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第三章・薊と瑠璃
17・柄の悪い男
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ぬっと現れたのは腕にわざとらしく包帯を巻いた佐貫で、一緒に柄の悪そうな男も居た。
佐貫はフンと鼻を鳴らし瑠璃と薊に言った。
「早速新しい男と逢引か。おさかんだなあ」
瑠璃と薊を一瞥し、佐貫が言った。
むっとして立とうとする瑠璃を、薊が着物の袖を引っ張って止めた。
『座ってて』
小さくそう言われ、瑠璃は頷いて座ったままでいた。
佐貫が前に出、柄の悪そうな男に言った。
「昨日はよくもやってくれたな。先生、こいつです、こいつが俺のことを」
「うん、わかった。なるほどなあ。で、お前、なにされたかもう一度言ってみろ」
「は、はい、この女は俺のフィアンセで俺にぞっこんなはずで俺の為にここに居るのにあろうことか油断した俺をだましてそこの男に暴力を振るわさせたんです!」
なにもかもが違いすぎて瑠璃は呆れてものが言えない。
文句を言いたがったが、柄の悪い男は指を鳴らしながら薊の前に立った。
「こいつはこう言ってるが?本当か?」
「何もかも違うな。やるか?」
薊がニヤッと笑うと、「まさか」と柄の悪い男は笑った。
そしてその男は、佐貫に向き合うと笑った。
「お前、嘘はよくねえよって俺は言ったよな?」
「え?」
「嘘だったらどうする?って聞いたよな?」
「え、だって、その、嘘じゃ」
「嘘なんだな」
はあーっとため息をつくと、佐貫が頼んだか雇ったらしい、柄の悪い男は、佐貫の顔にいきなり拳を叩きこんだ。
見事なまでに佐貫の体が宙に浮いてふっとんでいって、瑠璃は驚いて目を丸くした。
「俺をだまくらかしたツケはとって貰うぜ」
「ま、ま、ま、うそじゃ、」
「嘘じゃねえか」
そういって更に佐貫はボコボコに殴られ、「ぎゃあ」とか「ぐぇっ」とか声をあげていた。
顔面を血だらけとあざだらけにされて佐貫は逃げて行って、瑠璃は一体なにが起こったのかと首を傾げる。
薊と柄の悪い男はお互い顔を見合わすとゲラゲラと笑い、互いに抱き合った。
「薊の兄ィ!久しぶりです!」
「万葉!お前こそ、久しぶりだ、いつからこっちに?」
「薊の兄ィがこっちに来てるって聞いたんで、数日前からです」
「さっきのは何だよ」
「世話になってる宿にたまたまあいつの関りのやつに、腕の立つ男を探してるって言われて」
「ははは、バカな奴だな。嬢ちゃん、びっくりさせて済まなかったな」
薊が言うと、瑠璃は頷く。
「こいつは万葉、大陸で一緒だった、まあ、古なじみだな。まさかこんな所で会うとは」
「どうも初めまして。薊とは古い仲でな。怖がらせて済まなかった」
「い、いえ。こちらこそ、なんか巻き込んでしまったみたいで」
すると万葉は、はっはっは、と声をあげて豪快に笑う。
「別に小遣い稼ぎになったからなあ!やっぱり前払にしといて正解だった」
「なんだ、殆ど小遣いじゃないか」
「薊の兄ィがいるとは思わなかったんで。でもまあ、早く会えて良かったです。探している所だったんで」
男は互いにぎゅっと握手していて、瑠璃はなるほど、仲が良さそうだな、と思った。
「ところで兄ィ、この嬢ちゃんは?」
瑠璃はさっと立ち上がって頭を下げた。
「先日、先ほどの男に襲われているところを薊さんに助けて頂きました、瑠璃です」
「女学生か。そりゃ危ないところを丁度良かったな」
「あいつは懲りずに来ると思ったよ」
溜息をつく薊に「なんなんすかあれは」と万葉が尋ねた。
「あれは勝手に私の婚約者を名乗って、好き放題やっている佐貫です。緑光デパートの経営者のバカ息子で」
「惚れられているのか」
「いえ。うちが古い商売をやっているので取り込めば得があると思っているだけです。馬鹿なんですよ。うちには跡取りがいるのに」
「跡取り?」
驚いたような声をあげた薊に瑠璃は頷く。
「ええ。まだやっと八つになるくらいなんですが、弟が居ます。私も家も、みんなその子を跡継ぎにするつもりで」
