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何故か男の俺が王子の閨係に選ばれてしまった
「今から見聞きする事は、決して口外してはなりません」
男爵家の次男の俺アルザスは、5年前に学園を卒業してから、騎士団に所属している。
うちは潰れる寸前の商会を営む、いわゆる貧乏男爵家だ。その上、子沢山ときてる。
俺は家の事は全て兄貴に任せて家を出た。
騎士団は食堂もあるし、独身寮に入っているから、家賃も格安だ。
最初は、自分の食いぶち位自分で稼ごうと思って騎士団に入ったのだが、街の治安を守ったり、人助けをしたりするのが性に合っていて、今ではやり甲斐を感じている。
今日は親父から呼び出されて、久しぶりに実家で夕飯を摂った。
「親父、大事な話って何だ?」
「アルザス、今から言う事は、もしお前が嫌だったら断ってもいいからな」
「何だよ、はっきり言えよ」
「今日王家から使いが来て、お前に王太子殿下の閨係を頼みたいと言ってきた」
「閨係⋯?俺が?どうやって?」
「うぅん、詳しい事は言えないの一点張りでな」
「王太子殿下は確か今年学園を卒業したばかりだったよな」
「そうだ。もうすぐ隣国の姫君と婚約するって噂があるが、今何故お前に声が掛かったのかは分からん」
「親父、もしかして俺がこの話を受けたら、大金がもらえるのか?」
「お前はそんな事気にしなくていい」
「いいぜ、俺受けても」
「アルザス!」
「俺も貴族の端くれだ。王家の依頼を断れない事くらい分かってる」
「⋯すまない、アルザス」
閨係を受けると返事をすると、すぐに王宮から迎えが来た。
「今から見聞きする事は、決して口外してはなりません。あなたは殿下の仰せのままにすればいいのです」
「⋯分かりました」
俺は体を隅々まで洗い上げられ、薄暗い部屋に連れてこられた。
部屋には見たこともない大きなベッドがあり、そこが寝室だとすぐに分かった。
いったい俺は今から何をすればいいんだ?
考えても分からず、俺はベッドへ歩み寄りどっかりと腰を下ろした。
その時扉が開く音が聞こえ、俺は慌ててベッドから立ち上がり、その場で跪き顔を伏せた。
「ああ、そんな事しなくていいよ。顔を上げて」
男性にしては高い声が頭上で聞こえ、俺は跪いたまま顔を上げた。
そこにはふわりとした金色の髪に透き通るような青い瞳の小柄で中性的な男性が微笑みながら立っていた。
騎士団で王宮の警備をした時に、遠目から何度か見た事があるから間違いない、王太子殿下だ。
「失礼ながら殿下、今宵、私は何をすればよろしいのでしょうか」
「何って、閨事だよ」
「⋯⋯」
「ああ、戸惑うのも無理は無いね。とりあえず、ベッドに入ろうか」
「はい⋯」
恐る恐る殿下と二人でベッドに入ったが、殿下はうつ伏せになり、じっとしたまま動かない。
訳が分からず、俺も殿下の横で、ただ仰向けで寝ていた。
「入れないのかい?」
「なっ!?何と仰いました?」
「男同士は後ろを使うと聞いたんだが、違っただろうか」
「殿下!?」
「準備は済んでいるから、一思いにやってくれて構わないよ」
「ちょ、ちょっと待ってください殿下。そんな事急に言われても、はいそうですかとはいきません。よろしければ理由を説明して頂けないでしょうか。⋯あぁっ!何も聞くなと言われておりました。申し訳ありません!」
「ふふっ、あははは、君って面白いね」
「殿下⋯、そんな風に笑うと幼く見えるというか、可愛らしいですね」
「え?」
「あっ、俺また余計な事を」
「ふふっ、そうだね、出来れば何も聞かず、私と閨を共にしてもらえると助かるよ」
「⋯分かりました。では殿下が辛くないようにしましょう」
俺は殿下の薄い羽織を脱がせ、四つん這いにし、後孔に香油を馴染ませると、指を一本だけ差し入れ、奥でゆるゆると動かした。
