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19 最終話
「サミエル王子、どうして⋯?自国にいらっしゃったのでは⋯?」
僕はようやく言葉を絞り出した。
「ああ、カツラか⋯。3年前に見た時も息をするのを忘れる程美しかったが⋯、なんて美しさだ。色香が溢れて甘く匂い立つようだ」
サミエル王子は僕の質問が聞こえていないのか、的外れな言葉を口にした。
目が座っていて、おそらく正気ではないのだろう。
「サミエル王子⋯、ぼ、僕に何かご用ですか?」
「国に私の居場所はなくなった。だからノアと一緒にどこか遠くの国へ行かないと」
「何を言ってるの⋯?」
「ノアは私の伴侶になる運命なんだよ。ノアも知ってるだろ?」
「ぼ、僕はアルと結婚しています。だから、あなたと一緒には行けません」
自分の声が震えているのが分かった。
「ああ、あの男に無理矢理言わされてるんだね。可愛いそうに。でももう大丈夫だ。私があの男を殺してやるからね」
「ひっ⋯、そんなのダメです!やめて!」
僕が思わず叫ぶと、サミエル王子の片方の眉がピクっと上がった。
「あの男にどこまで許した?」
「えっ?」
「どこまで許したか聞いている!」
ナイフを持ったサミエル王子に、急に責められるように大声で怒鳴られ、僕は怖くて震えが止まらなかった。
「あの男に無理矢理散らされたんだろう?」
「何⋯を?」
「あの男が無理矢理ノアの純潔を散らしたに決まってる!!」
狂気じみた叫び声を上げられ、ずっと堪えていた涙が溢れ出した。
「ああ、なんて美しい涙なんだ。全部私のものだ」
涙を流す僕を見て、サミエル王子が恍惚した表情で、僕にじわじわと近付いてきた。
「私なら絶対ノアを大切にするよ。毎晩優しく抱いてあげるからね」
「やっ⋯、嫌っ、来ないで⋯」
少しずつ後退りする僕に、サミエル王子も合わせるように少しずつ僕に近付いてくる。
その顔には気持ちの悪い笑顔が貼り付いていて、僕は悲鳴を上げそうになる口を両手で押さえながら、ガタガタと震える体をどうにか動かした。
トン
踵が薄い壁に当たった。
狭い小屋の中では逃げきれないのは分かっていたけど、その音が僕を絶望の沼に突き落とした。
「さあ、おいで、ノア。抱き締めてあげるよ」
サミエル王子が手を伸ばしてきた。
嫌っ!助けて!アル!
心の中でアルに助けを求めたその時、部屋の入り口のカーテンがバサッと宙に翻った。
「ノア、大丈夫か?待たせて悪かった」
「アルっ!」
涙でボロボロの僕の顔を見て、アルは眉尻を下げて心配そうに声を掛けてくれた。
僕がとりあえず無事なのを確認したアルは、今度はサミエル王子を冷ややかに睨みつけた。
「入り口の鍵が開いていると思ったら、これはこれはとんでもないお客様だ」
「黙れ!」
「あなたには入国禁止が言い渡されていたはずですが」
「黙れ!黙れ!私はノアを迎えにきたんだ!」
「ノアだと?」
急に口調が変わったアルに、サミエル王子は少し後込みをして、ナイフを持つ手に力を込めた。
「はは、はははは!」
突然、サミエル王子が狂ったように笑いだした。
「貴様、丸腰ではないか。その格好、今日は非番か?」
「⋯それがどうした?」
「はははは!剣を持たない騎士など、私の敵ではない!」
「⋯⋯」
「そこをどけ!ノアを連れて行く!」
サミエル王子が僕の名前を言った瞬間、アルの顔つきが憤怒の形相に変わった。
「ノアの名を呼ぶな」
アルの怒りに満ちた低い声が響いた。
その声を聞いた途端、ナイフを持つサミエル王子の手が小刻みに震え出した。
いけない、サミエル王子をこれ以上追い詰めたら、何かしでかすかもしれない。
そう思った瞬間、サミエル王子が僕の肩を掴んでナイフを僕に突きつけた。
「はははは!いい事を思いついた。貴様を黙らせるには、貴様を傷付けても意味がない。貴様の一番大切なものを目の前で奪ってやる!!!」
時が止まったようだった。
捕まれた肩がズキッと痛んで、振りかぶられたナイフが僕の頭上でギラリと光った。
反射的に目をきつく閉じていた。
キーン
ぐちゃぐちゃに聞こえていた心の声が何も聞こえなくなった。
(ノア、ノア、聞こえるか?今だ!かがむんだ!)
考えるより先に体が動いていた。
ナイフを握る手に意識がいっていたからか、僕の体は簡単にサミエル王子の手から解放され、低い体勢になった。
ゴッ!!
鈍い音が頭上に響いて、何かが勢いよく壁にぶつかる音がした。
「ノアっ!」
アルの僕の名前を呼ぶ声で、現実に引き戻された。
「アル⋯?」
きつく閉じていた目をそっと開いてアルを見ると、アルはもう僕の目の前まで来ていて、力いっぱい抱き締められた。
「良かった」
アルのシャツが汗でしっとり濡れていて、大きな体が震えていた。
「ごめんなさい。アルから言われてたのに、僕が鍵を掛け忘れてしまって⋯」
「いい、そんな事など気にしなくていい。無事で良かった。うっ⋯、くっ⋯」
アルが僕を抱き締めながら声を殺して泣いているのが分かり、僕はただ、アルの名前を呼びながら力いっぱい抱き締め返す事しかできなかった。
「これ、投げたの?」
「ああ、これしかなかったからな」
ひとしきりお互いの温もりを確かめ合った後、床に伸びているサミエル王子を二人で上から眺めた。
サミエル王子は、水晶が入った鞄が頭に当たって気を失っていた。
鞄を開けて中を見てみたら、ひびの入った水晶がぐるぐるとベールに包まれていて、そのおかげでサミエル王子は気を失っただけで済んだようだった。
「ああぁ、割れてしまったか」
「気にしないで、アル。なんかこれですっきりした」
「そうか?」
「うん!」
僕は満面の笑みでアルに返事をした。
目を覚ましたサミエル王子は、放心状態のまま、迎えに来た騎士団長に連れられて自国に帰って行った。
サミエル王子は、入ったら二度と出られないと言われる塔に幽閉される事が決まったそうだ。
「「「「おめでとうございまあす!!」」」」
無事に結婚式を挙げ、婚礼衣装のまま街にアルと来ている。
「アル、僕のわがまま聞いてもらってありがとう」
「いや、ノアらしくていいと思うぞ」
「どうしても、皆の顔が見たくて」
「あっ、ノア、あの子があの時の少年だ」
アルが教えてくれた方を見ると、一人の少年が一際大きく手を振っていた。
「ノア様ああぁぁ!おめでとうございます!!」
「アル、うっ⋯、僕、嬉しい⋯」
「ノア、泣かないで笑ってあげて」
「うっ⋯、うん」
僕は泣きながら、精一杯の笑顔を皆に向けた。
「あっ、あの、ノア様、これ、もらっていただけますか?」
そろそろ帰ろうかという時、一人の女性が近付いて来た。
「あっ、あなたは、パン屋の⋯」
微笑みながら女性が渡してくれた抱えきれない程の花束は、見たこともない綺麗な黄色の花で作られていた。
「これ、主人が結婚記念日に渡してくれたんです。ノア様にもお渡ししたくて」
「ありがとう、ございます。良かった、ですね。うっ⋯」
「今日のノアは泣き虫だから、皆お手柔らかにな」
アルが皆に聞こえるような大きな声でそう言うと、ワアアァァっと大きな歓声が上がった。
僕の頭の中には皆の心の声は聞こえず、ただ割れんばかりの皆の歓声が耳に響いていた。
終わり
番外編を一話更新して完結になります。
僕はようやく言葉を絞り出した。
「ああ、カツラか⋯。3年前に見た時も息をするのを忘れる程美しかったが⋯、なんて美しさだ。色香が溢れて甘く匂い立つようだ」
サミエル王子は僕の質問が聞こえていないのか、的外れな言葉を口にした。
目が座っていて、おそらく正気ではないのだろう。
「サミエル王子⋯、ぼ、僕に何かご用ですか?」
「国に私の居場所はなくなった。だからノアと一緒にどこか遠くの国へ行かないと」
