作自演は気をつけろと念を押していたのに、ワン(俺)の忠告を無視して各動画サイトに書き込みを続けていたら荒らしと間違われてアカウントを停止されたんだと」
「一ヶ月もアクセスできないなんて拷問だ! それに何だよ早急にアカウントを復活させたかったら管理人に書類を提出って! めちゃくちゃ面倒臭えっつうの!」
夜一は子供のように長机を叩き始めた秋彦に歩み寄ると、秋彦の左耳に口を近づけて腹の底から声を振り絞った。
「紛らわしい真似しないでください! 本気でビビったじゃないですか!」
日頃から喉を鍛えている夜一の声量はかなりのものだ。そんな夜一に耳元で大声を上げられたら恐るべき耳鳴りに侵されるだろう。
現に秋彦は「耳閉感が! 耳閉感が!」と叫びながら椅子から転げ落ちてしまった。
そんな秋彦を完全に無視して夜一は武琉に話を振る。
「で? 肝心の売り上げはどうなったんです。赤字? それとも黒字ですか?」
「どちらかと言えばトントンだ。お前たちも手伝ってくれたお陰で予想以上にネットで口コミが広がってな。全部で千四百枚弱は売れたんじゃないか」
「千四百枚! 凄いじゃないですか。それなら九頭竜先輩から新たに借りた借金と合わせても十万円も差がない。四人で分割すれば一人頭二万五千円で借金がチャラになりますよ」
「いや、実はそれが……」
武琉はこめかみを人差し指で掻きながら難しい顔で言った。
「どうやら君夜に負った借金には利子がついていたらしくてな」
「利子?」
嫌な予感が夜一の背筋を全速力で走り抜けたとき、先ほどから無言を貫いていた君夜が堰を切ったように言葉を吐き出した。
「そうよ。借金を負う場合は必ず利子が発生する。今回、あなたたちが私に負った借金は二十一万円。それに未返済だった百万円を足した百二十一万円の利子を払ってもらう。大丈夫、一日一割のカラス金なんて言わないから。十日で一割のトイチでいいわ」
「と、十日で一割!」
夜一が驚くのも無理はなかった。
今日は番外編をDVDとして販売すると決めた日からちょうど一ヵ月後。
つまり君夜から新たな借金を重ねた日から三十日が経過しており、百二十一万円にトイチの利子が加わっていた場合、三十日が経っていた現在では約百六十万円にまで借金が膨らんでしまっている。
これではDVDの売り上げを差し引いても約五十万円の赤字だ。
「そんな馬鹿な。だってあのとき、九頭竜先輩は借金に利子がつくなんて一言も言わなかったじゃないですか」
「聞かれなかったからね」
「ふざけるな!」
君夜の物言いに夜一は完全にブチ切れた。
渾身の力を込めて長机に掌を叩きつける。
「いい加減にしろよ! 黙って聞いていれば好き勝手なことをベラベラと! トイチの利子なんて典型的な闇金の手口じゃないか!」
長机を叩いただけでは怒りが治まらず、ついに夜一は左手で君夜の胸倉を掴んだ。
右手は固く握り込んで弓矢を番えるように後方に引く。
「アカン! 夜一君、それだけはアカンて!」
極限まで引いた右拳を君夜の顔面に放とうとした瞬間、横から奈津美に抱きつかれた。
そのせいで夜一は君夜を殴るタイミングを完全に逃してしまった。
「離せ、奈津美! この女は一発殴らないと気がすまない!」
「嫌や! 絶対に離さへん! 男は女の子を殴ったら駄目なんやで! それに君夜ちゃんだけは絶対に刺激したらアカンのや!」
「それはこの女がヤクザの娘だからか!」
夜一は身体に抱きついていた奈津美を引き離し、君夜に人差し指を差し向けた。
「あんたらは平気なのかよ! あれだけ苦労して収録した番組じゃないか! それを売って借金が返せると分かった途端にこの女は十日で一割なんて馬鹿げた利子を言ってきた! こんな横暴が許せる訳ないだろ!」
「朝霧、とりあえず落ち着け」
