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しおりを挟む何が起きているのか理解できない僕。
そんな僕とは対象的に、玲央は穏やかに壇上に立ち微笑んでいた。
玲央の顔、髪、目、その全てが圧倒的で、美しく、そして切なくも感じた。
彼があの日、何故あんな姿をしていたのか、少しだけ理解していたはずだった。
でも、理解しているつもりでも、目の前にいる彼の存在は、やっぱり僕にとっては現実のものではないように思えて、ただその笑顔を見つめることしかできなかった。
体育館中が歓声に包まれている中、僕はただ黙って、呆然と彼を見つめ続けていた。
「皆さん、拍手ありがとうございます。ただ、少しだけよろしいでしょうか」
玲央は壇上に立ったまま、微笑みながらゆっくりと片手を上げた。
その瞬間、体育館中の歓声が一瞬で静まり返る。まるで魔法をかけたかのように、彼の動作一つで何百人もの生徒たちが一斉に息を止めた。
玲央の一挙一投足が、全員の視線を集めていた。
誰もが彼が次に何をするのか、何を言うのか、息を殺して見守っている。まるで舞台の主役を演じるかのように、玲央は周囲の反応を支配していた。
僕も、その様子をただ見つめていた。何が起こるんだろう――玲央が次に何を言うのか、興味が抑えきれなかった。
彼の美しい横顔が視界に映るたび、心臓が少しずつ高鳴っていくのを感じた。
玲央は一瞬、会場全体を見渡し、そして、柔らかい笑みを浮かべたまま、マイクを持つ手をゆっくりと口元に近づけて。
「――月井晴彦くん」
その言葉が放たれた瞬間、僕は頭を殴られたかのように動揺した。
今、彼は何と言った?
誰を呼んだ?
玲央が、僕の名前を……呼んだ……?
なんで?
頭の中は混乱でいっぱいだった。どうしてこんな大勢の前で――。
心臓が一気に早くなり、視界が揺れる。すぐに同学年やクラスの生徒たちが一斉にこちらを見始めた。
玲央の視線が僕に向けられたのと同時に、体育館中の無数の目が徐々に僕に集中しているのがわかった。
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