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本編
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無事に毛刈りを終えると、刈り取った毛を纏める人を見ていると、カイゼルさんから肩を叩かれました。
「それじゃあ、後はお願いします」
「分かりました」
カイゼルさん達衛兵と狩猟者の皆さんが、お互いの健闘を称えながら刈り取った羊毛を入れた袋を抱えて村へと戻っていきます。
少し待っていると眠っていた(気絶)個体も起き上がったので、色々と心配なので大丈夫なのか確認します。
頭骨が厚めのお陰か皹も入っていないようです。脳出血の方は分かりませんが、軽い脳震盪で済んだようです。子の巨体を弾き飛ばしたあの膂力でも加減をしていたという事でしょうか。
「それじゃあ、行こうか」
「メエエエ」
村に向かってきた時とは違って、小さい個体が私の周りを歩き、その後ろを大きい個体が悠然と歩きます。
避難所の前に差し掛かると、門のところにマコちゃんと子供達が立っていました。
「あ、お姉ちゃん」
「フェエエエ!」
手を軽く振って返事の代わりにすると、驚いて固まっているルーナさんに声をかけて正気に戻ってもらいます。
「ルーナさん、マコちゃんのことありがとうございます」
「い、いえ、あれぐらいは……」
「お姉ちゃん、この子、触ってもいい?」
会話に割り込んできた子供を捕まえて、近くにいたメリちゃんの上に載せておきます。
「すっかりお昼を過ぎてしまいましたね。メリちゃん達を牧場に連れて行ったら、笹熊亭で食べましょうか」
「うん」
「あの、大きいメリちゃんは誰も気にしないのですか?」
「抱き着きやすそうですね」
ノノさんの質問にまだ残っていた村の女性陣が声を揃えて答えると、次はラウルさんが口を開きます。
「桜華(問題児)のやることだからな」
「ラウルさん、何でも私のやることだから。で片づけないでくださいよ」
「ふん」
「まあまあ。桜華さん、久しぶりですね。おお。報告にあった水竜の子ですね。綺麗ですねぇ」
「お久しぶりです、コリンズさん」
シエロを見て目を細めているコリンズさんの様子をうかがいながら、子供達をメリちゃんの背中に載せていきます。
子供ってどうして後に続きたがるのでしょうか。幾ら数がいると言ってもメリちゃんの方が少ないので、個体ごとの能力を見極めて一頭に付き数人の子供を載せます。
「あ、イアンさん。牧場の子達も毛刈りが必要ですよね」
「ええ。明日から始める予定でしたが、今日からやりましょう」
先に牧場へ行っていますというイアンさんと、シエロを嬉しそうに撫でていたコリンズさんを見送ります。
「さて。子供達は乗ったので、そろそろ行きましょうか。クストース、ありがとうね」
『いえ、主上のお役に立てて光栄の至り』
傅くクストースにお礼を言って他のゴーレム達に声をかけた後、避難所を出発します。
子供達の楽しげな笑い声と歌声を共に、村の中を進んでいきます。
「平和な光景ですね」
思わずそう零すと、ノノさんから大きなため息を頂きました。
「確かにそうですけど、所々おかしいです」
「そうですか?」
「そうですよ! それとかそっちとか!」
ルーナさんが大きなメリちゃん、シエロとアクアを指さして抗議してきました。
「お姉ちゃん。カウルベルも大きな個体を仲間に入れるの?」
「ん~。その予定はないけれど、来そうな気もしますね」
「そっか。楽しみだね」
「マコちゃん、本当に桜華さんの妹だね」
ノノさんとルーナさんががげんなりした様子です。その様子を見た子供達が声をかけてきました。
「お姉ちゃん達、人生諦めが肝心だってさ」
「ど、どこで覚えてきたんですか!」
「フェエエ!」
「父ちゃん」
村のお父さんたちは何を諦めたのかは、聞かない方がいいですね。
「あと、母ちゃんは人生楽しんだ者勝ちって言ってた」
「それは、そうですけど……」
