転生したらオメガだったんだけど!?

灰路 ゆうひ

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幼児たちのたしゅけてとピンクの彼

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「ん~…。みっちゃんさあ、それ、ちゃんと意味わかっててお返事した?」
「ほえ?」
「…はあ~。やっぱりね。みっちゃんだもんな~。おニブちゃんなんだから。」 

 中学部の入学式が行われた、体育館の舞台袖。
 今回も校歌のリードボーカルを任された俺とすみれくんは、出番を終えて、一足お先に控え室に戻って来ていた。
 
 今日の出演のお駄賃である、学校オリジナルのノートと消しゴムを、ありがたく頂戴して、スピーカーから流れる校長先生の面白い壇上トークをBGMに、こしょこしょおしゃべりしていた。
 今朝の登校時に雅孝にそろそろ首輪した方がいいって言われて、土曜日で学校と両親のお弁当屋さんがお休みの明日、うちの家族と雅孝、雅孝のパパとでおはなしあい?しようねって言われた話をしたんだ。…そしたら、なんだかわからないけど、またおニブちゃんって言われた。

 中学一年生になったすみれくんは、あんなにちっちゃかったのに、ぐんと背が伸びて男の子っぽくなった。お顔だちはまだ、女の子みたいに可愛いけどね。…うん、毛先に向かってほんのり色が濃くなる、ベビーピンクの髪の毛、やっぱりとっても似合ってるよね!

「ねっ、ねっ。今日のすみれくんのお歌、ばっちりだったね~!違うパートで一緒に歌ってて、綺麗にハモるとこ、うれしくてゾクゾクってしちゃった!」

 俺が今日のゴキゲンな出来栄えのお歌を思い出して嬉しくって揺れていると、呆れた表情のすみれくんにぎゅっと頭を優しくつかまれた。

「ん。それはサンキュ。『おれ』も楽しかったよ」

 照れて、ちょっと目をそらすすみれくんのお声は、記憶にあるものよりも、さらにちょっと低い。それに。
 ふふふっ、『おれ』ってまた言ってる!ちょっと前まで、『ボク』って言ってたのにね~。

「みっちゃんに言われて、男子パートに切り替えて歌ってみて、正解だったわ。…ありがとうね」
「へへへっ、低くなったお声もすっごくキレイだもん!歌うのやめちゃうの、勿体ないって」

 そう、すみれくんは、ここにきて色々と変化があったのだ。
 まず、小学校卒業の三か月ほど前。彼はいきなりグレて学校に来なくなってしまった。
 お家とかお仕事のことで悩んでいるのは聞いていたので、そうっとしておいてあげたほうがいいのかな、っていつものみんなとは話してたんだけど。
 
 彼が学校に来なくなって一週間。先生がいつも点呼をとるとき、すみれくんの名前を呼ぶから…無断での欠席なんだなっていうのはわかっていたし。学校や先生も心配して連絡したりはしてるみたいだった。
 心配でお胸が張り裂けそうになってしまった俺は、プレゼントと彼の分の学校のプリントを持って、彼のおうちにお見舞いに行ってみることにした。
 雅孝はパパさんのコンサートに出演するのの準備で一緒に来られなかったので、マメシバ隊の中でもとくにすみれくんと仲良しの、しのぶくんとじんくんを誘ったら、二人とも喜んで一緒に来てくれた。
 うんうん、みんなも、すっごくすみれくんのことが大好きで、心配してたもんね。

 さっそく、放課後にすみれくんのおうちにお電話をしてから、おうかがいすることにした。
 担任の先生のご厚意で、職員室のお電話をお借りしてかけてみたんだけど…出たのは、小学校に上がってないぐらいの、とっても小さい男の子。

「はあい、ふじみや、です!」
「ふぇっ…?あ、もしもし。なみかわ、と言います。すみれくんの学校のお友達です」
「あっ、あにが、とってもおせわになっております!」「おしぇわに、なってまちゅ!」
 
 幼い声だけど、とってもしっかりした受け答えに、俺はびっくりした。かしこい!そして、もっと幼い可愛い声がお電話の近くから聞こえてる!

