HAMA

わらびもち

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第十一章 作戦会議

第70話 英雄の仲間

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 おれ達は広場から1時間ほど歩いたところにある大聖堂にやってきた。大聖堂それは、中央に大きな時計塔が建っており、それを支えるように巨大な建物が構えてあった。ここの一室で会議をするらしい。

 観光客やら何やらが交差している入り口におれ達も入っていき、階段を上って会議室へと向かった。照明や窓など、目に映る物全てが豪華に飾られている。

 綺麗ではあるけどなんか……落ち着かないな。廊下を歩いていくと、一段と大きな扉があった。ここが会議室だ。扉の前には1人の老人が椅子に座っていた。

「アールデント様! お久しぶりです!」

「おぉ。セルセリアとグラダルオだな? ……ということは君がエストか?」

「……はい! おれがエスト……です!」

 おれはアールデント様の問いに答えた。2000年近く生きている人間、大英雄の仲間というだけあって流石の貫禄だ。不老の魔術というのも事実、底の見えない魔力が彼の身体を巡っている。

「バンリューだけでなく、あのイリアからも認められている者などそういないぞ。だから君のことはずっと気になっていたのだが………なるほど、血筋か何かは知らないが、君にはカリスマ性のようなものがあるのかもな」

「血筋? おれのこと何か知ってん……ですか?」

「……いや、知らんよ。さぁ、部屋に入ってくれ。まだスリドとリンシャしかおらんが、もうじき皆来るだろう。20分もすればな」

 アールデント様はそう言って扉を開いた。おれ達は案内されるままに部屋の中に入る。中は円卓を中心に13の椅子が並んであった。八法帝とアールデント様、バンリュー、スリドさん、おれで12人だが……残りの一席は誰の分だ?

「というかグラは昔のアールデント様に会ったことはあるのか?」

「いや。あの方は戦闘はそんなにしなかったらしいからな。……まぁ儂が覚えてないだけかも知れんが」

「ふーん……。スリドさんとリンシャさんもさっきぶりで」

「ああ。君達は早いんだね。他の人らは我が強いから多分遅れてくるだろう」

「確かにそうですね。まぁ……私達も予定より早く着いただけなんであまり強くは言えませんがね」

 この部屋には5人、セリアとスリドさんがよく話していた。そういえばセリアも貴族だったしな、貴族どうし気が合うのだろうか。2人とも品のある話し方だ。おれやグラとは大違いだな。

「リンシャさん強いんだって? 法帝ほうおうになったのはいつ頃なんだ?」

「私ですか? 法帝ほうおうに認められたのは……ちょうど13年前ほどですかね。私が7つの頃でしたので」

「7つ!? 子どもじゃないか。そんなに強かったのか?」

「あのときは4人しかいませんでしたからね。今よりなりやすかったかもしれません」

 それにしたってだよなぁ……。よっぽどの天才でもないと7歳で法帝ほうおうなんてなれないだろ。いや、天才なんてものじゃないか。そのときには既に昇華してたってことだもんな。

「なぁ、今度手合わせしてくれよ」

「え? えー……せっかくですけど私は……」

「構わないよ。リンシャ。どうせ作戦が決行されるのも近いだろうし、それには私はついていけないんだ。足手纏いになるからね」

「…………分かりました。恐らく魔界へ行くのもすぐでしょうから、それまでの間なら構いませんよ」

「そうか! ありがとう!」

 おれはリンシャに感謝を伝えて会話を終えた。彼女の能力スキルについても知りたいが、それはまた今度でいいだろう。

 でも子どもの頃から昇華していたということは、それなりに扱いやすい能力スキルということだろうな。固有能力者ネームドかどうかは分からないが。

「おいおい! 小僧! 久しぶりだなぁ!」

「ガルヴァンさん!」

 おれを呼ぶ声に振り向くと、ガルヴァンさんが扉を開けて部屋に入ってきていた。彼はハウザン帝国の王室騎士団団長であり、八法帝のうちの1人だ。3年前、帝都・バランで世話になったことがある。

「大きくなったなぁ! お前が生きてたなんて聞いたときは流石に驚いたよ! 強くなったんだろ!? 何やってたんだ!?」

「ははっ……色々あったのさ。また時間があるときに話すよ」

 ガルヴァンさんはおれの背中をバシバシ叩きながらそう話した。かなり強く叩かれたので痛いのだが……まぁ久しぶりの再会ということで水に流そう。

「お、ガルヴァンもいるのか。それにエスト君も」

「ギルバートさんも久しぶり!」

 そう言いながら部屋に入ってきたのはギルバートさんだった。グランデュース家の長男。3年間セリアとグラを鍛えてくれていたらしい。相変わらず愉快な人だ。

「いやぁー……生きてたんだね。うちの妹セリアが一途なもんで君がいないと僕も辛かったんだ。よく無事だったね。しかもより一層頼りがいのある感じになっちゃって」

「……兄様!」

「あぁ! 愛しのセリア! まず君に挨拶をすべきだったか……」

「早く空いてる席に座って下さい。皆さん迷惑してますよ」

「相変わらず冷たいな……良い……!」

「早く……!」

 セリアはイラついた口調で言っていた。……まぁあんなにも面倒な人だとそうなるか。確実に悪いのはギルバートさんだしな、可哀想ではあるが流石に擁護できない。

 開始の時刻まであと5分ほどか。ミーランさんとドーランもさっき来ていたから……あとはイリアとバンリューだけか。……バンリューか。今度こそあの人と戦ってみてぇな。
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