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第二話 荷物持ち、お母さんと冒険者ギルドへ戻る
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「お帰りなさい、グレンちゃん」
玄関の扉を開けるなり、俺の帰りを待っていてくれたのかお母さんが満面の笑みで出迎えてくれた。
「ただいま……相変わらず、俺がいつ帰ってくるのか正確に分かるんだね」
「もちろんよ。【究極察知】」のスキルを使えば、グレンちゃんが天界にいようが魔界にいようがお母さんにはすぐに見つけられるわ」
うん、そういうスキルは息子の帰る時間を知るために使うものじゃないね。
俺はどっと肩を落としながらお母さんを見つめた。
息子の俺が言うのもおかしいが、お母さんは恐ろしく整った顔立ちをしている。
切れ長の眉に、ぷっくりと色気のある唇。
さらさらとした茶髪をうなじの辺りで一つにまとめ、体形はとても30代とは思えないほどのプロポーションをしている。
正直、街の人間の中にはお母さんのことを20代の独身だと思っている奴も多い。
それぐらい俺のお母さんは女としても魅力的なオーラに満ち溢れている。
ただし、それはあくまでも表の顔にしか過ぎない。
なぜなら、俺のお母さんの正体は大賢者と呼ばれるほどの人物だったのだ。
けれども父さんと結婚してからは大賢者を辞め、今では普通の主婦をしている。
「どうしたの? お母さんの顔や身体をイヤらしい舐めまわすような目で見て……もう、この子ったら17になるのにまだお母さんのおっぱいが欲しいの?」
「ごめん、今日はそんな冗談に付き合えるテンションじゃないんだ。もう水浴びして寝るよ」
「あらあら……じゃあご飯は?」
「いい、食べたくない」
「まあまあ、本当に? いつもならどんなことがあってもゴハンだけは食べるのにどうしちゃったの? ずっと好きで幼馴染だったクリスちゃんが、どこの馬の骨か分からない男と付き合うことになったときも、泣きながら「くそ、何でだよ! 普通は幼馴染同士でくっつくもんじゃないのかよ!」ってゴハンだけは食べていたじゃない」
マジでへこんでいるときに追い打ちをかけるようなことは言わないで。
……って言うか、こういうときこそ心情を察知するようなスキルを使ってね。
「でも、本当にどうしちゃったの? 何か悩みがあるのならお母さんに言ってみなさい。これでもお母さんはちょっと魔法を使えるのよ。あ……でも最後に魔法を使ったのはかなり前だから今は衰えているけど。せいぜい隣国を滅ぼすことぐらいしかできないかも」
一国を滅ぼせるのに〝ちょっと魔法を使える〟って表現はおかしいと思うよ。
しかもそれで衰えているって言うのなら、お母さんの全盛期の力は神にでも匹敵したのかな?
まあ、そんなことはさておき。
「実は……」
俺はお母さんに冒険者ギルドでの出来事を洗いざらい話した。
すると――。
「はあ? いきなりクビでパーティーから追放ってどういうことやねん!」
あんなに優しかったお母さんが豹変した。
マジでびっくりするほど豹変した。
俺的には変身したってぐらい豹変した。
「行くで、グレンちゃん。そんなもん聞いたら黙っておれんわ」
そして、お母さんは腰に巻いていたエプロンをバサッと投げ捨てる。
「え? 行くってどこへ?」
「んなもん決まっているやろがい! そのクサレ外道どもがおる冒険者ギルドにじゃい!」
待って待って待って待って。
お母さん、あなた今までそんな言葉使いしたことなかったよね?
それってどこの国の言葉使いなの?
マジでガチで本当に怖いんですけど!
膝から下がガクガクするほど怖いんですけど!
そんで、めちゃくちゃキレているのが分かるんですけど!
「ちょっと待ってよ、お母さん。冒険者ギルドに何しに行くの?」
いや、どうしてお母さんが冒険者ギルドに行きたいのか分かったよ。
でも、息子として聞いておかないといけないじゃん。
まだ止められるかもしれないじゃん。
「カチコミじゃ」
お母さんはキッと俺を睨んでくる。
「今から冒険者ギルドにカチコんで、グレンちゃんをクビにした勇者どもとナシつけな腹の虫がおさまらん!」
ねえねえ、カチコミって何?
まさか、殴り込みのこと?
ナシつけるってどういうこと?
まさか、話をつけるの略語?
お母さん、頼むから普通の言葉で話してほしいんだけど。
何ていう俺の願いもむなしく、お母さんは俺の手を強引に引っ張っていく。
痛ててててててててッ――――ッ!
女の力じゃない!
明らかに女の力じゃない!
下手するとオークの腕すら握り潰すバトーさんの握力よりも強い!
