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28-実証
しおりを挟む「あ、あり得ない……あなた達みたいに優秀な人間が、そんなふしだらなことしてるなんて……」
高根の表情からは、怒りや失望、軽蔑といった様々な負の感情が読み取れた。
そんな高根を横目に、中山さんは満面の笑みを浮かべながら俺のズボンに手を突っ込む。
「そうだよぉ。私達、毎日エッチなことばっかりしてるんだよぉ」
『ジジィーッ』
中山さんがズボンのジッパーを下げ、俺のチンポを取り出す。
「ち、ちょっと! 何してるのっ!」
「あぁむっ ジュルルッ」
高根の静止も無視し、中山さんはそのままフェラチオを始めた。
高根はあまりにも淫猥な光景に、思わず顔を隠す。
「や、やめなさいっ!
そんな淫らな行為にかまけてっ、優秀な才能を無駄にするなんて、ば、馬鹿げているわっ!
二人共目を覚ましなさいっ!」
よほど純潔を是と考えているのだろう。
俺達の淫行を目の当たりにしても、逃げることなく必死に説得を試みている。
自分が才能を認め、恋人にしようと考えていた相手だからなおさらだ。
だがそんなこともお構いなしに、中山さんは俺のチンポを美味しそうにしゃぶり、俺は快感に身を委ねる。
先程中山さんに真実を打ち明けられ、俺は心を打たれてしまった。
一瞬穏便に済めばそれでいいなんて考えてしまったが、今はスケベな中山さんの思いに全身全霊で応える気持ちにしかなれない。
中山さんに、罪悪感なんて抱かせたくない。
本当は全部、俺のせいなんだ。
俺が異常な快楽を味わわせてまで、中山さんを俺の元に留めさせようとしたんだ。
中山さんに、劣等感を抱かせたくない。
一番劣等感を抱いているのは、俺の方なんだ。
俺の脳裏には、いつも昔の自分がチラつくんだ。
だから俺は、思い出したくない過去の自分から逃げるように、見栄を張ることに必死なんだ。
中山さんに、スケベな自分を恥ずかしく思わせたくない。
本当は裏技を使って欲しいものを欲しいままに生きている俺が、一番恥ずかしい奴なんだ。
俺が一番スケベで、どうしようもない奴なんだ。
だから俺は―――
中山さんが隠し持っていた劣情を俺に向けてくれるのならば、すべて受け止めたい。
今の俺はもはや、中山さんと淫欲にまみれることしか考えられなかった。
中山さんが寂しげな笑顔を浮かべたのは、きっと自分が最も憧れた存在から蔑まれたからだろう。
こんな俺達の関係を、なにも知らない女なんかに邪魔されたくない。中山さんの本当に可愛い笑顔を、こんな奴に奪われたくない。
ここで俺が高根の価値観に従い、常識人を装おうものなら、きっと中山さんは―――
高根の方が俺の彼女に相応しいと感じてしまうだろう。
やめだ。
もう全部やめた。
俺はスケベな自分を、この女の前にさらけ出そう。
そして中山さんも俺と同じ気持ちのようだ。
俺と同じく中山さんもまた、憧れの高根ルイザを前に、取り繕うのを止めていた。
『チュポッ』
「かまけてなんかないよ。エッチに本気なんだよっ。
満保君とエッチなことをするのが、私の幸せ。満保君とのエッチが、私の生きる意味。
満保君とのセックスが―――私の人生のすべてだよ」
中山さんは俺のチンポを握りしめながら、真っ直ぐな瞳できっぱりと宣言した。
「俺がスケベなのも、中山さんのせいなんかじゃない。
俺自身が元々スケベなだけだ。
スケベな俺とスケベな中山さんが、ひたすらスケベなことを楽しむのが俺達の生き方だ」
中山さんは、俺とのセックスにすべてを捧げてくれている。
それを喜ばずにいられるか。
最高に可愛くてエロい中山さんが、嬉しそうにしゃぶってくれているチンポが最高に気持ちいい。
その気になればこの快楽を何倍にも高め、永遠にこの快楽の時に留まっていられる。
これ以上の幸せがあるか。
この子とセックスする以上に、必要なことがなにかあるか?
あるなら挙げてみろ、高根ルイザ。
俺はチラリと高根に視線を送る。すると―――
「つ、付き合ってられないわ。
私はどうやらあなた達のことを、過大評価していたみたいね。セックスのためだけに生きるなんて、人間のクズがやることよ。
帰るわっ。そしてもう二度と、私に関わらないで頂戴っ」
そう言いながら、高根は玄関へと踵を返す。
「そっかぁ……満保君にしてもらえば、この世で一番幸せな気持ちを味わえるのに。
それを知らずにこれから生きていくなんて、ルイルイ可哀想」
中山さんが裏筋をレロッとひと舐めし、挑発的な視線を送る。
「これのどこが幸せなの!?
こんなの……堕落者の末路じゃないっ!
こんなのに溺れて生きていくなんて、死んでもお断りよっ!」
すると強い足取りでこちらに迫り、怒り狂った顔で俺達を罵倒した。
先程は俺に一度だけチャンスを与えるだとか偉そうなことを言っていたが、やはり行為を目の当たりにすればそうなるか。だが―――
「そうやって―――これからお前は自分の相容れない研究や論文に対しても、理解しようとせず、無駄な研究だと切り捨てていくのか?