夜一は射抜くような視線を武琉に向ける。
「落ち着け? これが落ち着いていられるか! せっかくDVDが売れたのにまた五十万円の借金ができたんだぞ! 名護先輩、あんたは平気なのかよ! 今回の収録で誰よりも苦労したのは先輩だろ!」
「分かったから一先ず落ち着けって。頭に血が上ったらまともに話せん」
「だから落ち着いてなんて」
唾を飛ばすほど武琉に反抗した直後だった。
「はあ……仲間にだけは手を上げたくなかったんだがな」
武琉は椅子を踏み台にして長机を一気に飛び越えると、夜一の目の前に颯爽と降り立った。
それだけではない。夜一の腹部にノーモーションから拳打を放ったのだ。
素人である夜一は何も抵抗できなかった。
武琉の右拳が緩みきっていた腹部に深々と突き刺さったとき、内臓全体が見えない手で掻き回されるような衝撃を受けて膝から崩れ落ちた。
「う……があ……ぐうう……うえええ……」
夜一は堪えきれずに胃液をぶち撒けた。
部室の一角に酸鼻たる匂いが充満する。
「すまん、朝霧。こうでもしないとお前の気を静められないと思ってな」
武琉は目眉をひそめて苦悶している夜一に視線を落とす。
「何するんや、自分! 夜一君を殴ったってしゃあないやないか!」
「一緒だ。あのままだったら確実に朝霧は君夜を殴っていた」
「せやけど!」
「お前も落ち着くんだ、奈津美。お前まで取り乱したら本当に話が進まん」
「話?」
「ああ、君夜との大事な話だ」
夜一は何度か咳き込んだ末に顔を上げる。
そこには君夜と対峙している武琉がいた。
「君夜、朝霧が来る前にも訊いたがトイチの利子は本当なんだな?」
「ええ、本当よ。ですが私も鬼ではありません。トイチの利子は元金である百万円の分さえ返してくれれば帳消しにしてあげます」
「それでもワン(俺)たちには五十万の借金が残る」
「ですね。でも、すぐに返せなんて言いません。前と同じ気長に少しずつ返してくだされば結構です。そうだ。来年も綾園動画コンテストに作品を応募するというのはどうでしょう? 武琉君なら今度もきっといい台本が書けますよ」
「いや、悪いが来年はない」
武琉は落ち着き払った声で言った。
「ワン(俺)は今日でラジオ放送部を辞める」
夜一が口元に付着した胃液を手の甲で拭うと、傍に立っていた君夜も声を漏らした。
「うちも辞めるわ。借金を返済するために部活するなんてこりごりや」
「ジャストモーメンツ! お前ら、俺の許可なく部を辞めるなんて許さねえぞ!」
いきなり会話に入り込んできたのは武彦だ。
ずっと無視されて辛かったのだろうか。
よりにもよって長机の上に飛び乗って大声を上げた。
「許すも許さないもない。ワン(俺)も本音を言えば奈津美と同じさ。どうして借金を返済するために部活をしないといけないんだ」
武琉は空いていた椅子に腰を下ろした。
「秋彦、お前も建前じゃなくて本音を言ってみろ。こんな馬鹿げた状況に陥ってまでラジオ放送部を続ける価値があるのか?」
「それもそうだな」
秋彦はまったく答えに窮しなかった。
「構成作家とパーソナリティが抜けたらラジオ番組なんて作れねえ。こんな時期から新入部員なんて期待できねえ。借金も返す当てがねえ。ねえねえねえ尽くしだからな……いっそのことラジオ放送部は今日を持ってお開きにするか」
意外な展開だと夜一は目を丸くさせた。
てっきり秋彦なら二人を説得すると思ったのに。
「ちょっと待って! 今日で部を解散するなんて嘘でしょう?」
だが三人の退部に一番戸惑いを見せたのは君夜だった。
「嘘じゃない。どちらにせよ二人もメンバーが抜けたら廃部は決定だ」
秋彦は長机の上に胡坐を掻いた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる