コレクト王国物語

星鹿カナン

文字の大きさ
8 / 9
旅人編 第一章

ジャック、カロンの村にて(4)

しおりを挟む

Side:???


「ほう。
 これが、カレーか。
 ・・・・・・・・・うん、香りに違わず、美味いな。

 今まで食べたことのある辛いものは、どれもたくさん食べたら病気になりそうだと感じるものばかりだったが、・・・・・・これは良いな。

 無性に、食欲が湧いてくる。
 魔性の一品だ。

 ・・・・・・・・・ングング、猪肉は食べ慣れたものだが、この下味の付け方は最高だ。
 確か、塩とコショウ、だったか?この調味料は、猪肉によく合うのだな。」


 ジャックは密かに、家の厨房の料理人たちにここで修行させれば少しは腕が良くなるのでは?と考えていました。

 コレクト王国の王宮の料理人たちは、元々、コレクト王国国王パーシヴァルがブレイク王国の王城を出る時に付き従った貴族や、パーシヴァルがブレイク王国の各地で拾ってきたストリートチルドレンやスラム街で暮らしていた孤児たちでした。
 つまり、コレクト王国の王宮の厨房には、料理を作った経験がある者が全くおらず、料理人たちは直感と僅かな知識だけを頼りに、日々試行錯誤しながら料理を作っているのです。
 そのため、ジャックが家の料理人たちの腕は悪かった、と感じるのも仕方のないことでした。


「カレーは、平民に人気の高い料理なんですよ。

 でも、貴族の家では作られない傾向があるんです。
 そのせいか、高級料理店や貴族が住んでいる街の食堂辺りでは、カレーってなかなか見かけ無いメニューなんです。裏メニューになら有る、っていうところならそこそこあるみたいなんですけどねぇ。

 まぁ、この村には貴族が住んでいる訳ではないので、関係ない・・・・・・・・・ですけどね。」



「ん?
 このシシカレーは、裏メニューではないのか?

 その言いぶりだと、ここでは、普通のメニューとしてカレーがあるということか?」


「ん?
 ああ、そうだよ。

 裏メニューなのは、あくまでシシ料理、猪肉を使っている、って部分さ。
 カレー自体は普通のメニューだね。

 しっかし兄ちゃん、よく食べるねぇ。
 あぁ、ほんっとうに見ていて気分が良いよ。

 なぁなぁ、兄ちゃん、うちの村に永住する気はないかい?
 今ならなんと、カロンの村のアイドル、アリアちゃんが兄ちゃんの良い奥さんになってくれるぞ?」


「ちょっ、ちょっと!エルダおばさん!?
 何言ってるの!

 ねぇ、ジャックさん・・・

「んー、考えときます。」

 考えときます、じゃないよ!」


 少しからかっただけのつもりのジャックでしたが、想像以上にアリアの反応が良いため、少し楽しく感じ始めていました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

完結 私は何を見せられているのでしょう?

音爽(ネソウ)
恋愛
「あり得ない」最初に出た言葉がそれだった

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...