「あ、弟さんですか?あの、すみれくん、ずっと学校をお休みしてますが、どこか具合が…ええと、からだが、調子がお悪いのでしょうか?」

 お背中をしゃんとして、必要以上に丁寧にたずねていると、しのぶくんとじんくんはむずむずと笑いそうなのを手で押さえてこらえている。こりゃ!肩が震えてるぞ!
 
「…ふええっ…!にいちゃをたしゅけてっ…!たしゅけてくだしゃいっ…」「あっ、こら。こうくん。しーっ」

 急に電話口で、小さいほうの子が泣き始めて、俺はびっくりした。電話で対応してくれていたお兄ちゃんのほうも、やっぱり幼いからだろうか。ちっちゃい子の泣き声につられて、わんわん泣き始めてしまった。
「えっえっ?どうしたのっ?…いま、大人の人はいる?」

 助けて、とは穏やかじゃない。俺はドキドキする心臓をなだめながら、泣く二人に優しく質問した。

「あっ、どうしたの、ふたりとも!何があったの?おデンワは、触っちゃダメよ。…え?すみれくんの学校のお友達から?…おばちゃんがかわるわね。…もしもし?」

 と、泣いている子たちをあやす、優しい女性の声が聞こえてきた。すみれくんたちのお母さんの、妹さんにあたるひとなんだって。掃除機をかけていて気が付かなかったと、丁寧に謝られた。
 すみれくんのお母さんがお仕事で家に居られない時、彼女がお手伝いに来てくれてるんだって。

「あの、すみれくん、学校に一週間くらい無断で来てないんですけど…お加減が悪いんですか?」
「…はあ。あの子、また学校に行かなかったのね。昨日は行くって言ってくれたから、ちょっと安心してたのに…甘かったわ。ごめんなさい。心配して連絡をくれたのね、ありがとう。すみれは今朝も学校に行くって言って出て行ったっきり、いまどこに居るのか…ごめんなさいね。行きそうな場所を探して、またよく話し合ってみるわ」

 朝は…学校に行くって言って家を出たんだね、すみれくん。…でも、彼は来なかった。
 自分の意思で来ないのも心配だけど、芸能人なのだ。しかも美少年アイドル。俺や雅孝みたいに、攫われちゃったりしてないだろうか。

「スマホに通話をかけても出ないけど、メッセージは返事があったわ。友達と遊んで、夕方には帰るって。…お電話くれてありがとう。あとはおばさんに任せてくれる?帰ったら必ず、お電話させますね」

 それから、すみれくんが帰ったら俺の家の方に連絡をくださることになって、ひとまずお取込み中のようなので、今日はお邪魔するのは控えて、すみれくんからの連絡を待とうってことになった。
 心配顔のしのぶくんとじんくんに、連絡があったら続報伝えるね、って約束して別れ、屈強さんのお迎えのお車で家に帰ることにした。

「あっ、あっ、待って!駅の近くに停めてっ!」
「…はい?わかりました」

 駅前で見慣れた…だが、ある意味見慣れない姿を発見して、俺はハンドルを握る屈強さんにあわててお願いした。
 急なお願いにもかかわらず、安全かつ迅速にお車を停めてくれた屈強さんにお礼を言って、お車から降りた。
 もつれそうになる足を動かして、ちょっと猫背っぽい背中に声をかけた。

「すみれくんっ!」

 ぴくっと小さく肩が震えて、その後姿が立ち止まった。
 がばっとあわてて振り向いたすみれくんが、俺をみつけてさらにびっくり眼になる。…だが、そのちょっとだらしない感じにわざと気崩したような私服と…ピンクに染めた髪に、俺の方こそびっくり眼だ。
 わっ、カッコいい。前からオシャレだったけど、なんていうの?ちょっとロックっぽい格好で悪カッコいい!

