先生、今日あなたを番にします

まんまる

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俺は23歳になった。

7歳でフィオと初めて出会い、心に芽生えた物の名前も分からず、12歳で初めて抱き締めた温もりに、それが愛だと気付かされた。

18歳の時、まだ未熟だった俺の全てを柔らかく包み込みながら受け入れてくれたフィオ、俺は一生この命を懸けてあなたを守る。



「アレク、事業の成功おめでとうございます」
「ありがとう。フィオのお陰だよ」
「私は何もしていませんよ」
「フィオがいなかったら、俺こんなに頑張れなかった」

《魔女の涙》を売り出す事が決まる前から、噂を聞きつけた人々からの注文が殺到していた。
毎日慌ただしく過ごす中、時間を見つけてはフィオに会いに来ている。

「俺、最初はフィオと結婚する為に父上に認めてもうおうって必死になってた。けど、逆だった」
「逆⋯、ですか?」
「そう。公爵家を継ぐ者として父上に認めてもらえるだけの男にならないと、フィオを幸せに出来ないって分かったんだ」
「ふふっ、あの無邪気でやんちゃだったアレクが⋯、本当に立派になられました」

フィオを引き寄せて抱き締める。

「フィオ、次の発情期は抑制剤を飲まないで」
「えっ?」
「次の発情期、フィオを番にしたい」
「アレク、⋯本当に私でいいのですか?この歳では子が望めるか」
「フィオしかいらない」

背中に回されていた細い腕に力が込められた。
俺の胸に顔を埋めながら、フィオは泣いていた。

「フィオ、何も心配いらないよ。俺が守るから」

俺は震えるフィオの肩をずっと抱き締めていた。





「アレク、新しい事業は順調のようだな」
「はい、ガレリヤの国王陛下も全面的に協力してくださって、計画通り進んでいます」
「それにしてもフィオレッド殿が、ガレリヤの王配陛下と旧知の間柄だったとは。もう少し若ければお前の伴侶に申し分なかったのだがな」
「父上はそればかりですね」
「何?」
「俺が事業を成功させたら認めてもらう約束、覚えてますか?」
「ああ、もちろんだとも」
「では、俺のする事に口出ししないで下さいね」
「何を企んでいる?」
「公爵家に迷惑をかける事はしません。むしろ公爵家の為になると思いますので、楽しみにしていて下さい」
「まあ、お前に振り回されるのは今に始まった事ではない。好きなようにしなさい」
「はい、好きなようにします」

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