神の手は祈りの形をしていない 〜「将来、異能力で犯罪を犯す」と予知されて隔離されたボクら。最弱能力で未来を塗り替える〜

陽々陽

文字の大きさ
20 / 62
007_レクリエーション_クロスコード・デュエル

007_4

しおりを挟む
ルイ「ユウ……お前、本気か?」

ユウ「なにか、変?」

 ユウはわざと横を向いて見せた。
 ちゃんと赤色の尻尾が見えるように。

ルイ「ミドリにしなくていいのかって聞いてるんだよ」

ユウ「?ルイだって赤の尻尾じゃん。一緒だよ」

ルイ「……オレの能力が、幻聴と一緒だって……?」

ユウ(……ヤバいよ、ノクス。思ったより怒ってる……)

ノクス(失礼な話だぜ)

 赤い尻尾を選んだのは、ユウ、ルイ、サキ。ましろはミドリの尻尾をつけた。

ミナト「開始!」

トーマ「デュエル・クロッシンッ!」

ルイ「手加減しないって言ったよな!ユウ!」

 ルイがユウに向かって距離を詰める。
 サキは自分たちのフラグの前で守りの姿勢だ。

ユウ(作戦通り……!)

 ユウの最初の役割は囮だ。
 1人を自陣に引き込んで……

ユウ「ましろ!ルイ集中で!」

ましろ「はーい」

 自陣にいる限り、尻尾を取られることのないましろと、2人でルイを挟み撃ちにする。

ルイ「アブねえ!」

 バチィッ!
 ましろの足下が派手な音を立てた。

ましろ「きゃっ!」

ルイ「直接感電させんのは、反則っぽいからよ。
 地面に電場を溜めた、誘導放電の地雷だぜ」

 よく見ると、ルイの足下がわずかに光を放っている。

ましろ「……え……」

ルイ「違うよ!?危なくないからね!?静電気みたいなもんだから!」

 怯えたましろに、思わず弁明を始めるルイ。

ノクス(今だぞ!速く!)

ユウ(分かってる!)

 ルイをましろに任せ、ユウはルイの横を走り抜けた。
 相手陣地のフラグに向かう。

サキ「任せな!」

 サキが地面に両手を置くと、ユウの目の前に土の壁がせり出た。

ユウ「なにこれ、すげえ!」

 身の丈ほどの土壁に、勢いを殺しきれず、ぶつかる。
 しかし体勢を選ぶくらいの猶予はあった。ユウは肩から、ちょうど壁にタックルするような形になった。
 土壁が少しだけ揺れた。何度かぶつかればぶち破ることも可能だろう。

 当然、相手はそんな猶予を与えてはくれない。

ユウ「うわっと!」

 ユウは辛うじて、サキの手から逃れた。
 サキが土壁を回り込み、ユウの尻尾を狙ったのだ。
 壁を使ってサキと距離をとるユウ。

ユウ「あれ?」

 このままサキとの攻防が始まるかと思ったが、サキはユウに構わず、そのままユウ・ましろチームのフラグに走った。

ユウ(ボクの方が近いのに?!)

 もうあと数歩。ユウは、ルイ・サキチームのフラグの近くにいる。

ユウ(これなら勝てる---?!)

ノクス(急げ、ユウ!)

ユウ「これは、ズルい!」

 ルイ・サキチームのフラグに身体を向けたユウは、思わず叫んだ。
 そこにはフラグを囲むように土壁がそびえ立っていた。

ノクス(届くぞ、乗り越えろ!)

 ユウは壁の中腹を蹴った。辛うじて、片手が壁の上面にかかる。
 サキはまだコート中央。このまま登れば……

ミナト「そこまで!」

ユウ「え?」

 試合は、唐突に終わった。
 なぜ負けたか、ユウには分からなかった。
 
 ルイはましろとにらみ合っていたし、サキもまだコート中央くらいで……

ユウ「やっぱズルイよ、異能力って……」

 サキがユウ・ましろチームのフラグを掲げていた。
 地面ごと、コート中央に移動させたフラグを。

********

ルイ「どうだ、ユウ!俺たち最強だぜ!」

 ルイが嬉しそうにガッツポーズを見せた。
 そして、サキとハイタッチ。

あかり「……なによ、ほとんどサキのおかげじゃない」

 あかりが不機嫌そうにつぶやく。

リュカ「さあ、あかりくん。次はボクらの番だ」

 リュカが立ち上がって言った。地面に腰をおろしているあかりに手を差し伸べる。
 あかりはその手を無視して自分で立ち上がった。
 なぜ、こんなにも機嫌が悪いのか、自分でも分からない。

リュカ「ボクらのセッションを皆に見せつけてやろう!」

 ああ、きっと、このキザ男が自分のチームメイトで、事あるごとにわめき散らかすからだ。

リュカ「君はどうするんだい?尻尾の色は?
 ボクはもちろん赤さ」

あかり「ミドリよ。試合に使えるような力じゃないもの」

リュカ「分かった。今つけてあげよう」

あかり「結構よ!」

 あかりはリュカの手のから、ミドリのビニルひもを奪い取った。

 次の試合は、あかり・リュカのチームと……

かぐら「ウッス!やるッスよ!」

 無駄に腕を回しながら、かぐらが大きな声で気合いを入れた。

かぐら「ね、しおんちゃん!」

 そのままの勢いでチームメイトに声をかける。

しおん「はい、です!やるですよ!」

 かぐらと同じように腕を回しているのは、常磐しおん(ときわしおん)。
 小柄、という言葉では表せないくらい、ちっこい彼女は、このクラスの中でひときわ幼く見える。
 今も、かぐらの真似をして同じ動作をしているつもりだが、アスリートのようなかぐらの動きに対し、父母に良いところを見せたい幼稚園児のおゆうぎ感がただよっている。

ミナト「かぐらさんの能力は危ないので、使用禁止です」

かぐら「マジッスか!でもそんな気はしてたッス!問題ないッス!フィジカルは強い方ッス!」

 なんでも切断する能力……このようなレクリエーションはもちろん、訓練の場でも使用が難しい能力である。

ミナト「しおんちゃんの能力も……」

しおん「マジですか!フィジカル雑魚の私には、大問題です!」

ミナト「……いえ、禁止まではしません。非常に危険……
 とってもあぶないから、気をつけるんだよ」

あかり「同い年だから、やさしく言い換えることないのよ」

しおん「はい、です!」

 ぴょこん、と、しおんは手を上げて答えた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

処理中です...