「おばかっ…みっちゃん、きみっ…!まさか、一人?こんなガラ悪いところで、何してんのさっ!…ああ、よかった。屈強さんもいるじゃん」

 すみれくんのお声が、少し低く、ざらっとかすれている。つい先日から、声変わりが始まったんだよね。
 護衛の屈強さんがそっとナナメ後ろに控えているのを見たすみれくんが、ホッとする。駅のそばのパーキングに車を停めてきたらしい運転手の屈強さんも、後ろから走ってきている。

「えっえっ?す、すすす、すーくん、なんだよこの妖精さんはっ…。こんなかわいい子、こんな繁華街の近くに来ちゃ危ないって!中には無茶するバカなやつもいるだろうしさ」
「は~っ…すーくんもめちゃくちゃ可愛いけど、天使さんだぁ…え?人間っすよね?ホラホラ、こんなばっちいとこ、来ちゃダメっすよ~。」

すみれくんのすぐ隣や前を歩いていた、茶髪や金髪のちょっと怖そうなお兄さんたちがあわあわとこっちを見ながら慌てている。…コワそうなお顔をした人たちかなって思ったけど、何だか俺を心配してくれていて…見た目ほど悪い人たちじゃなさそう。

俺は、「あっ、人間です。はじめまして」とニコニコ笑いながら頭をさげた。コワモテお兄ちゃんたちは、「どもス」「うっす」とぺこぺこっとご挨拶を返してくれた。

「すみれくん、どうしたの?イメチェン?かっこいいじゃん!」
 「…っ…!?」

 できるだけ能天気に聞こえるように、やわらかく優しく笑いかけたら、すみれくんは急に下を向いて両方のおててをぎゅっとした。大きな目から、ぽろぽろぽろっと大粒の涙がこぼれた。

「ちがっ…ちがわねえけど…っ。みっちゃんには、まだ見られたくなかった…」
「見ちゃダメだった?ごめんね…まだ見てないよ。大丈夫」

俺はそっと近寄って、ちょっと爪先立って背が伸びたすみれくんのピンクになった髪の毛を優しくなでなでした。そして、おもむろに手で目元を覆って見ないふりした。

「もうっ、何言ってんのさ。調子くるっちゃうな…」
「…よう、すーくん。近くに、知り合いがやってるカフェがあるからさ。そこで落ち着いて話してきたらどうだ?変な奴が来ないように、見張っとくからさ」

 お兄さんたちに案内されて、綺麗なカントリー風のカフェにやってきた。白いかべに木製のやさしい色で統一された、温かい雰囲気の店内は、とっても落ち着く空間が整えられていた。コーヒーと焼き菓子の、香ばしくていい匂い!

 金髪のお兄さんが、お店のおじさんに耳打ちしたら、やさしそうなおじさんとおばさんはそっとお二階の席に案内してくれた。
 そこなら誰も来ないからね、と。そして、温かくて少し甘い、おいしいカフェオレ(なんと、金髪のお兄ちゃんのおごり!)を出してくれた。
 こじんまりしたお二階の席には、俺とすみれくんの二人だけ。
泣き笑いの表情で、すみれくんはぼそぼそっとわけを話してくれた…んだけど。聞いていて…泣いちゃだめだって思ったんだけど、結局俺もすみれくんに抱き着いて、わんわん泣いちゃった。
 
 中等部に進学するにあたって、俺たちはみんな、バース検査を含む健康診断を受けた。俺は相変わらずオメガだったけど…すみれくんは、やっぱりベータだったんだって。
 全世界のほとんどの人がベータなのだ。本来なら、ベータであることを気にする人なんてほとんどいない。…だが、すみれくんのお母さんと、所属している芸能事務所の大人達は違った。
 芸能界において、オメガやアルファなどの特別な性であることは、成功を約束された最大の武器。
 中でも、オメガであることは、チャンスと人気を掴むために、日々必死で練習やオーディション、お仕事に励んでいるすみれくんたちにとって、「学校でオメガをうつしてもらってきなさい!」なんて、狂った事を言われるくらいには、求められる要素だったらしい。
 …しかも、すみれくんはとても可愛い見た目をしているから。周囲の期待は大きかったみたい。

 声変わりして高い可愛らしい声で歌えなくなり、バース診断の結果もベータ。…ちびっこアイドルとして、すみれくんに商品価値がなくなったと判断した芸能事務所は、すみれくんを「卒業」という名目で…クビにしたんだって。

