神の手は祈りの形をしていない 〜「将来、異能力で犯罪を犯す」と予知されて隔離されたボクら。最弱能力で未来を塗り替える〜

陽々陽

文字の大きさ
18 / 62
007_レクリエーション_クロスコード・デュエル

007_2

しおりを挟む
ユウ「えと……
 ルール説明、します!」

 校庭。
 ジャージ姿のクラスメイトに向けて、ユウは声を張り上げた。

ユウ「さっき、くじで決めた2人組に分かれてください。
 その2人がチームになります」

エレナ「……ふん」

こはく「……」

 顔を逸らしたまま2人が並び立つ。くじの結果、この二人がチームになったのだ。

ノクス(なんとも、チームワークが期待出来そうだ)

ユウ「相手の陣地にある旗を取ったチームが勝ちです。
 妨害はアリですが、直接の攻撃はダメです。
 皆さんには、この尻尾をつけてもらいます」

 ユウは、手に持ったビニルひもを掲げた。
 ビニルひもは、赤と緑の2種類がある。

ユウ「こんな風に」

 ユウはお尻の前に垂れている尻尾を見せた。
 端をジャージのズボンに挟んでいるだけなので、引っ張れば抵抗なくするっと抜けてしまう。

ユウ「えと……」

ミナト「異能力は使用可能ですが、使用する人は赤色の尻尾をつけてください。
 赤色の尻尾は取られると退場です。

 異能力を使わない人は、緑色の尻尾をつけてください。
 緑色の尻尾は、自分の陣地では取られません。相手の陣地だと取られますが、退場にはなりません。
 自分の陣地の旗まで戻って、もう一回尻尾をつけたらゲームに戻れます」

 ミナトの助け船に、ユウは目で感謝を伝えた。
 ゲームのルールを決定する時にも、ミナトはユウをサポートし細かい部分を調整していた。

トーマ「そう、これが、クロスコード・デュエル!」

ミナト「~交錯する異能者の競演~」

 トーマとミナトが、いつも通りの握手。

エレナ「ふむ。このゲームに相性の良い異能力が、一方的に有利にならないようなルールなのだな。
 私は当然、異能力を使うので赤の尻尾を使おう。お前は緑にすると良い」

こはく「あ?なんで?ウチも異能力使うんですけど?」

エレナ「ふん」

 第一試合。
 エレナ&こはく VS トーマ&内気な少女。
 内気な少女のみ、緑の尻尾だ。他の3人は赤の尻尾をつけている。

 コートはそれほど広くない。10m四方のスペースをさらに敵味方の陣地に2分している。

ミナト「では、ケガの無いよう気をつけて。
 開始!」

トーマ「デュエル・クロッシンッ!」

 ゲーム開始のかけ声(非公式)と共に、トーマが手首内側の絆創膏を剥がした。
 その下には大きな傷口。
 ぞろり、と傷口から赤いこぶしくらいの赤黒いものが這い出した。

トーマ「クリムゾン・コード!」

 赤黒い、血液のかたまりは、トーマの周りをグルグルと這い回る。

エレナ「トーマは私がおさえる。お前はあっちだ」

こはく「あ?指図すんなし」

 文句を言いながらも、こはくはトーマのチームメイトの少女の前に立ち塞がった。
 怯えているのか、少女は自陣で縮こまっているだけだ。目だけが、キョロキョロと周りをうかがっている。

こはく「……これ、マークする必要ある?」

 そういえば、この少女だけ名前を知らないな。こはくは、ふとそう思った。
 この子だけ自己紹介をしそびれて、それっきりになっていたんだっけ。

エレナ「油断するな、そっち行ったぞ!」

こはく「わっ、と」

 いつの間に来たのか。足下からトーマの血液のかたまりが躍りかかる。
 飛び退いてなんとか尻尾を守ったものの、着地がコートの外になってしまう。

こはく「あれ?場外はダメなんだっけ?」

エレナ「失格だ、バカもの!」

 エレナは加速した。チームメイトのこはくが失格になった今、2人に攻められたら勝ち目がない。
 いや、それどころか。
 トーマの血液がエレナたちのフラグに向かって移動を開始している。
 ここから勝つには、この一瞬でトーマの尻尾を取って退場させるか、相手フラグを奪って決着をつけるしかない。

 トーマは、エレナが加速しようとしたのを見て、一瞬の判断で後ろに飛びのいていた。
 いかに加速したとて、数歩先のトーマの後ろに回り込むには時間が足りない。
 相手のフラグはさらに遠く……

トーマ「取った!」

 エレナがトーマの尻尾に手をかける前に、トーマの血液がフラグにたどりついてしまっていた。

ミナト「トーマチームの勝利!」

 攻防は一瞬だったが、血液を見事に操ったトーマに拍手が起こった。

こはく「へー、これ、血かあ……
 グロ……いやちょっと、かあいい?」

 こはくは、赤いスライムのようにぷるぷるしているトーマの血液に興味津々だ。

 エレナはため息をついた。

エレナ「いいか、場外に出たものは失格だ。次は気をつけろ」

こはく「……ウザ……」

エレナ「なにか言ったか?」

こはく「……今の試合、わたし悪くなくない?
 エレナ先輩がトーマおさえるっつったのにさ」

エレナ「別に、どっちが悪いなんて話はしていないが?」

こはく「あ?
 ……ちょっと油断してたから、悪かったなーって思って言ってんのに……」

エレナ「じゃあ反省すると良い」

こはく「……」

ノクス(おお、ユウ、見ろ。あの2人、バチバチだぞ)

ユウ(ノクスってさ、ケンカしてる人を見るの、好きだよね)

ノクス(おう。楽しい)

ユウ(性格悪いよね……)

ノクス(……)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

処理中です...