白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる

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20 ① 団長の恋煩い(sideアリウス)

「団長、シルティ様との2人きりの時間はどうでしたか?」
「ブラン、いやらしい聞き方をするな」

発情期のシルティと甘い時間を過ごし、後ろ髪を引かれる思いで、渋々王城に戻ってきた。
私を見つけた副団長のブランが、すぐに声を掛けてきて鬱陶しかったが、休んでいた間の報告を受けなければならない。


「そうか、いまだに予告状ばかりで、侵入者は1人もいないか⋯」
「ええ、奴らは何をしたいんでしょうね。毎日のように盗みの予告状を寄越していたら、警備が厳しくなるのは予想できるでしょうに。今の王城には猫の子1匹入れませんよ」
「今日は、第一騎士団も第二騎士団もこちらに詰めているのか?」
「はい、城下を巡回する者が減って、大きな事故や事件が起こった時、すぐに対処できないと、団長たちがボヤいていましたよ」
「⋯⋯」

ブランの言葉が少し引っかかった。

「その点、侯爵邸の警備は抜かりないですよね?なにせ、あんなに美しい王子が住んでいらっしゃいますから。団長が招き入れない限り、誰も敷地内には入れないでしょう?」
「ブラン、今何と言った?」
「えっ?ですから、美しい王子が住ん⋯」
「違う!そこじゃない!」
「はっ?じゃあ、団長が招き入れない限り⋯」
「ブラン!!」
「な、何ですか、団長!」
「怪盗団の資料を持って来い!」

嫌な予感がする。

怪盗団の資料を手にしたブランが、すぐに戻ってきた。
私は奪うように資料を掴み、大量の文字に目を走らせた。


『世界を股にかける窃盗団"怪盗B"は、表向きは宝石商や雑貨店、造園業等を営み、何食わぬ顔で貴族の屋敷に入り込む。窃盗団は用意周到に下調べをしたのち、短時間で窃盗に及ぶ。
※数件ではあるが、窃盗時に見目麗しい男性Ωを連れ去る事案が報告されている。尚、被害者は皆、数日内に解放されていて、身体的被害は報告されていない』


「趣味が悪いですね」

隣で資料に目を通していたブランが呟いた。

「被害はないと言われても、世間の目は厳しいでしょうね。特に噂好きの貴族には、格好のネタでしょう?そうなると、二度と社交界には顔を出せない」

冷たいものが背筋を走った。


「団長っ!どこに行くんですか!」


くそっ!なぜ気づかなかったんだ!

どうか間に合ってくれ!

シルティ、無事でいてくれ!





◇◇◇◇◇

「アリウス、命は大事にしてね」

私は今まで、シルティから掛けられた言葉を忘れた事はない。


私は学園を卒業した後、父の背中を追いかけ、王宮騎士団に入った。
入団するとすぐに、剣の実力と実家の爵位も鑑みて、第3王子のシルティの護衛に任命された。

当時シルティは、まだ7歳のあどけない少年だったが、その美しさと気高さに、私は絶句した。
私はシルティを一目見た時から、必ずこの命に代えても守り抜くと決めた。

だが、シルティが10歳になった時、私が恐れていた事が起きた。
シルティの二次性がΩだと分かり、αの私は呆気なく護衛の任を解かれてしまったのだ。
覚悟はしていたつもりだった。だが、その覚悟が足りなかったと思い知らされた。

シルティの甘やかな香りを知ってしまっては、ただ遠くから見守る事しかできない日々は、地獄のようだった。
胸が苦しくて、寝ても覚めても、シルティの事しか考えられなくなった。

さすがの私も気づいた。
これは恋なのだと。

私はシルティの傍に行ける方法を四六時中考え、そして思いついたのが、王宮騎士団の団長になる方法だった。
そうすれば、王族との接触が格段に増える。

幼い王族に恋などと笑われても、そんな雑音はどうでもよかった。
私は団長になるべく、日々努力を重ね、そうしてシルティが15歳になった時、私たちは再会した。
私を見て、弾けるように駆け寄ってきてくれたシルティを見て、心が喜びで震えるのが分かった。

その美しく成長した姿を目の当たりにして、私の恋は愛に変わった。

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