 芸能界も商売だから、そういう事もあるんだろうなって思いはするけど。
 …実際にあんなに頑張って、悩んでいる姿を見てきたすみれくんが、あっさりお払い箱にされるのを見ると俺もショックで、悔しくて仕方がなかった。

 すみれくんに沢山期待して、夢を託していたステージママのお母さんは嘆き悲しみ、諦めきれなかったのか、次に幼い弟たちを、厳しいキッズアイドルの養成所に連れて行こうとした。

 泣きながら嫌がる弟たちをかばって、すみれくんは生まれて初めて、お母さんに反抗して、大喧嘩したんだって。
 沢山話し合って、気が付けば時間は、子供が出かけるには遅すぎる、夜の10時すぎ。季節は真冬。上着も着ずに、パジャマでコンビニに逃げ込んできたすみれくんと小さい弟たちの姿を見て、コンビニの店長さんご夫婦が凄くびっくりして声をかけてきたんだって。
 そこから、お家に連絡が行って、迎えに来たお母さんを、すみれくんから事情をきいて大泣きした店長のおじさんが大説教。
 一晩話して、すっかり反省したお母さんは、憑きものがおちたみたいに、すみれくんたちに芸能界を強要することはなくなったみたい。

「お母さんが泣きながら謝るのも初めて見たし、弟たちを守ることができて良かったとは思ったんだけど…。何かさ。お母さんとまだ気まずいっていうか…顔を合わせづらくなっちゃって。みんなの顔が見たかったけど…それとおんなじくらい、見るの辛くてさ」

 すみれくんにとって、俺たちと一緒にいることは癒しで、幸せそのもの。
 仕事も失って、家族とも気まずくなって傷ついたすみれくんは、家にも居づらく、学校にも行く気になれなくて、こうして補導の見回りが甘いという噂のゲームセンターとかでこっそり遊んでたんだって。
 …そこを、金髪のおにいちゃんたちに心配されて、声をかけてくる変な人達から守られたり、家にそっと送り届けてもらったりしてたらしい。
 なんだ、やっぱりいい人たちだね。
 俺たちはお互いを抱きしめ合って泣いて、歌が大好きで、やっぱりやめたくないって泣いているすみれくんに、俺はポロっと言ってみたんだよね。

「お歌、続けたらいいじゃん。お仕事にできるかどうかはわからないけど、声変わりしたなら低いお声で歌えばいいんじゃない?」

 それを聞いたすみれくんはぱちくりと大きな目を見開いた。
 後から聞くと、生まれてからずっとキッズアイドルとして可愛い声で歌う事を求められ続けてきたすみれくんにとって、それは脳天に雷がおちるような、天啓を授かるような一言だったんだって。
 …俺はもちろん、そんなつもりなかったんだけどさ。

「声変わりが落ち着いたら、低い声を活かした、キーを下げた歌を歌ってみるわ…。趣味で歌ったっていいし、キッズアイドルじゃない事務所を受けてみたっていいわけだもんな。…ははっ、なんだ、そんだけのことじゃん。お母さんのさせたいことじゃなくて、自分のしたい事、目指したって…いいんだよね」

 なんだ、つらいめにあってきたのに、すみれくん、案外芸能界が好きだったのかな。
 俺はとびっきりの明るい笑顔で、どどんとすみれくんのお背中を押した。

「そうだよ、人生は一回こっきり。やりたいこと、やらないとね!」
「ふふふっ…。ったく、みっちゃんといると、気が抜けちゃうな…」

 その時、上着のポッケからガサッと音がして、俺は慌てて小さなプレゼントの包みを取り出した。

「あ、そうだ。小学校の卒業の記念にと思って、描き直したんだ。これ…覚えてる?」
「ん~?なんだよ、改まって。…開けてもいいか?」
「うん、開けてみて」

 すみれくんはくすぐったそうな顔でプレゼントを開封して…中身を見て、その大きな目を見開いた。

「っ…!これ…この絵…どうして?」

 その絵は。
 かなり前に、失われたはずの絵だった。以前、思いを込めて大切に描いた、ランチの楽しいひとときの、みんなの笑顔を描いた作品。…一部の女の子たちにバラバラに破られて、踏まれてしまった絵。
 俺も悲しかったけど、マメシバ隊のみんなも、雅孝も、すみれくんも。とても惜しんでくれた。特にすみれくんは、生まれて初めて友達に自分を描いて貰ったのだと喜んでいたから、その悲しみようは痛々しいほどだった。
 
