テスト

こあめ(小雨、小飴)

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1日目

3限目、社会科

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「はぁい、はじめ」
 チャイムの直前に問題用紙が配られ、はじめと言われてから数秒は急いで問題用紙を回す音が聞こえる。そのせいか、開始から数分、ざわざわとしていた。
「はい、テスト中ですよ? 退室になりたいんですかぁ?」
 という監督教師の一言で三度静寂が訪れる。現代社会と日本史と世界史の複合問題、大問ごとにランダムなジャンルが来ているが、担当している教師の授業の仕方が面白いため、最下位でも平均は40以上と中々悪くない点数を毎回叩き出している。40と聞くと低く聞こえるかもしれないがひどい時で3教科20点にも満たない生徒が40点も取れていると聞けば少しは見方が変わるだろう。監督教師は2限のちょっと優しめの男性の先生から変わり、後輩たちから”鬼教師”と名高い女の先生だ。担当科目は音楽で、選択科目で取っている生徒は厳しさをよく知っている。逆に知らない生徒は机の周囲をウロウロされて落ち着くことがあまりできないようだった。

 ペンの音と、時計の音、そして監督教師の靴のコツコツという一定間隔の足音だけが教室内に響きわたり、時計を気にするほど余裕のなかった生徒がふと、時計を見上げると残り10分を切っている。慌てだす生徒と、すでに全問解き終わった生徒でその差は歴然としていた。
「残り五分です。 見直しはするように」
 監督教師の一言で、解き終わっていた生徒の半数が見直しをはじめ、解き終わっていない生徒はペンの進みを上げる。さながら締め切り間際の漫画家のようだ。
「はぁい、終わりです。皆さんペンを置きましょう」
 終わりの合図を告げられ、チャイムも鳴る。今日の科目がすべて終わり、ホームルームが始まる。担任から明日の教科を告げられて、今日の学校でやることはすべて終了した。
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みんなの感想(1件)

2022.05.10 ユーザー名の登録がありません

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こあめ(小雨、小飴)
2022.05.12 こあめ(小雨、小飴)

ありがとうございます!
教室の生徒でも監督の先生でも誰の視点でもないのがミソです

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