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二章
11-冒険者ギルド
しおりを挟む「旦那ぁ! ここがこの街の冒険者ギルドですぁ!」
「そうか」
イトは男達に案内され、冒険者ギルドと呼ばれる建物へ訪れた。
中を見ると、先程街で見かけた武器や防具を装備した人で溢れている。
「冒険者になるにはここで受付を済ませた後、テストを受けて最初のランクが決まるんですがぁ……旦那ならB級は固い―――いや、いきなりA級なんてこともあるかもしれませんぜ」
最初の態度とは打って変わり、男はあからさまにゴマを擂ってくる。
『なるほど、テストがあるのか……それじゃあ仕事がスムーズに進むように、ステータスやスキルとかいう項目も全部最高値に設定しておくよ』
「分かった」
『ビキビキビキッ』
オルフが設定を弄ると、イトの体が筋骨隆々に変化し、周囲を異様なオーラが包む。
「ヒッ、ヒィィッ!」
「こっ、こんなバケモンみたいなオーラ、見たことねえよっ!」
「こりゃあA級……いや、その上のミスリル、伝説のオリハルコン級も目じゃねぇっ!」
男達が畏怖と尊崇の目でイトを見る。周囲の冒険者達も、イトの禍々しいオーラに静まり返った。
「それで、冒険者になるには何処で手続きすればいいんだ?」
「あっあちらですぁ旦那っ!」
イトが男に指差された方を見るとそこにはカウンターがあり、視線を送られた受付嬢が「ヒッ」と弱い悲鳴を上げた。
「冒険者になりたいんだが」
イトが受付嬢に話しかけると、
「あっ……は、はいっ! こ、ここちらにお名前をご記入下さいっ!」
受付嬢は手を震わせながら、イトに申込用紙を渡す。そしてイトが項目を書き終えると―――
「イッイト様はっ、ほほ他の街での冒険者等級はおいくつでしたかっ……?」
「いや、冒険者になるのは初めてだ」
「「えええっ!?」」
受付嬢の質問に答えると、ギルド中に驚きの声が響いた。
「あ、あんなオーラを放ってる奴がルーキーだとか、ま、マジかよ……」
「どっかの国の傭兵上がりか?」
「だとしてもあんな装備、王国騎士レベルだろ……そんな奴が冒険者になるか?」
イトが初めて冒険者となることを知り、場は騒然となる。
「で、では最初はテストを受けて頂いた上でイト様の等級を決定いたしますので、こちらにどうぞ」
「分かった」
受付嬢から案内され、イトが奥の部屋へと消える。
「あんな奴がギルドのテストを受けるだとか、一体どんな等級になるんだ……?」
「わ、分からん……ただ、史上初の快挙が起こることは間違いない」
イトがどの等級を与えられるかと、ギルド内の冒険者達全員が固唾を飲んでイトの消えた先を見送った―――
「わ、私がき、君の試験官を務める、こここここのギルドマスターだ。
てててててテステステストトトのななな内容は、わわわわ私と模擬戦をををおこおこ行いいいい、ききき君のじじじじつ、じつ、実力を測るが……」
ギルドマスターを名乗る屈強な男は、イトを前にして完全に萎縮しきっていた。
『イト、どうやらこのテストの結果次第で、君の等級が決まるみたいだ。
仕事の遂行にも大きく関わるかもしれないから、本気で取り組んだほうが良さそうだね』
「ああ、全力で向かう」
「ヒッ、ヒイィィッ!」
オルフの真剣なアドバイスにイトが応じると、ギルドマスターはその言葉にガクガクと足を痙攣させた。
「あ、あの、あの、べっベベベ別に、少しくらいてててて手を抜いてもいいんだぞ!?」
「いや、完璧に仕事を遂行するため、全身全霊をもってテストを受ける」
ギルドマスターの願いも虚しく、イトはやる気に満ちた目を向ける。すると―――
「―――あ! そ、そうだ! と、とりあえず剣の素振りを見せてくれ!
まずはそれで君の剣筋を確かめてみよう! うん! そうしよう!」
ギルドマスターは突如立ち会いから素振りへと、舵を切り替えることで難を逃れた。
「分かった。全力で素振りに取り組む」
「へっ―――」
イトは剣を構え、力を込める。すると―――
『ゴゴゴゴ……』
イトの全身から剣の先まで、揺らめくオーラが包み込む。建物がギシギシと音を立てながら軋む。
「いや、ごめっ……! やっぱ素振りも無―――」
「フンッ!」
ギルドマスターの静止も間に合わず、イトが渾身の力を込めて剣を振り下ろす。
『ズォォオオオーーーッ!』
すると剣の先から龍、白虎、大蛇、更には獄炎と雹のオーラが猛烈に駆け抜けた。
『ドガァァーーーン!』
ギルドの壁が物凄い音を立てて崩れ、
『バガァアーーーン!」
隣家の屋根が跡形もなく消し飛び、
『グギャアオォーーーン!』
空を飛ぶ龍が消し炭となり、
『ドッガァアーーーン!』
遥か遠くの空で、まるで終末が到来したかのような大爆発を巻き起こした。
「あ、ああっ……はっはひはふはははっ」
あまりに恐ろしい一振りに、ギルドマスターは腰を抜かして倒れ込んだ。
「おい、大丈夫か」
イトが心配そうに声をかける。だがギルドマスターは気絶してしまったようで、答える代わりに口からブクブクと泡を吹いた―――
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