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第一章【レイシア編】
冒険者ギルド
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冒険者ギルドの中に入ると、そこは毎日よく見る場所だった。
(おっあそこにいるのはAランク剣士のレイシアさんだ。
……っと、この頃はまだCランクだったっけ。
確か俺より2つ上で冒険者の中では若手だったけど、グングンランクを上げて行って気付いたらAランクにまで登りつめたんだよな。
若くして剣の才能で名をはせるレイシアさんにあこがれて、俺も剣士を目指したんだったな~)
シンは目の前にいる先輩冒険者の若かりし頃の姿になつかしさを覚え感傷に没る。
その人の名前はレイシア。
この頃18歳の若手女性剣士だ。
金色の長い髪が美しく垂れ、頑丈なプレートが細い体を覆っている。
端正な顔立ちはこの街にいるどの女性よりも美しい。
身に付けている防具はレイシアの体に合わせたオーダーメイドで、上半身は豊満なバストのため胸部が大きく膨れ上がっている。
下半身にも同様に防具を身に付けているが、ヒラヒラとなびくスカートと防具の間には白い肌の絶対領域が見え隠れしている。
ただでさえ美しい女性が非凡な剣の才能を持ち合わせているとなれば、あこがれないはずがない。
結局あこがれはあこがれのまま、その差はどんどん広がる一方だったが。
シンが死ぬ前に抱いていた羨望や劣等感といった様々な感情に複雑な思いを抱いていると一一
「君見ない顔だね。ひょっとして新人の冒険者かい?」
レイシアがシンの存在に気付き話しかけてきた。
「あ、は、はい!今日が初めてのクエストです!」
突然レイシアに話しかけられシンは硬直する。
(そういえば14年前もこうして右も左もわからずとまどっていた俺に声をかけてくれたんだっけ……)
高ランク冒険者としてどんどん駆け上がっていくレイシアとはその後疎遠になってしまったが、再びこうしてあこがれの先輩のやさしさに触れ、シンは嬉しさがこみ上げた。
「そっか。それじゃあ冒険者登録はまだだね。よかったら私が案内してあげるよ」
レイシアがやわらかな笑顔を向けながらシンの腕を取る。
(この頃からまさに完璧美少女だな。本当はギルドでの手順は全部知ってるんだけど)
過去に戻ってきたシンにとってギルドでのやり取りは慣れたものだったが、ここで好意を断るのも野暮だと思い、手を引かれるまま冒険者ギルドのカウンターヘと向かった。
「すみません。この子の冒険者登録をお願いします」
レイシアがシンの代わりに受付嬢に話しかける。
一応16歳だしレイシアとも2歳しか変わらないはずなのだが、まるで年の離れた弟のような扱いに、中身おっさんのシンは気恥ずかしさを覚える。
「あら可愛い冒険者さん。初めての登録ですか?」
明らかに以前の自分より年下の美人な受付嬢も、レイシアと似たような態度で接してくる。
まだ少年の扱いにはどうしても慣れないが悪い気はしない。
先ほど散々淫魔のお姉さんに可愛がられたせいか、今の自分より年上の女性がやけになまめかしく見えてしまう。
思い出せば若い頃は年上の女性が妙に色っぽく感じたものだ。
「は、はい」
シンは若干照れながら答える。
その反応が二人の女性には新米冒険者らしい初々しさに思えたが、本当の理由は別にあることを二人は知るよしもなく、微笑ましそうに笑顔を浮かべた。
「ではギルドカードを発行しますので、こちらの水晶に手をかざして頂けますか?」
受付嬢の発した言葉に、シンは重大な問題に気付いた。
(し、しまった! 登録の際はステータスを見られるんだった! 強欲なんて怪しいスキルを見られるのはマズイ!)