「あぁっ、んっ⋯」
「殿下、足を閉じてください」
「こ、こうかい?」
俺は閉じられた殿下の細い太ももの間に自分の反り返った昂りを滑り込ませ、腰を前後に振った。
俺が動く度に殿下の尊い昂りに擦れ、次第に兆してくるのが分かった。
「殿下、前に集中してください」
俺は殿下に覆い被さり、擦れ合う二人の昂りを一緒に片手で包み込み、腰の律動を速めた。
「あぁっ、もう、達して⋯しまうよ」
俺は殿下が達する瞬間、後孔に差し入れている指で、ある一点を押さえた。
「ひっ、何⋯?あっ、ああぁぁっ」
殿下は小さく痙攣しながら達してしまうと、そのままベッドに倒れ込んでしまった。
俺は殿下の体をきれいに拭い、羽織で包むと、ベッドの端の汚れていない場所にそっと寝かせた。
俺は眠っている殿下の隣に腰を下ろし、今日起こった事を思い出してみた。
でもいくら考えても、何がどうなっているのかさっぱり分からない。
その時、俺は腹に当たる自分の昂りに気づいた。
ああそうだった。殿下をイカせる事ばかり考えて、自分はまだだったんだ。
俺はベッドに腰掛けたまま、足の間で存在を主張している昂りを強く握り、香油で滑らせながら、慣れた手つきで扱いた。
「うっ、くっ」
俺は達する瞬間、殿下の柔らかい頬を無意識に撫でていた。
あれから半年程経った。
この半年の間、王家から閨係の依頼が何度もあったが、俺は不敬罪で処罰も受ける覚悟で断り続けていた。
そんなある日、親父から大事な話があると連絡がきた。
「アルザス、これで最後だそうだ」
「何がだ?」
「殿下の閨係に呼ぶのはこれで最後だそうだ」
「最後⋯」
「アルザス、ちゃんと考えて決めなさい」
俺は前回と同じ薄暗い部屋に案内された。
大きなベッドが目に入り、俺の脳裏にあの時の殿下の姿が蘇った。
慣れない閨事に緊張しながらも、俺に全てを預けてくれた。
達した時の震える華奢な体。あの時一瞬、目が合った気がした。
俺はふと、ベッドの真ん中の布団が膨らんでいるのに気づいた。
俺はベッドに上がり、真ん中に躙り寄ると、そっと布団をはいだ。
「殿下!?」
そこにいたのは一糸まとわぬ姿の殿下だった。
「殿下!どうされたのですか?」
「アルザス、来てくれたんだね」
「はい」
「もしかして、最後だから?」
「えっ?」
「最後の呼び出しだと伝えてあるはずだよ」
「え、ええ、そうですが」
「そうか⋯。アルザス、今日は最後までしてくれないか」
「本当にいいのですか?」
「アルザスの思うままにしていいんだよ」
「⋯閨係になった者は、ここで起きた事はすべて忘れて生きていかなければならないのに、俺は⋯出来そうにありません」
「どういう事⋯?」
「殿下、あなたを抱いてしまったら、俺はきっと、あなたを忘れられない」
「アルザス⋯少し私の話を聞いてくれるかい?」
殿下は何故男の俺を閨係にしたのか、その理由を聞かせてくれた。
「私はね、男性しか愛せないんだ。でも、王族として、国益の為に決められた女性と結婚して、子を成さなければならない。それは仕方が無い事だと分かってるんだ。だからせめて、自由が奪われる前に、一度でいいから男性に抱かれてみたいと思ったんだ」
「それで俺が閨係に選ばれたんですね」
「そうだよ」
「私はあの時、男性の閨係に一度だけ抱いてもらって、すべてを諦めようと思ったんだ。手酷く抱いてもらえば、諦めもつくと思ったんだ。でもアルザスは優しかった。⋯どうしても思い出してしまうんだ。アルザスの大きな手、優しい声、温かくて逞しい体。そして熱い昂り」
「殿下、俺も忘れられなかった。殿下の震える細い体。俺に触れられて漏れ出る可愛い声。そして熱くて柔らかな殿下の中」
俺達は引き合うように、この前叶わなかった口付けをした。