「―――――そうか、弟さんか……」
なぜか薊は目を細めて、なんとなく嬉しそうな雰囲気になった。
佐貫はフンと鼻を鳴らし瑠璃と薊に言った。
「早速新しい男と逢引か。おさかんだなあ」
瑠璃と薊を一瞥し、佐貫が言った。
むっとして立とうとする瑠璃を、薊が着物の袖を引っ張って止めた。
『座ってて』
小さくそう言われ、瑠璃は頷いて座ったままでいた。
佐貫が前に出、柄の悪そうな男に言った。
「昨日はよくもやってくれたな。先生、こいつです、こいつが俺のことを」
「うん、わかった。なるほどなあ。で、お前、なにされたかもう一度言ってみろ」
「は、はい、この女は俺のフィアンセで俺にぞっこんなはずで俺の為にここに居るのにあろうことか油断した俺をだましてそこの男に暴力を振るわさせたんです!」
なにもかもが違いすぎて瑠璃は呆れてものが言えない。
文句を言いたがったが、柄の悪い男は指を鳴らしながら薊の前に立った。
「こいつはこう言ってるが?本当か?」
「何もかも違うな。やるか?」
薊がニヤッと笑うと、「まさか」と柄の悪い男は笑った。
そしてその男は、佐貫に向き合うと笑った。
「お前、嘘はよくねえよって俺は言ったよな?」
「え?」
「嘘だったらどうする?って聞いたよな?」
「え、だって、その、嘘じゃ」
「嘘なんだな」
はあーっとため息をつくと、佐貫が頼んだか雇ったらしい、柄の悪い男は、佐貫の顔にいきなり拳を叩きこんだ。
見事なまでに佐貫の体が宙に浮いてふっとんでいって、瑠璃は驚いて目を丸くした。
「俺をだまくらかしたツケはとって貰うぜ」
「ま、ま、ま、うそじゃ、」
「嘘じゃねえか」
そういって更に佐貫はボコボコに殴られ、「ぎゃあ」とか「ぐぇっ」とか声をあげていた。
顔面を血だらけとあざだらけにされて佐貫は逃げて行って、瑠璃は一体なにが起こったのかと首を傾げる。
薊と柄の悪い男はお互い顔を見合わすとゲラゲラと笑い、互いに抱き合った。
「薊の兄ィ!久しぶりです!」
「万葉!お前こそ、久しぶりだ、いつからこっちに?」
「薊の兄ィがこっちに来てるって聞いたんで、数日前からです」
「さっきのは何だよ」
「世話になってる宿にたまたまあいつの関りのやつに、腕の立つ男を探してるって言われて」
「ははは、バカな奴だな。嬢ちゃん、びっくりさせて済まなかったな」
薊が言うと、瑠璃は頷く。
「こいつは万葉、大陸で一緒だった、まあ、古なじみだな。まさかこんな所で会うとは」
「どうも初めまして。薊とは古い仲でな。怖がらせて済まなかった」
「い、いえ。こちらこそ、なんか巻き込んでしまったみたいで」
すると万葉は、はっはっは、と声をあげて豪快に笑う。
「別に小遣い稼ぎになったからなあ!やっぱり前払にしといて正解だった」
「なんだ、殆ど小遣いじゃないか」
「薊の兄ィがいるとは思わなかったんで。でもまあ、早く会えて良かったです。探している所だったんで」
男は互いにぎゅっと握手していて、瑠璃はなるほど、仲が良さそうだな、と思った。
「ところで兄ィ、この嬢ちゃんは?」
瑠璃はさっと立ち上がって頭を下げた。
「先日、先ほどの男に襲われているところを薊さんに助けて頂きました、瑠璃です」
「女学生か。そりゃ危ないところを丁度良かったな」
「あいつは懲りずに来ると思ったよ」
溜息をつく薊に「なんなんすかあれは」と万葉が尋ねた。
「あれは勝手に私の婚約者を名乗って、好き放題やっている佐貫です。緑光デパートの経営者のバカ息子で」
「惚れられているのか」
「いえ。うちが古い商売をやっているので取り込めば得があると思っているだけです。馬鹿なんですよ。うちには跡取りがいるのに」
「跡取り?」
驚いたような声をあげた薊に瑠璃は頷く。
「ええ。まだやっと八つになるくらいなんですが、弟が居ます。私も家も、みんなその子を跡継ぎにするつもりで」
「―――――そうか、弟さんか……」
なぜか薊は目を細めて、なんとなく嬉しそうな雰囲気になった。
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