シンはこれまで強欲なんていうユニークスキルを聞いたことは無かったが、誰がどう見ても怪しそうなスキル名だ。
未知のスキルだったら詳しく調べられてしまう可能性もある。
それはシンにとって今後ハッピーな淫欲ライフを送る上で、なんとしても避けたい事態だった。
「……? どうかしましたか?」
明らかに戸惑っているシンに対し、受付嬢が心配そうに声をかける。
「あ~いや~え~っと、その……ステータスを見られるのが恥ずかしくて……」
なんて言えばいいのか分からず、思わず正直に答えてしまう。
「あらうふふ。初めてなんだから気にしなくていいですよ。
それに表示されるのは名前とレベルと職業だけですから」
どうやら能力値やスキルはバレないらしい。
低い能力値が露見するのを恥ずかしがっていると勘違いした受付嬢が、親切に説明してくれた。
そういえば当時は何の疑問も持たずに、言われるまま手続きを行った事を思い出す。
「わ、わかりました」
強欲スキルがバレない事に一安心したシンは、素直に手を差し出す。
すると手を添えられた水晶が青く光を放った。
「えーっとお名前はシンさんですね。
まあ! 降魔術師だなんてめずらしい! それに初心者なのにレベルが5もあるなんて!
これは新たな逸材が現れたかしら……?」
受付嬢が水晶に表示されたステータスを見て感嘆の声をあげる。
10年以上冒険者をやっていていまだLv5だったのはとても誉められたものではなかったが、新米の初期値としては高い部類に入る。
もちろん初めての時はLv1だったし、シンのステータスについて特段触れられもしなかったが、これは将来有望と見たのか受付嬢は驚きとともに意味ありげな目線でシンを見つめる。
「君優しそうな見た目に反して強いんだね! しかも職業も結構ダークだし……
ひょっとしたら結構裏の顔を秘めるタイプだったりして……?」
レイシアもシンの意外なステータスに感心しながら、ニヤニヤと内側を探るような視線を送ってくる。
「い、いえ……たまたまですよ」
(まさか淫魔とセックスして強くなりましたなんて言えるわけないしな……)
何がたまたまなのか全く不明だが、詳しい理由を語るわけにもいかずシンが苦しい言い訳を述べる。
「それでいて謙虚とは、お姉さんますます君の事気になっちゃった!
困ったことがあったらなんでも相談してくださいね♪」
シンの内心など知るよしもなく、受付嬢がウィンクを投げてくる。
妙に悪目立ちしてしまったが、美人に受付嬢に気に入られたのは悪くない。
とりあえず誤魔化せたのでよしとしよう。
女性の注目を浴びる喜びと、いやらしい事をして強くなったという後ろめたさに、シンはなんとも言えない複雑な心情を抱いたーー
(おっあそこにいるのはAランク剣士のレイシアさんだ。
……っと、この頃はまだCランクだったっけ。
確か俺より2つ上で冒険者の中では若手だったけど、グングンランクを上げて行って気付いたらAランクにまで登りつめたんだよな。
若くして剣の才能で名をはせるレイシアさんにあこがれて、俺も剣士を目指したんだったな~)
シンは目の前にいる先輩冒険者の若かりし頃の姿になつかしさを覚え感傷に没る。
その人の名前はレイシア。
この頃18歳の若手女性剣士だ。
金色の長い髪が美しく垂れ、頑丈なプレートが細い体を覆っている。
端正な顔立ちはこの街にいるどの女性よりも美しい。
身に付けている防具はレイシアの体に合わせたオーダーメイドで、上半身は豊満なバストのため胸部が大きく膨れ上がっている。
下半身にも同様に防具を身に付けているが、ヒラヒラとなびくスカートと防具の間には白い肌の絶対領域が見え隠れしている。
ただでさえ美しい女性が非凡な剣の才能を持ち合わせているとなれば、あこがれないはずがない。
結局あこがれはあこがれのまま、その差はどんどん広がる一方だったが。
シンが死ぬ前に抱いていた羨望や劣等感といった様々な感情に複雑な思いを抱いていると一一
「君見ない顔だね。ひょっとして新人の冒険者かい?」
レイシアがシンの存在に気付き話しかけてきた。
「あ、は、はい!今日が初めてのクエストです!」
突然レイシアに話しかけられシンは硬直する。
(そういえば14年前もこうして右も左もわからずとまどっていた俺に声をかけてくれたんだっけ……)
高ランク冒険者としてどんどん駆け上がっていくレイシアとはその後疎遠になってしまったが、再びこうしてあこがれの先輩のやさしさに触れ、シンは嬉しさがこみ上げた。