温もりを確かめ合うように、何度も何度も、深くて息も出来ないような激しい口付けだった。
あれから1年が経った。
最後に会った日、結局俺達は抱き合わなかった。
ただ温もりを確かめ合うように、裸のまま抱き締め合って眠った。
もう二度と会えないのに、忘れないといけないのに、あの時この胸に確かに抱いた殿下の温もりが、忘れないでと言っているようだった。
そんなある日、仕事が終わって寮へ帰ると、寮の前に王家の馬車が停まっていた。
状況が分からず動けずにいると、馬車の扉が開き、ふわりとした金色の髪が見えた。
俺は弾かれるように駆け出すと俺を見て嬉しそうに笑う殿下を思い切り抱き締めた。
「私は廃太子になったよ」
「えっ?」
寮では目立ってしまうので、そのまま馬車で王城まで来た。
「陛下は私が悩んでいるのをご存知だった。元々第二王子の方が私より聡明で体躯も立派だから、王太子にと推す声が多かったんだ。だから陛下の一声ですんなり事が運んだよ」
「殿下はこれからどうなるのですか?」
「私は臣籍降下して、一代限りの公爵位を賜ったんだ。そして一つ仕事を言い付けられた」
「それは俺にも手伝える事ですか?」
「ふふっ、私とアルザスにしか出来ない事だよ」
「何でしょうか」
「近々、他国に倣って同性婚を認める法案が通る予定なんだ。その同性婚第一号になるようにとの仰せだよ」
「えっ⋯俺と殿下が結婚?」
「アルザス、私の事はカインと呼んで」
「カイ、ン⋯カイン、俺でいいんですか?」
「アルザスじゃないと駄目なんだ。アルザスしかいらない」
「カイン!」
俺は嬉しくて加減が効かず、力いっぱいカインを抱き締め、恋しくてたまらなかった唇に食らいついた。
俺達は無事に記念すべき同性婚の第一号になり、大勢の人々から、祝福を受けた。
カインは身に付けた語学を活かし、外交で王太子殿下を支えている。
俺はそんなカインに寄り添い、伴侶兼護衛で他国を飛び回っている。
そして今日も、俺に愛され尽くされて幸せそうに眠るカインを、この腕に抱き締めて眠る。
終わり
男爵家の次男の俺アルザスは、5年前に学園を卒業してから、騎士団に所属している。
うちは潰れる寸前の商会を営む、いわゆる貧乏男爵家だ。その上、子沢山ときてる。
俺は家の事は全て兄貴に任せて家を出た。
騎士団は食堂もあるし、独身寮に入っているから、家賃も格安だ。
最初は、自分の食いぶち位自分で稼ごうと思って騎士団に入ったのだが、街の治安を守ったり、人助けをしたりするのが性に合っていて、今ではやり甲斐を感じている。
今日は親父から呼び出されて、久しぶりに実家で夕飯を摂った。
「親父、大事な話って何だ?」
「アルザス、今から言う事は、もしお前が嫌だったら断ってもいいからな」
「何だよ、はっきり言えよ」
「今日王家から使いが来て、お前に王太子殿下の閨係を頼みたいと言ってきた」
「閨係⋯?俺が?どうやって?」
「うぅん、詳しい事は言えないの一点張りでな」
「王太子殿下は確か今年学園を卒業したばかりだったよな」
「そうだ。もうすぐ隣国の姫君と婚約するって噂があるが、今何故お前に声が掛かったのかは分からん」
「親父、もしかして俺がこの話を受けたら、大金がもらえるのか?」
「お前はそんな事気にしなくていい」
「いいぜ、俺受けても」
「アルザス!」
「俺も貴族の端くれだ。王家の依頼を断れない事くらい分かってる」
「⋯すまない、アルザス」
閨係を受けると返事をすると、すぐに王宮から迎えが来た。
「今から見聞きする事は、決して口外してはなりません。あなたは殿下の仰せのままにすればいいのです」
「⋯分かりました」
俺は体を隅々まで洗い上げられ、薄暗い部屋に連れてこられた。
部屋には見たこともない大きなベッドがあり、そこが寝室だとすぐに分かった。
いったい俺は今から何をすればいいんだ?
