神の手は祈りの形をしていない 〜「将来、異能力で犯罪を犯す」と予知されて隔離されたボクら。最弱能力で未来を塗り替える〜

陽々陽

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007_レクリエーション_クロスコード・デュエル

007_5

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 4人がコート中央に集まった。
 かぐら・しおんチームは、かぐらがミドリ、しおんが赤の尻尾をつけている。
 対するあかり・リュカチームも、あかりがミドリ、リュカが赤となっている。

ミナト「では、始めましょう」

 4人の顔をミナトは見回した。

ミナト「開始!」

トーマ「デュエル・クロッシンッ!」

 試合開始直後に動いたのは、しおんだった。

しおん「いっくよー! どーん!」

 4人の真ん中の地面に向けて、両手の手のひらを向ける。
 その瞬間、地面が爆発し衝撃が広がる。

あかり「いつもながら、凄まじいわね」

 しおんの能力は爆発だ。
 両手を向けた先の一点を爆発させることが出来る。
 爆発とはいっても炎や熱は伴わず、音と衝撃のみだが、距離があっても身がすくむほどの衝撃がある。

 この爆発をいつでもどこでもその身一つで起こせるのだ。危険人物扱いも仕方がないのかもしれない。

かぐら「もらいッス!」

 爆発の衝撃をものともせず、かぐらはリュカの元につっこんでいた。
 リュカの尻尾を掴んだ、かに見えたが、リュカの姿は煙のように霧散した。

リュカ「それは幻さ……」

 本物は爆発に驚いて、腰を抜かしてへたり込んでいる。

 リュカの能力は幻覚だ。自分の姿を様々な場所に映し出すことが出来る。
 触れれば消える淡い幻像だが、複数の自分を様々なポーズや動きで投影出来る。

あかり「すぐ立つ!」

 あかりは、かぐらとリュカの間に割り込んだ。

かぐら「ナイスフォローッス!」

 かぐらは後ろに飛び退き、あかりから距離を取る。

しおん「まだまだ行くよー! どーん!」

 あかりとリュカの近くの地面が爆発した。
 衝撃で動けない2人を尻目に、スキップするような足取りでしおんがフラグに向かって走る。

リュカ「すまないね、少女よ」

しおん「うきゃっ!?」

 突然、横に現れたリュカに、しおんは驚きの声を上げた。

しおん「て、幻覚でしょ?」

 しおんは思い直して手を伸ばした。
 幻なら触れれば消えるはず……

 しおんの伸ばした手に優しくタッチすると同時に、リュカはしおんの尻尾をするり、と抜いた。

リュカ「また踊ろう。爆ぜる星粒の姫様」

しおん「う……」

 しおんは悔しさに顔をゆがめた。
 そして、負け惜しみにつぶやいた。

しおん「キモい」

リュカ「……フフ……ボクにそんな、フフフ……」

 リュカは口の中でもごもごつぶやいて、地面に腰を下ろした。そして両膝を抱える。

リュカ「あかりくん、後は任せたよ……」

あかり「遊んでないで、たたみかけるわよ!」

 コート中央を挟んで、かぐらとにらみ合っているあかりが声を荒らげた。

かぐら「絶体絶命ッスね!」

 かぐらはむしろ嬉しそうに言った。

しおん「ごめんなさい! 甘く見てた~!」

かぐら「どんまいッス! こっから勝ってみせるッスよ!」

リュカ「やれやれ……弱い者いじめは、好きではないのだがね……」

 コートの両端に2人のリュカが現れ、かぐら・しおんチームのフラグに向かう。
 反復横跳びのような身のこなしで、2人のリュカをかぐらは瞬時にタッチした。幻覚は煙に帰す。

リュカ「……おや?」

かぐら「まだまだ行けるッスよ!」

 かぐらはコート中央に陣取り、幻覚が自陣に入るや否やタッチして消した。

あかり「……すご……」

 驚嘆すべき動きで、次々と、かぐらは幻を打ち破る。

かぐら「どうしたッスか!? 幻覚だけじゃ勝てないッスよ!」

リュカ「キミを弱者と呼んだのは撤回しよう」

 5人のリュカが現れ、一度にフラグに向かって走る。
 かぐらは次々とタッチして幻覚を消し、さらに自陣内に突如現れた2人のリュカにも順に手を伸ばし……

かぐら「……キミ、ほんと良い動きするッスね!」

 あかりが、身を挺して1人のリュカを守る。
 かぐらは次の一瞬で、あかねのミドリの尻尾を取るが---

リュカ「さあ、もう休みたまえ。跳ねる戦舞の巫女よ」

 あかねの影を走った本物のリュカが、フラグを掲げた。
 大きく息をついて、かぐらは座り込んだ。

かぐら「……確かにちょっと、キモいっすね……」

しおん「かぐらちゃん!」

 しおんが、座り込むかぐらに飛びついた。

かぐら「めんぼくないッス。勝てなかったッス。

 ……汗だくだから、くっつくと汚れるッスよ」

 しおんは、ぎゅっとかぐらにしがみついた。
 はにかんだ笑いを浮かべて、かぐらはしおんの頭をなでた。

 ……それにしても、最後のあかねの動き……どのリュカが本物か分かっていたような……

かぐら「ホント、このクラス……退屈しないッスね」




【後書き】
 ちなみに、かぐらの最後の負け惜しみは、しっかりリュカに効いてた。

リュカ「……キモい……のか……」

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