 さすがに一から描き直したものだから、その時の絵そのままではないけど、その時は描いていなかったかえでくんと紅林先輩、自分自身の姿を描き足した。それを小学校卒業の記念と、これからもよろしくね、の気持ちをこめて、綺麗にデジタル印刷してフォトフレームに入れて、みんなにプレゼントしてみようと思ったんだ。

「ああ、やべえっ…。あっ…ありがとうな、みっちゃん!…おれ、おれ、ずっとショックで…またみんなの絵が戻ってきて、嬉しい…!おれにとっても、この絵はすごく大切な絵だったから。…はあ、久しぶりに、みんなの顔、見たくなってきちゃった。…明日は、学校に行ってもいいかな?」
「もっちろん!みんな、待ってるよ!」

 絵を大切そうに抱きしめて、泣きながら微笑んだすみれくん。それは、俺が今まで見た彼の表情の中で、一番キラキラして美しかった。
 
 そうして、ちょっぴりイメチェンしたすみれくんは、また学校に戻ってきたんだけど。
 ちょっぴり低くなった声変わり後のすみれくんの歌声、すんばらしいの!あ~、すみれくんをクビにした事務所のみなさん、ご愁傷様です。勿体ないことしたね!
 誰かに強要されるとかじゃなくて、自分の新たな夢のために歌うすみれくんは、モデルのお仕事もちょいちょい続けてるみたいで、ますますキラキラ輝いている。

「にこにこして可愛いけどさ。…わかってんの?みっちゃん、チェックメイトだよ?」
「んえっ?なにが?」

 入学式の舞台袖の控室で、すみれくんがグレちゃった顛末を思い出していた俺は、思わずぽやっとすみれくんを見つめ返した。
 は~っと、呆れたようにため息をつくすみれくん。
 ぷにっと軽くお鼻を押された。ブヒッ。

「いい?みっちゃん。知らないようだから教えてあげるね。」
「ハイ」

 すなおにこっくりと頷く。

「オメガに首輪を贈るっていうのは、アルファの求愛行動の一つなんだよ。普通は恋人や伴侶になる特別な人に贈るものらしいよ」
「ハイ…?」

 えっ?首輪を?婚約指輪みたいに?
 これって、前世の感覚なのかもしれないけど。なんだかどうしても、首輪ってさ。犬の首輪とか、女の子のおしゃれアイテムのチョーカーとかのイメージが強くてさ。
 …俺個人的には、ロマンチックなイメージと結びつきにくいんだけど。もしかして、この第二性がある世界では、首輪への感じ方が違うんだろうか。

「みっちゃん、お嫁さんが欲しいって、東雲様と、おつきあいはしないって言ってた…よね?」
「うん、俺、まだあきらめてないよっ!」

 中学校で、他の学校からの入学生もいるし、クラス替えもあるし。きっと新しい出会いが待ってると思うんだよね。…えへへ、将来のお嫁さんも、見つけちゃうかもしれないでしょ?

「…でもさ。明日、東雲様やご家族達とお話合い、するんだよね?東雲様に贈られた首輪を付けたら、東雲様のオメガになるって、東雲様や周囲にも宣言することになるんだけど…。それって、みっちゃんが東雲様と、結婚を前提におつきあいするって同意することになるんだよ?」

……。

「ええっ…!?」

 その時、コンコンというノックの後、入学式の出演者であるマメシバ隊と…紅林先輩。そして…雅孝が入ってきた。

「みつき…!」

 駆け寄ってくる、その嬉しそうな顔を見た途端、どくんっ!とお胸が大きく高鳴るのを感じた。
 こ、こここ、困りますっ!
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