考えても分からず、俺はベッドへ歩み寄りどっかりと腰を下ろした。
その時扉が開く音が聞こえ、俺は慌ててベッドから立ち上がり、その場で跪き顔を伏せた。
「ああ、そんな事しなくていいよ。顔を上げて」
男性にしては高い声が頭上で聞こえ、俺は跪いたまま顔を上げた。
そこにはふわりとした金色の髪に透き通るような青い瞳の小柄で中性的な男性が微笑みながら立っていた。
騎士団で王宮の警備をした時に、遠目から何度か見た事があるから間違いない、王太子殿下だ。
「失礼ながら殿下、今宵、私は何をすればよろしいのでしょうか」
「何って、閨事だよ」
「⋯⋯」
「ああ、戸惑うのも無理は無いね。とりあえず、ベッドに入ろうか」
「はい⋯」
恐る恐る殿下と二人でベッドに入ったが、殿下はうつ伏せになり、じっとしたまま動かない。
訳が分からず、俺も殿下の横で、ただ仰向けで寝ていた。
「入れないのかい?」
「なっ!?何と仰いました?」
「男同士は後ろを使うと聞いたんだが、違っただろうか」
「殿下!?」
「準備は済んでいるから、一思いにやってくれて構わないよ」
「ちょ、ちょっと待ってください殿下。そんな事急に言われても、はいそうですかとはいきません。よろしければ理由を説明して頂けないでしょうか。⋯あぁっ!何も聞くなと言われておりました。申し訳ありません!」
「ふふっ、あははは、君って面白いね」
「殿下⋯、そんな風に笑うと幼く見えるというか、可愛らしいですね」
「え?」
「あっ、俺また余計な事を」
「ふふっ、そうだね、出来れば何も聞かず、私と閨を共にしてもらえると助かるよ」
「⋯分かりました。では殿下が辛くないようにしましょう」
俺は殿下の薄い羽織を脱がせ、四つん這いにし、後孔に香油を馴染ませると、指を一本だけ差し入れ、奥でゆるゆると動かした。
「あぁっ、んっ⋯」
「殿下、足を閉じてください」
「こ、こうかい?」
俺は閉じられた殿下の細い太ももの間に自分の反り返った昂りを滑り込ませ、腰を前後に振った。
俺が動く度に殿下の尊い昂りに擦れ、次第に兆してくるのが分かった。
「殿下、前に集中してください」
俺は殿下に覆い被さり、擦れ合う二人の昂りを一緒に片手で包み込み、腰の律動を速めた。
「あぁっ、もう、達して⋯しまうよ」
俺は殿下が達する瞬間、後孔に差し入れている指で、ある一点を押さえた。
「ひっ、何⋯?あっ、ああぁぁっ」
殿下は小さく痙攣しながら達してしまうと、そのままベッドに倒れ込んでしまった。
俺は殿下の体をきれいに拭い、羽織で包むと、ベッドの端の汚れていない場所にそっと寝かせた。
俺は眠っている殿下の隣に腰を下ろし、今日起こった事を思い出してみた。
でもいくら考えても、何がどうなっているのかさっぱり分からない。
その時、俺は腹に当たる自分の昂りに気づいた。
ああそうだった。殿下をイカせる事ばかり考えて、自分はまだだったんだ。
俺はベッドに腰掛けたまま、足の間で存在を主張している昂りを強く握り、香油で滑らせながら、慣れた手つきで扱いた。
「うっ、くっ」
俺は達する瞬間、殿下の柔らかい頬を無意識に撫でていた。
あれから半年程経った。
この半年の間、王家から閨係の依頼が何度もあったが、俺は不敬罪で処罰も受ける覚悟で断り続けていた。
そんなある日、親父から大事な話があると連絡がきた。
「アルザス、これで最後だそうだ」
「何がだ?」
「殿下の閨係に呼ぶのはこれで最後だそうだ」
「最後⋯」
「アルザス、ちゃんと考えて決めなさい」
俺は前回と同じ薄暗い部屋に案内された。
大きなベッドが目に入り、俺の脳裏にあの時の殿下の姿が蘇った。
慣れない閨事に緊張しながらも、俺に全てを預けてくれた。
達した時の震える華奢な体。あの時一瞬、目が合った気がした。
俺はふと、ベッドの真ん中の布団が膨らんでいるのに気づいた。
俺はベッドに上がり、真ん中に躙り寄ると、そっと布団をはいだ。