大笑いする子供達、肩を大きく落とすルーナさんとノノさん。この村も女性の方が強いようですね。
「それじゃあ、後はお願いします」
「分かりました」
カイゼルさん達衛兵と狩猟者の皆さんが、お互いの健闘を称えながら刈り取った羊毛を入れた袋を抱えて村へと戻っていきます。
少し待っていると眠っていた(気絶)個体も起き上がったので、色々と心配なので大丈夫なのか確認します。
頭骨が厚めのお陰か皹も入っていないようです。脳出血の方は分かりませんが、軽い脳震盪で済んだようです。子の巨体を弾き飛ばしたあの膂力でも加減をしていたという事でしょうか。
「それじゃあ、行こうか」
「メエエエ」
村に向かってきた時とは違って、小さい個体が私の周りを歩き、その後ろを大きい個体が悠然と歩きます。
避難所の前に差し掛かると、門のところにマコちゃんと子供達が立っていました。
「あ、お姉ちゃん」
「フェエエエ!」
手を軽く振って返事の代わりにすると、驚いて固まっているルーナさんに声をかけて正気に戻ってもらいます。
「ルーナさん、マコちゃんのことありがとうございます」
「い、いえ、あれぐらいは……」
「お姉ちゃん、この子、触ってもいい?」
会話に割り込んできた子供を捕まえて、近くにいたメリちゃんの上に載せておきます。
「すっかりお昼を過ぎてしまいましたね。メリちゃん達を牧場に連れて行ったら、笹熊亭で食べましょうか」
「うん」
「あの、大きいメリちゃんは誰も気にしないのですか?」
「抱き着きやすそうですね」
ノノさんの質問にまだ残っていた村の女性陣が声を揃えて答えると、次はラウルさんが口を開きます。
「桜華(問題児)のやることだからな」
「ラウルさん、何でも私のやることだから。で片づけないでくださいよ」
「ふん」
「まあまあ。桜華さん、久しぶりですね。おお。報告にあった水竜の子ですね。綺麗ですねぇ」
「お久しぶりです、コリンズさん」
シエロを見て目を細めているコリンズさんの様子をうかがいながら、子供達をメリちゃんの背中に載せていきます。
子供ってどうして後に続きたがるのでしょうか。幾ら数がいると言ってもメリちゃんの方が少ないので、個体ごとの能力を見極めて一頭に付き数人の子供を載せます。
「あ、イアンさん。牧場の子達も毛刈りが必要ですよね」
「ええ。明日から始める予定でしたが、今日からやりましょう」
先に牧場へ行っていますというイアンさんと、シエロを嬉しそうに撫でていたコリンズさんを見送ります。
「さて。子供達は乗ったので、そろそろ行きましょうか。クストース、ありがとうね」
『いえ、主上のお役に立てて光栄の至り』
傅くクストースにお礼を言って他のゴーレム達に声をかけた後、避難所を出発します。
子供達の楽しげな笑い声と歌声を共に、村の中を進んでいきます。
「平和な光景ですね」
思わずそう零すと、ノノさんから大きなため息を頂きました。
「確かにそうですけど、所々おかしいです」
「そうですか?」
「そうですよ! それとかそっちとか!」
ルーナさんが大きなメリちゃん、シエロとアクアを指さして抗議してきました。
「お姉ちゃん。カウルベルも大きな個体を仲間に入れるの?」
「ん~。その予定はないけれど、来そうな気もしますね」
「そっか。楽しみだね」
「マコちゃん、本当に桜華さんの妹だね」
ノノさんとルーナさんががげんなりした様子です。その様子を見た子供達が声をかけてきました。
「お姉ちゃん達、人生諦めが肝心だってさ」
「ど、どこで覚えてきたんですか!」
「フェエエ!」
「父ちゃん」
村のお父さんたちは何を諦めたのかは、聞かない方がいいですね。
「あと、母ちゃんは人生楽しんだ者勝ちって言ってた」
「それは、そうですけど……」
大笑いする子供達、肩を大きく落とすルーナさんとノノさん。この村も女性の方が強いようですね。
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