「何を言ってるの⋯?」
「ノアは私の伴侶になる運命なんだよ。ノアも知ってるだろ?」
「ぼ、僕はアルと結婚しています。だから、あなたと一緒には行けません」
自分の声が震えているのが分かった。
「ああ、あの男に無理矢理言わされてるんだね。可愛いそうに。でももう大丈夫だ。私があの男を殺してやるからね」
「ひっ⋯、そんなのダメです!やめて!」
僕が思わず叫ぶと、サミエル王子の片方の眉がピクっと上がった。
「あの男にどこまで許した?」
「えっ?」
「どこまで許したか聞いている!」
ナイフを持ったサミエル王子に、急に責められるように大声で怒鳴られ、僕は怖くて震えが止まらなかった。
「あの男に無理矢理散らされたんだろう?」
「何⋯を?」
「あの男が無理矢理ノアの純潔を散らしたに決まってる!!」
狂気じみた叫び声を上げられ、ずっと堪えていた涙が溢れ出した。
「ああ、なんて美しい涙なんだ。全部私のものだ」
涙を流す僕を見て、サミエル王子が恍惚した表情で、僕にじわじわと近付いてきた。
「私なら絶対ノアを大切にするよ。毎晩優しく抱いてあげるからね」
「やっ⋯、嫌っ、来ないで⋯」
少しずつ後退りする僕に、サミエル王子も合わせるように少しずつ僕に近付いてくる。
その顔には気持ちの悪い笑顔が貼り付いていて、僕は悲鳴を上げそうになる口を両手で押さえながら、ガタガタと震える体をどうにか動かした。
トン
踵が薄い壁に当たった。
狭い小屋の中では逃げきれないのは分かっていたけど、その音が僕を絶望の沼に突き落とした。
「さあ、おいで、ノア。抱き締めてあげるよ」
サミエル王子が手を伸ばしてきた。
嫌っ!助けて!アル!
心の中でアルに助けを求めたその時、部屋の入り口のカーテンがバサッと宙に翻った。
「ノア、大丈夫か?待たせて悪かった」
「アルっ!」
涙でボロボロの僕の顔を見て、アルは眉尻を下げて心配そうに声を掛けてくれた。
僕がとりあえず無事なのを確認したアルは、今度はサミエル王子を冷ややかに睨みつけた。
「入り口の鍵が開いていると思ったら、これはこれはとんでもないお客様だ」
「黙れ!」
「あなたには入国禁止が言い渡されていたはずですが」
「黙れ!黙れ!私はノアを迎えにきたんだ!」
「ノアだと?」
急に口調が変わったアルに、サミエル王子は少し後込みをして、ナイフを持つ手に力を込めた。
「はは、はははは!」
突然、サミエル王子が狂ったように笑いだした。
「貴様、丸腰ではないか。その格好、今日は非番か?」
「⋯それがどうした?」
「はははは!剣を持たない騎士など、私の敵ではない!」
「⋯⋯」
「そこをどけ!ノアを連れて行く!」
サミエル王子が僕の名前を言った瞬間、アルの顔つきが憤怒の形相に変わった。
「ノアの名を呼ぶな」
アルの怒りに満ちた低い声が響いた。
その声を聞いた途端、ナイフを持つサミエル王子の手が小刻みに震え出した。
いけない、サミエル王子をこれ以上追い詰めたら、何かしでかすかもしれない。
そう思った瞬間、サミエル王子が僕の肩を掴んでナイフを僕に突きつけた。
「はははは!いい事を思いついた。貴様を黙らせるには、貴様を傷付けても意味がない。貴様の一番大切なものを目の前で奪ってやる!!!」
時が止まったようだった。
捕まれた肩がズキッと痛んで、振りかぶられたナイフが僕の頭上でギラリと光った。
反射的に目をきつく閉じていた。
キーン
ぐちゃぐちゃに聞こえていた心の声が何も聞こえなくなった。
(ノア、ノア、聞こえるか?今だ!かがむんだ!)