「殿下!?」
そこにいたのは一糸まとわぬ姿の殿下だった。
「殿下!どうされたのですか?」
「アルザス、来てくれたんだね」
「はい」
「もしかして、最後だから?」
「えっ?」
「最後の呼び出しだと伝えてあるはずだよ」
「え、ええ、そうですが」
「そうか⋯。アルザス、今日は最後までしてくれないか」
「本当にいいのですか?」
「アルザスの思うままにしていいんだよ」
「⋯閨係になった者は、ここで起きた事はすべて忘れて生きていかなければならないのに、俺は⋯出来そうにありません」
「どういう事⋯?」
「殿下、あなたを抱いてしまったら、俺はきっと、あなたを忘れられない」
「アルザス⋯少し私の話を聞いてくれるかい?」
殿下は何故男の俺を閨係にしたのか、その理由を聞かせてくれた。
「私はね、男性しか愛せないんだ。でも、王族として、国益の為に決められた女性と結婚して、子を成さなければならない。それは仕方が無い事だと分かってるんだ。だからせめて、自由が奪われる前に、一度でいいから男性に抱かれてみたいと思ったんだ」
「それで俺が閨係に選ばれたんですね」
「そうだよ」
「私はあの時、男性の閨係に一度だけ抱いてもらって、すべてを諦めようと思ったんだ。手酷く抱いてもらえば、諦めもつくと思ったんだ。でもアルザスは優しかった。⋯どうしても思い出してしまうんだ。アルザスの大きな手、優しい声、温かくて逞しい体。そして熱い昂り」
「殿下、俺も忘れられなかった。殿下の震える細い体。俺に触れられて漏れ出る可愛い声。そして熱くて柔らかな殿下の中」
俺達は引き合うように、この前叶わなかった口付けをした。
温もりを確かめ合うように、何度も何度も、深くて息も出来ないような激しい口付けだった。
あれから1年が経った。
最後に会った日、結局俺達は抱き合わなかった。
ただ温もりを確かめ合うように、裸のまま抱き締め合って眠った。
もう二度と会えないのに、忘れないといけないのに、あの時この胸に確かに抱いた殿下の温もりが、忘れないでと言っているようだった。
そんなある日、仕事が終わって寮へ帰ると、寮の前に王家の馬車が停まっていた。
状況が分からず動けずにいると、馬車の扉が開き、ふわりとした金色の髪が見えた。
俺は弾かれるように駆け出すと俺を見て嬉しそうに笑う殿下を思い切り抱き締めた。
「私は廃太子になったよ」
「えっ?」
寮では目立ってしまうので、そのまま馬車で王城まで来た。
「陛下は私が悩んでいるのをご存知だった。元々第二王子の方が私より聡明で体躯も立派だから、王太子にと推す声が多かったんだ。だから陛下の一声ですんなり事が運んだよ」
「殿下はこれからどうなるのですか?」
「私は臣籍降下して、一代限りの公爵位を賜ったんだ。そして一つ仕事を言い付けられた」
「それは俺にも手伝える事ですか?」
「ふふっ、私とアルザスにしか出来ない事だよ」
「何でしょうか」
「近々、他国に倣って同性婚を認める法案が通る予定なんだ。その同性婚第一号になるようにとの仰せだよ」
「えっ⋯俺と殿下が結婚?」
「アルザス、私の事はカインと呼んで」
「カイ、ン⋯カイン、俺でいいんですか?」
「アルザスじゃないと駄目なんだ。アルザスしかいらない」
「カイン!」
俺は嬉しくて加減が効かず、力いっぱいカインを抱き締め、恋しくてたまらなかった唇に食らいついた。
俺達は無事に記念すべき同性婚の第一号になり、大勢の人々から、祝福を受けた。
カインは身に付けた語学を活かし、外交で王太子殿下を支えている。
俺はそんなカインに寄り添い、伴侶兼護衛で他国を飛び回っている。
そして今日も、俺に愛され尽くされて幸せそうに眠るカインを、この腕に抱き締めて眠る。
終わり
この作品は感想を受け付けておりません。
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