あるいは、自分だけが信じている結論に浸かって、何の実験もせず、実証もせず、自己満足な似非科学者の道を行くのか?」
「あっ、あなた達のそれだって、自己満足もいいところじゃないっ!」
「ああそうだな。だがルイザのように、なにも試さず無価値だと決め付けたりはしない。
趣味も、勉強も、そして快楽も―――すべて身を持って学び、自分に必要かどうかを考えて選んでいる。
お前は単なる先入観や自分の価値観で、勝手に決め付け、線引し、差別して、相容れないものへの学びから逃げているだけだ」
「ぐ、ぐぐっ……」
再び科学の話を持ち出すと、高根は面白いように口を紡ぐ。
普通に考えたら、俺達のほうがおかしいって分かるだろう。
考えて選んでなどいない。
なんにも考えずに頭真っ白になって、クッソ気持ちいい行為に突っ走っているだけだ。
だが結果として俺は東大の入学生代表となり、中山さんも正常な頭を保ちながら、高根と深い会話を楽しめている。
これらは全てアプリのお陰だが、突きつけられた現実は高根の常識とプライドを粉々に砕いているはずだ。
だからこそ高根は、恋人にしようと思う程に学力を認めている俺から、科学を逆手に取られるとなにも言えなくなってしまうのだ。
だとすれば……こうも思っているはずだ。
これだけ快楽に身を委ねていながら、自分が認める程の知性を有しているのであれば、ひょっとするならば、快楽にもなにか有用性があるのでは……? と。
案の定高根は訝しく顔をしかめながらも、深く考え込み始めた。
「わ、分かった……わ。当初の約束の通り、一度だけ試させてあげるわ……
その代わりっ! もしこんなもの無駄だとハッキリすれば、あなた達は別れて真っ当な道を歩みなさいっ!
そして時生のことは、私が学問に専念させるわっ!」
その言葉に、俺と中山さんは目を合わせて口元をニヤつかせた。
そんなことはあり得ないと、俺達は知っている。
必ず―――高根は快楽に堕ちる。
あの凄まじい快感からは、誰も逃げられない。
「それじゃあ……私と満保君で優しく教えてあげるねっ、ルイルイッ」
二人の悪魔が、淫らに微笑んだ。
「私が脱がせてあげるねっ」
俺達はベッドに横たわる高根の体を、二人で両脇に挟んでいる。
そして中山さんがニコニコと笑顔を浮かべながら、高根の服を脱がしていった。
「あんまり……じろじろ見ないでよ」
その様子を眺めていると、高根からキッと睨みが飛ぶ。
やれやれ。一体いつまでそうやって強気でいられるか……
この後快楽に崩れる高根の姿を想像し、顔が思わずニヤける。
だがここは素直に従い、俺は視線を逸らした。
導入は同姓である中山さんに任せた方が、高根も幾ばくか安心できるだろう。
むしろ好意を持っている俺の方からしてやった方が喜ぶか?
一瞬そのように考えもしたが、明らかに不機嫌そうな顔を見ていると、どちらにしろ同じことだろうと思い直した。
だがこうやって可愛い女子同士が絡んでいる光景を見るのは、実に甘露だ。
「ふうっ」
「んヒィッ!? ちょ、ちょっと……やめなさいっ」
時折中山さんが耳元に息を吹きかけたりして弄んでいる。
高根の反応は実に初々しい。
嫌そうにしつつも、こそばゆい感覚に耳が真っ赤になっている。
だが中山さんはちょっかいを止めることなく、首筋を舐めたり、足に手を這わせたりと、官能的に高根の体を刺激する。
中山さんにとっては夢にまで見た憧れの存在なのだ。
先日中山さんの口から思わず、高根への卑猥な願望が露呈したように、この美女を前に感情の昂りが抑えられないのだろう。
気付けば中山さんの手によって服は剥がれ、高根は下着姿となっていた。
「それじゃあそろそろ俺も参加させてもらうよ」
「―――ッ!」
俺が接近すると、高根の体がビクリと跳ね、目口がギュッと閉じられる。
その顔は恥辱に耐えるというより、なにやら胸熱に驚いているといった感じだ。
それもそうだろう。
高根が好むフランス映画や小説には、恋愛ものも多分に含まれている。
そういった作品に触れてきていて、恋愛や男女の情事になんのときめきや羨望も抱かない方がおかしい。
そして今、少なからず好意を抱いていた相手から迫られているのだ。
これが高根の望んだシチュエーションではないかもしれないが、今高根の中では、きっと感じたこともない胸の高鳴りが踊っていることだろう。
そんな高根の髪にそっと触れ、頬にキスをする。
再び高根の体が跳ねる。
肩に手を這わせ、指先を舐める。
他方で中山さんも、鼻息荒く高根の肌に吸い付いていた。
「あっ……くっ、うぅっ……」
二人から体中にキスされ、高根の口から堪らず声が漏れる。
その反応に俺達の気分も昇り、次なる愛撫へと手を進めた。
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