【R18】時間を保存しコピー出来るアプリを手に入れて人生バラ色

広東封建

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35-アイドル

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 派手なヒラヒラ衣装と、どデカいリボンを頭に付け、ピンク色のボブヘアーを揺らしながらマイクを片手に笑顔を振りまく。

「キャッー! しずくちゃーん!」

「ほっしーだ! ほっしーがいるぞ!」

 その姿を見た通行人達が、驚きと共にステージの方へと集まっていく。

「突然ですが、今からここでゲリラライブを開催したいと思いまーす!」

 どうやらアイドルのイベントが行われるらしい。
 一体が大歓声に包まれ、人の波がステージへと押し寄せる。

「えっ……嘘っ! ほっしー!? ほっしーが来てるのっ!?」

 先程までショッピングを楽しんでいた中山さんまでもが、ステージの方へ注目する。
 すると何やら昔テレビで聴いた覚えのある曲が流れ始めた。

「ほっしー……ああ、あの星宮しずくか!」

 耳に残るキャッチーなメロディと、特徴的な名前に、俺もすぐにそのアイドルのことを思い出した。
 俺が学生の頃、一人のアイドルが日本に旋風を巻き起こす。
 ネット動画サイトに配信されたデビューソングのMVが、日本だけでなく海外の一部でも話題となり、トップ歌手として一気にスターダムを駆け上がった。
 
 派手なメイクにポップな衣装、そして意味不明な歌詞をリズムよく歌い上げる彼女のスタイルは、当時の若者の流行最先端となり、日本のKYAWAII文化を代表するアイドルとして国内外で持て囃された。

 俺が三十を過ぎた頃にはすっかり鳴りを潜めてしまったが、彼女の功績はその後のアイドル・女性歌手業界に多大なる影響を遺した。

「へぇ~、中山さんは星宮しずくも好きだったんだ」

「当然だよぉ~! ルイルイに続く、私にとって第二の憧れの女の子だよ!
 私ちょっと、行ってくるね!」

 すると中山さんは手に持っていた洋服を戻し、外へと走り出してしまった。
 気付けば店員すらも仕事を放棄し、窓に張り付いてステージを眺めている。
 そして店内には俺と高根だけがポツンと取り残されてしまった。

「ど、どうする? 俺達も見に行くか?」

「い、いえ……私はいいわ」

 一応高根も誘ってみるが、高根は何やら気まずそうにステージから視線を逸していた。

「そ、そっか。それじゃあ……誰も見てないし、ここでセックスでもするか?」

「え、ええと……こ、こんなところでしたら、す、ステージから見えちゃうかもしれないじゃない」

「でも見つかったら無かったことにすればいいんだろ?」

「そ、そうだけど……でも、今はちょっと……」

 見つからずにセックスするという当初の目的からすれば、絶好のタイミングのような気もするが、高根は歯切れの悪い言葉を述べて乗ってこない。
 あのアイドルに何かあるんだろうか。
 そう思いながらステージの方を見ると、そこで歌っている星宮しずくが、なにやら驚いたように目を見開き、笑顔でこちらに手を振っている。

「お、おい……星宮しずくがこっちを見て手を振っている気がするんだが」

「き、気のせいでしょ。終わるまで美玖のことは放っておいて、さっさと他のところに行きましょっ」

 高根は星宮のライブなどお構いなしに、そそくさと出ようとする。すると―――

「おっ、おい……なんだか星宮しずくがスンゲー泣きそうな顔でこっちを見てるぞっ。
 あ、今なんかちょっと小さい声で『行かないで』って言った気が―――」

 星宮は明らかに高根の行方を目で追っかけている。しかも先程から一向に反応を示さない高根を見て、歌声すら震えているように聞こえる。

「わ、分かったわよ! 見ればいいんでしょ! 見れば!
 時生っ! 見終わったらすぐに美玖を連れてここを離れるわよ!」

「お、おう……」

 高根が心底煩わしそうに、腕を組みながらステージを見やる。
 すると再び星宮の表情は笑顔に変わり、楽しそうに一曲を歌い上げた―――


「―――はぁ~、すごかったぁ~。
 生で観るほっしー、とっても可愛いかったなぁ~」

 ゲリラライブが終わると、中山さんはご満悦の表情で俺達のところへ戻ってきた。

「な、中山さんって、ルイザだけじゃなく星宮しずくのこともそんなに好きだったんだ……」

「当然だよぉっ! ほっしーはルイルイがいた事務所と同じところに所属してたんだよ!
 最初はルイルイが圧倒的に人気だったけど、ルイルイが引退してからはほっしーが事務所の看板を背負って大活躍してたんだよぉっ!」

 中山さんが本人を前に、高根ルイザと星宮しずくのプロフィールを熱く語り始めた。
 この様子から察するに、どうやら中山さんは可愛い女の子に目がないようだ。

「そうだったのか……てことはやっぱりさっきのは、星宮しずくがルイザに気付いてたってことか。
 ならどうしてルイザはその場から逃げようとしてたんだ?」

「え!? さっきほっしーが手を振ってたのって、ルイルイに向けてだったの!?
 すごーーい! ほっしーとルイルイのコラボなんて、超レアなシチュエーションだよぉー!」

