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旅人編 第一章
ジャック、カロンの村にて(2)
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アルレの郷での入浴を済ませたジャックは、カロンの村にある、唯一の大衆食堂『太陽のビン詰め』で夕食を摂るために、アリアに案内されていました。
「太陽のビン詰め、か。
何と言うか、その・・・・・・・・・クセが強い名前なんだな。」
ジャックは、食堂の名前が、太陽をビン詰めにしたいという意味なのか、それとも、太陽がビン詰めになっているような愉快な場所という意味なのかを延々と考えていました。
「太陽のビン詰め?
んー、特に深い意味は無かったはずだよ?
店名の由来は確か、いくつかあった店名の候補としてあげた単語を地面に書き出したところに、二個の石を投げて石が止まったところに書いてあった、太陽とビン詰めを組み合わせただけ、だったはず。」
「そ、そうか。」
ジャックが想像していた程、食堂名に深い意味は無いらしく、適当に決められていたことに驚いたジャックが、思わず苦笑いをしている間に、二人は太陽のビン詰めに到着しました。
「ここが、カロンの村の食堂、太陽のビン詰めだよ。
今日はもう、お客さんが一番多い時間帯を過ぎたところだから、ゆっくり出来るはずだよ。」
「ああ。
ありがとう、アリア。」
太陽のビン詰めは、二階建ての赤レンガハウスを二棟使っており、一階は二棟とも食堂として、二階は一号棟を住居として、二号棟を村の料理教室として、それぞれ使っています。
そのため、夜も遅くなり、お客のピーク時間帯が過ぎている今日は、既に一号棟の方の食堂からは明かりが落ちており、二号棟のみが営業を続けていました。
「あっ、エルダおばさん、こんばんは。
今日はね、新しくうちに来てるお客さんを案内しに来たよ。」
「おっ、アリアちゃんじゃないか。
新しいお客さん、村の外から来た人かい?
どれどれ・・・・・・おぉ、イケメンじゃないか。
兄ちゃん、アリアちゃんはねぇ、可愛いし、とーっても、真面目でねぇ仕事熱心な良い子でねぇ、村の人気者なのよ。
おばちゃんのオススメだから、ちゃんと覚えといてくれよぉ。」
「ちょっ、ちょっと!エルダおばさん!?
ジャックさんに何言ってるの?!」
豪快な店名の決め方をした人物らしさの溢れる言動に翻弄され、普段、冷静を装っているアリアも流石に動揺してしまいました。
「?
よく分からないが、覚えておこう。
アリアは、僕にとって恩人だからな。」
「エッ!?
ちょっと、ジャックさんまで?」
エルダの言葉を何も理解出来ていないにも関わらず、肝心な部分だけ押えた鈍感なジャックにとどめを刺され、アリアはたじたじになってしまいました。
「おお、良い兄ちゃんだなぁ。
よし!
良い兄ちゃんとの出会いを祝して、今日は特別に、裏メニューのシシ料理をご馳走してあげようじゃないか。
ほら、アリアちゃん、手伝って、手伝って。
あぁ、兄ちゃんはそこらへんの席にでも座って待っといて。」
こうして、旅立ち一日目のジャックは、無一文のまま、ご馳走にありつくのでした。
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