百鬼淫行

淀川 乱歩

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其の八 百壱鬼夜行のニ

其の八 百壱鬼夜行の二十八 菊蛞蝓、膣蛭 其の壱

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 ……菊蛞蝓(アナメクジ)は、人間の子供の肛門(アヌス)の中、直腸に寄生する蟲の妖怪で或る。
 ……また、膣蛭(チツボビル)は、人間の童女の女陰(われめ)の中、子宮に寄生する蟲の妖怪で或る。

 ……何(いず)れも夏の、海河川、池沼等(など)で素裸で遊びし、稚児達の肛門(アヌス)や女陰(われめ)から、体内に侵入して寄生する也(なり)。
 ……其の淫蟲、人の目に見えず、触れる事も出来ず、水子の化身とも云う也。
 ……菊蛞蝓は、男女の稚児の直腸を巣として寄生し、淫らな感触で這い回りながら増殖する也。
 ……また、膣蛭は童女の子宮を巣として寄生し、子宮口から膣へ出入りしては、深夜熟睡せし童女の陰核(クリトリス)から吸血すると云う。
 ……何れも、異様な激しき快感有りて、稚児に自慰を促(うなが)す也(なり)。
 ……古(いにしえ)の御手淫様(おまたさま)とは、此の淫蟲達の事也。


 ……京の、冬蟲夏童神社の境内に、非公開の蔵有りて童蟲堂と密かに云う也。
 ……中に、無数の密絵馬有りと云う。
 ……全て、素裸の稚児達が、自慰せし姿の絵馬と云う。
 ……何れも、淫蟲に寄生されし稚児と、其の親達が訪れ、奉納せし絵馬也。
 ……親達は其の夜社務所に宿泊し、童蟲堂内には稚児と神主(かんぬし)の二人のみ籠(こ)もりて深夜を待つと云う。
 ……やがて、稚児の体内で淫蟲が目覚め、稚児が自慰を始めし時、着物を全て脱がせ素裸にさせし也。
 ……窓一つ無き、童蟲堂の真っ暗闇の、蝋燭(ろうそく)の暗き灯りの中、可愛(あい)らしく激しく自慰を続ける白き稚児の、やがて絶頂せし幼き姿を、素早く筆で絵馬に描きたり。

 ……そして、描きし絵馬を、稚児の足下の床の上に、絶頂絵を上にして置き、封蟲の儀の呪文を唱えたり。

 ……やがて、稚児の女陰肛門から蟲が這い出して、絵馬に向かいて列をなしたり。
 ……そして、封蟲の絵馬の中に、全て吸い込まれたり。
 ……神主、新たに蟲封ぜし絵馬を、童蟲堂の無数の絵馬の中に加えし也。

 ……其の神主、闇風魔の封魔忍者、蟲封師也。
 ……蟲封師は、稚児が絶頂せし瞬間、油断せし蟲妖を引き剥がし、形代(かたしろ)に封じる也。
 ……絵馬に描かれし、裸児の絶頂姿を、形代に使いし也。
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