「そっか。それじゃあ冒険者登録はまだだね。よかったら私が案内してあげるよ」
レイシアがやわらかな笑顔を向けながらシンの腕を取る。
(この頃からまさに完璧美少女だな。本当はギルドでの手順は全部知ってるんだけど)
過去に戻ってきたシンにとってギルドでのやり取りは慣れたものだったが、ここで好意を断るのも野暮だと思い、手を引かれるまま冒険者ギルドのカウンターヘと向かった。
「すみません。この子の冒険者登録をお願いします」
レイシアがシンの代わりに受付嬢に話しかける。
一応16歳だしレイシアとも2歳しか変わらないはずなのだが、まるで年の離れた弟のような扱いに、中身おっさんのシンは気恥ずかしさを覚える。
「あら可愛い冒険者さん。初めての登録ですか?」
明らかに以前の自分より年下の美人な受付嬢も、レイシアと似たような態度で接してくる。
まだ少年の扱いにはどうしても慣れないが悪い気はしない。
先ほど散々淫魔のお姉さんに可愛がられたせいか、今の自分より年上の女性がやけになまめかしく見えてしまう。
思い出せば若い頃は年上の女性が妙に色っぽく感じたものだ。
「は、はい」
シンは若干照れながら答える。
その反応が二人の女性には新米冒険者らしい初々しさに思えたが、本当の理由は別にあることを二人は知るよしもなく、微笑ましそうに笑顔を浮かべた。
「ではギルドカードを発行しますので、こちらの水晶に手をかざして頂けますか?」
受付嬢の発した言葉に、シンは重大な問題に気付いた。
(し、しまった! 登録の際はステータスを見られるんだった! 強欲なんて怪しいスキルを見られるのはマズイ!)
シンはこれまで強欲なんていうユニークスキルを聞いたことは無かったが、誰がどう見ても怪しそうなスキル名だ。
未知のスキルだったら詳しく調べられてしまう可能性もある。
それはシンにとって今後ハッピーな淫欲ライフを送る上で、なんとしても避けたい事態だった。
「……? どうかしましたか?」
明らかに戸惑っているシンに対し、受付嬢が心配そうに声をかける。
「あ~いや~え~っと、その……ステータスを見られるのが恥ずかしくて……」
なんて言えばいいのか分からず、思わず正直に答えてしまう。
「あらうふふ。初めてなんだから気にしなくていいですよ。
それに表示されるのは名前とレベルと職業だけですから」
どうやら能力値やスキルはバレないらしい。
低い能力値が露見するのを恥ずかしがっていると勘違いした受付嬢が、親切に説明してくれた。
そういえば当時は何の疑問も持たずに、言われるまま手続きを行った事を思い出す。
「わ、わかりました」
強欲スキルがバレない事に一安心したシンは、素直に手を差し出す。
すると手を添えられた水晶が青く光を放った。
「えーっとお名前はシンさんですね。
まあ! 降魔術師だなんてめずらしい! それに初心者なのにレベルが5もあるなんて!
これは新たな逸材が現れたかしら……?」
受付嬢が水晶に表示されたステータスを見て感嘆の声をあげる。
10年以上冒険者をやっていていまだLv5だったのはとても誉められたものではなかったが、新米の初期値としては高い部類に入る。
もちろん初めての時はLv1だったし、シンのステータスについて特段触れられもしなかったが、これは将来有望と見たのか受付嬢は驚きとともに意味ありげな目線でシンを見つめる。
「君優しそうな見た目に反して強いんだね! しかも職業も結構ダークだし……
ひょっとしたら結構裏の顔を秘めるタイプだったりして……?」
レイシアもシンの意外なステータスに感心しながら、ニヤニヤと内側を探るような視線を送ってくる。
「い、いえ……たまたまですよ」
(まさか淫魔とセックスして強くなりましたなんて言えるわけないしな……)
何がたまたまなのか全く不明だが、詳しい理由を語るわけにもいかずシンが苦しい言い訳を述べる。
「それでいて謙虚とは、お姉さんますます君の事気になっちゃった!
困ったことがあったらなんでも相談してくださいね♪」
シンの内心など知るよしもなく、受付嬢がウィンクを投げてくる。
妙に悪目立ちしてしまったが、美人に受付嬢に気に入られたのは悪くない。
とりあえず誤魔化せたのでよしとしよう。
女性の注目を浴びる喜びと、いやらしい事をして強くなったという後ろめたさに、シンはなんとも言えない複雑な心情を抱いたーー
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