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旅人編 第一章
アリア、カロンの村の食堂にて
しおりを挟むSide:アリア
「ねえ、エルダおばさん。
何でジャックさんにあんなこと言ったの?」
ジャックさんは、おそらく、ブレイク王国の第五位階以上の身分を持っている。
つまり、侯爵家以上の家格の家の出か、先王の血を引く王族だ。
最初は、シーズン帝国の出身も疑ったけど、シーズン帝国からこの村に来る人は、大抵、帝国北部に位置するウィンター王家領か、南西部に位置するオータム王家領の出身の人ばかり。
そして、ウィンター王家領とオータム王家領出身者には、帝国のシーズン語とは別で、トゥータン語と呼ばれる程に特徴的な、特有の訛りが有るせいか、王国のブレード語を喋る時にも、独特なアクセントが出る。
だけど、ジャックさんにはそれが無い。
シーズン帝国の北東部に位置するスプリング王家領や、南東部に位置するサマー王家領出身の貴族の人が旅人ごっこをするには、アルレの森周辺は未知の土地すぎる。
だから、帝国の東側の人ではないと思う。
そうなると、やっぱりジャックさんは、王国の上級貴族ということになる。
気付かなかったとしても、場合によっては、エルダおばさんの言動が、不敬罪どころか反逆罪に問われかねない。
「そりゃあねぇ。
・・・・・・・・・あの兄ちゃんが、王族だからだよ。
あの兄ちゃんの、赤の宝石眼は王位継承権を保有するための最低条件さ。
あの兄ちゃんが、今の王様とどんな関係なのか、王家にとってどんな存在なのか、そんなことまでは、アタシには分からない。
アタシが王都にいた時も、赤の宝石眼関連で揉めてる王族は沢山いたのさ。
でも、あの兄ちゃんは飄々としている。
王位継承権を放棄した後、っぽい感じは有るけど、揉めてる最中の奴らよりは遥かに良い。」
流石は王都で活躍していた元シルバープレートの冒険者。
ジャックさんが、一般の人じゃないことに気付いてはいたんだ。
というか、ジャックさんが王族だって気付いていたんだったら、もっと発言を自重して欲しかった。
王族相手だったら、たとえ同じ階級の人でも、貴族相手より罪が重くなるんだよ?
貴族相手の不敬は、不敬罪の適用だけだけど、王族相手だと謀反罪や国家転覆罪あたりの反逆罪が引っ付いて来ることだってある。
そのせいで、うちのご先祖様は貴族位を剥奪されたんじゃないかと言われているくらいだ。
「それに、あの兄ちゃんなら、アリアちゃんの夢、叶えてくれるかもしれないよ?」
夢、それは、確かに叶えたいけど・・・・・・・・・ジャックさんにお願いする訳には・・・・・・・・・でも、ジャックさんは、私の名前を褒めてくれたし・・・・・・でも、当のジャックさんは何も分かってなさそうな雰囲気もあるし。
ううぅぅ。
ど、どうしよう。
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