 俺と中山さんから注目を受け、高根はバツが悪そうに視線を逸した。

「わ、私……あの子ちょっと苦手なのよ……」

「ええーーー!? そんなっ、ルイルイあんまりだよぉ~~~っ!」

「うわ~、芸能界の裏を知ってしまった気分だ……」

 高根の爆弾発言に中山さんはショックを受け、俺はやや引き気味に視線を送る。

「ちっ、違うわよ! 確かにしずは事務所の後輩だし、私を慕ってくれていたから別に嫌っているとかじゃなくて……
 ただ、ちょっと面倒なところがあって―――」

 高根がなにやらモゴモゴと言葉を濁していると―――

「ルイせんぱぁ~~~い!」

 向こうから手を振りながら走ってくる少女の姿があった。
 キャップを深く被り、ダボダボのスウェットにジーンズ、更には太い黒縁の眼鏡にマスクまで付けている。
 これはどう見ても怪しい風貌だ。というより―――

「し、しずっ……!?」

 高根は怪しい人物の姿に、分かりやすく狼狽えた。
 これは確実に、星宮しずく本人で間違いない。

「えっ!? ほ、ほっし――モガッ!」
『ガバッ』
「ち、ちょっと美玖……! 大声で呼ばないで……!」

 その少女が星宮しずくであることに気付いた中山さんは、テンションが上がって一瞬その名前を叫びそうになるが、すぐさま高根の手によって遮られる。

「ルイせんぱぁいっ! しずのライブ観に来てくれたんですねぇ~!
 すっごく嬉しいですぅ~~!」

「あ、ちょっと……しずっ、は、離れなさいっ!」

「はぁ~~っ、久々のルイ先輩の匂い~~~っ! クンカクンカッ」

 高根が星宮を引き剥がそうと頭を押さえるも、星宮は強く抱き着き離れようとしない。

 あ、こいつ変態だ。
 変態の類いだ。

 高根の匂いを嗅ぎながら光悦の表情を浮かべる星宮に、俺は怪しい気配を感じ取る。すると―――

「あ~~っ! こっちの女の子も可愛い~~っ!
 しっ、しかも爆乳ッ……! デヘッ、デヘヘッ!」

 次はあろうことか、中山さんにターゲットを向けた。

「ほ、ほっしーがっ、わっ私に迫ってる……!?
 すっ、すごい……! おっ、おいでおいでっ!」

「ハッハッハッ……! バクニュウ……バクニュウ……!」

 ダメだ。
 こいつは危険な奴だ。
 このままじゃ二人ともこの場で発情して、乱痴気騒ぎを起こしてしまう。

 二匹の獣が鼻息荒く迫ろうとしている状況に焦り始めると―――

「お、おいっ……あそこにほっしーがいるぞ!」

「な、なんでこんなところに……って―――あれ高根ルイザじゃね!?」

「ほ、ほんとだ! おい! 星宮しずくと高根ルイザのツーショットだ!」

 すると周りの人間達が高根と星宮の存在に気付き始め、場が騒がしくなってくる。

「ああっもう! だから言わんこっちゃない!
 時生! 美玖! 逃げるわよ!」

「え、あ、うん」

「ええ~っ! せっかくほっしーと会えたのにぃ~!」

 人集りができ始める中、俺達は高根に先導されて慌ててその場を離れた。


「―――はぁっ、はぁっ……よ、ようやく撒けたわねっ」

 ようやく人の多い場所を抜け、俺達は人気のない街路へと辿り着いた。

「てっ、ていうかっ……時間をゲリラライブの前に戻して、他の場所に行けばよかったんじゃ―――」

 どんなピンチな状況だろうと、アプリを使えば乗り切れる。
 こんな風に逃げ回る必要もなかったのではと、俺は提案するも―――

「そっ、そんなのダメだよっ!
 せっかくほっしーをあんな近くで見れたのにっ!」

 どうやら中山さんは、星宮しずくとの出会った事実を消滅させられることに反対のようだ。

「―――まぁひとまず、どこかで休憩でもするか……」

「それじゃあ、あそこに行きましょ」

 俺が休憩を提案すると、高根がとある建物を指差す。
 それはピンクの看板が光る、どう見ても明らかなラブホテルだった。

「へえ、高根が普通にラブホテルに行きたがるなんて意外だな。昨日は人前でしたいとか言っていた癖に」

「さ、流石にあんなハプニングがあった後では、人前でする気になんてなれないわよっ!」

 俺がニヤニヤと目配せすると、高根は顔を真っ赤にして目を背ける。

「でも私も、皆でああいうところに行ってみたいと思ってたんだぁ~」

 中山さんもラブホテルには興味があるようで、妖艶な雰囲気を醸し出す建物を興味深そうに眺めている。
 そういえば俺もラブホテルは初めてだな……
 生まれて初めてのラブホを美女と三人で……これは中々に胸が躍る展開だ。

「そ、それに走ったせいで、あ、アソコがもう……」

「わ、私も……もう我慢できないよぉ~」

 そういえば二人とも、バイブを挿れっぱなしにしていたことを忘れていた。
 二人がモジモジと体をくねらせる姿に、俺も股間が滾る。

「そ、それじゃあここで休憩しよっか」

「うんっ! 楽しみだなぁ~っ」

「OK。でもゆっくり休ませたりなんかしないわよ?」

「さんせー」

 俺は三人の意思を確認し、人生初のラブホテルに入ろうとしたところで―――

「え……三人?」

 一人謎の声が入ってきたような気がして、思わず振り向く。
 中山さんと高根も気付いたようで、同じ方に顔を向ける。すると―――

「ん? どうしたのー?
 皆でホテル行くんでしょー?」

 なぜか星宮しずくの姿が、そこにあった。
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