そうして俺は強制的にお母さんに連れられて冒険ギルドへと戻ったのだった。
玄関の扉を開けるなり、俺の帰りを待っていてくれたのかお母さんが満面の笑みで出迎えてくれた。
「ただいま……相変わらず、俺がいつ帰ってくるのか正確に分かるんだね」
「もちろんよ。【究極察知】」のスキルを使えば、グレンちゃんが天界にいようが魔界にいようがお母さんにはすぐに見つけられるわ」
うん、そういうスキルは息子の帰る時間を知るために使うものじゃないね。
俺はどっと肩を落としながらお母さんを見つめた。
息子の俺が言うのもおかしいが、お母さんは恐ろしく整った顔立ちをしている。
切れ長の眉に、ぷっくりと色気のある唇。
さらさらとした茶髪をうなじの辺りで一つにまとめ、体形はとても30代とは思えないほどのプロポーションをしている。
正直、街の人間の中にはお母さんのことを20代の独身だと思っている奴も多い。
それぐらい俺のお母さんは女としても魅力的なオーラに満ち溢れている。
ただし、それはあくまでも表の顔にしか過ぎない。
なぜなら、俺のお母さんの正体は大賢者と呼ばれるほどの人物だったのだ。
けれども父さんと結婚してからは大賢者を辞め、今では普通の主婦をしている。
「どうしたの? お母さんの顔や身体をイヤらしい舐めまわすような目で見て……もう、この子ったら17になるのにまだお母さんのおっぱいが欲しいの?」
「ごめん、今日はそんな冗談に付き合えるテンションじゃないんだ。もう水浴びして寝るよ」
「あらあら……じゃあご飯は?」
「いい、食べたくない」
「まあまあ、本当に? いつもならどんなことがあってもゴハンだけは食べるのにどうしちゃったの? ずっと好きで幼馴染だったクリスちゃんが、どこの馬の骨か分からない男と付き合うことになったときも、泣きながら「くそ、何でだよ! 普通は幼馴染同士でくっつくもんじゃないのかよ!」ってゴハンだけは食べていたじゃない」
マジでへこんでいるときに追い打ちをかけるようなことは言わないで。
……って言うか、こういうときこそ心情を察知するようなスキルを使ってね。
「でも、本当にどうしちゃったの? 何か悩みがあるのならお母さんに言ってみなさい。これでもお母さんはちょっと魔法を使えるのよ。あ……でも最後に魔法を使ったのはかなり前だから今は衰えているけど。せいぜい隣国を滅ぼすことぐらいしかできないかも」
一国を滅ぼせるのに〝ちょっと魔法を使える〟って表現はおかしいと思うよ。
しかもそれで衰えているって言うのなら、お母さんの全盛期の力は神にでも匹敵したのかな?
まあ、そんなことはさておき。
「実は……」
俺はお母さんに冒険者ギルドでの出来事を洗いざらい話した。
すると――。
「はあ? いきなりクビでパーティーから追放ってどういうことやねん!」
あんなに優しかったお母さんが豹変した。
マジでびっくりするほど豹変した。
俺的には変身したってぐらい豹変した。
「行くで、グレンちゃん。そんなもん聞いたら黙っておれんわ」
そして、お母さんは腰に巻いていたエプロンをバサッと投げ捨てる。
「え? 行くってどこへ?」
「んなもん決まっているやろがい! そのクサレ外道どもがおる冒険者ギルドにじゃい!」
待って待って待って待って。
お母さん、あなた今までそんな言葉使いしたことなかったよね?
それってどこの国の言葉使いなの?
マジでガチで本当に怖いんですけど!
膝から下がガクガクするほど怖いんですけど!
そんで、めちゃくちゃキレているのが分かるんですけど!
「ちょっと待ってよ、お母さん。冒険者ギルドに何しに行くの?」
いや、どうしてお母さんが冒険者ギルドに行きたいのか分かったよ。
でも、息子として聞いておかないといけないじゃん。
まだ止められるかもしれないじゃん。
「カチコミじゃ」
お母さんはキッと俺を睨んでくる。
「今から冒険者ギルドにカチコんで、グレンちゃんをクビにした勇者どもとナシつけな腹の虫がおさまらん!」
ねえねえ、カチコミって何?
まさか、殴り込みのこと?
ナシつけるってどういうこと?
まさか、話をつけるの略語?
お母さん、頼むから普通の言葉で話してほしいんだけど。
何ていう俺の願いもむなしく、お母さんは俺の手を強引に引っ張っていく。
痛ててててててててッ――――ッ!
女の力じゃない!
明らかに女の力じゃない!
下手するとオークの腕すら握り潰すバトーさんの握力よりも強い!
そうして俺は強制的にお母さんに連れられて冒険ギルドへと戻ったのだった。
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