考えるより先に体が動いていた。
ナイフを握る手に意識がいっていたからか、僕の体は簡単にサミエル王子の手から解放され、低い体勢になった。
ゴッ!!
鈍い音が頭上に響いて、何かが勢いよく壁にぶつかる音がした。
「ノアっ!」
アルの僕の名前を呼ぶ声で、現実に引き戻された。
「アル⋯?」
きつく閉じていた目をそっと開いてアルを見ると、アルはもう僕の目の前まで来ていて、力いっぱい抱き締められた。
「良かった」
アルのシャツが汗でしっとり濡れていて、大きな体が震えていた。
「ごめんなさい。アルから言われてたのに、僕が鍵を掛け忘れてしまって⋯」
「いい、そんな事など気にしなくていい。無事で良かった。うっ⋯、くっ⋯」
アルが僕を抱き締めながら声を殺して泣いているのが分かり、僕はただ、アルの名前を呼びながら力いっぱい抱き締め返す事しかできなかった。
「これ、投げたの?」
「ああ、これしかなかったからな」
ひとしきりお互いの温もりを確かめ合った後、床に伸びているサミエル王子を二人で上から眺めた。
サミエル王子は、水晶が入った鞄が頭に当たって気を失っていた。
鞄を開けて中を見てみたら、ひびの入った水晶がぐるぐるとベールに包まれていて、そのおかげでサミエル王子は気を失っただけで済んだようだった。
「ああぁ、割れてしまったか」
「気にしないで、アル。なんかこれですっきりした」
「そうか?」
「うん!」
僕は満面の笑みでアルに返事をした。
目を覚ましたサミエル王子は、放心状態のまま、迎えに来た騎士団長に連れられて自国に帰って行った。
サミエル王子は、入ったら二度と出られないと言われる塔に幽閉される事が決まったそうだ。
「「「「おめでとうございまあす!!」」」」
無事に結婚式を挙げ、婚礼衣装のまま街にアルと来ている。
「アル、僕のわがまま聞いてもらってありがとう」
「いや、ノアらしくていいと思うぞ」
「どうしても、皆の顔が見たくて」
「あっ、ノア、あの子があの時の少年だ」
アルが教えてくれた方を見ると、一人の少年が一際大きく手を振っていた。
「ノア様ああぁぁ!おめでとうございます!!」
「アル、うっ⋯、僕、嬉しい⋯」
「ノア、泣かないで笑ってあげて」
「うっ⋯、うん」
僕は泣きながら、精一杯の笑顔を皆に向けた。
「あっ、あの、ノア様、これ、もらっていただけますか?」
そろそろ帰ろうかという時、一人の女性が近付いて来た。
「あっ、あなたは、パン屋の⋯」
微笑みながら女性が渡してくれた抱えきれない程の花束は、見たこともない綺麗な黄色の花で作られていた。
「これ、主人が結婚記念日に渡してくれたんです。ノア様にもお渡ししたくて」
「ありがとう、ございます。良かった、ですね。うっ⋯」
「今日のノアは泣き虫だから、皆お手柔らかにな」
アルが皆に聞こえるような大きな声でそう言うと、ワアアァァっと大きな歓声が上がった。
僕の頭の中には皆の心の声は聞こえず、ただ割れんばかりの皆の歓声が耳に響いていた。
終わり
番外編を一話更新して完結になります。
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