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第十一章 作戦会議
第72話 三つの世界
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「さ、では気を取り直してこれからの話を始めるとしよう」
アールデント様は両手をパンと合わせてそう言った。そうだ。忘れかけていたが、今回集まったのは魔界に攻撃を仕掛けるためだったな。
「まず、君達の記憶にもあるだろうが、我界・デスバルトが言った魔族の大侵攻、恐らく2ヶ月後に行われるだろう。2ヶ月後でちょうど3年だからな。それでだ。人間界で迎え撃つと被害が大きくなるから我々の方から魔族の地、魔界へと行くという訳だ」
アールデント様は早速説明を始めた。まぁここまではこの前聞いた通りの話だ。
「ただ魔族と全面戦争を始めるとなると当然三界と戦うことになる。障害になるのはこの3人と我金隊の隊長の4人だな。対して我々の戦力はここにいる私とスリドを除いた11人……。勝率で言えば五分五分といった具合か」
「我々だけで行くんですか? 騎士団や冒険者とかは連れて行かないんで?」
「最初は私もそう考えていたのだが……君達の戦いに中途半端な者を連れて行っても邪魔になるだろう? 君達が魔界にいる間、他の者には人間界の守備に回ってもらう」
「………確かに。数が多ければいいという訳でもないですね」
「では知らない者もいるだろうから、確認がてら少し説明しようか」
そうしてアールデント様は三界について説明を始めた。厳密に言えば三界の能力について。彼は3本の指を立てて話をした。
「まず三界の三番・ダンディール。奴の能力は『崩れる世界』、触れたもの、奴の魔力よ支配下にあるものを破壊する能力だ。三番といえど三界、恐ろしい能力を持っている」
「三界の双角・クロワール。奴の能力は『支配する世界』。その名の通りにあらゆるものを支配下に置く能力だ。……奴は本体は精神体なのだが、今は大英雄の身体を乗っ取っている。大英雄の封印術によって魔力は制限されているだろうから恐らくダンディールよりは弱いだろうな」
大英雄の身体を支配してるってことは……強い肉体の方が出せる力が大きいということか。それか人間の戦意を削ぐ目的でもあるのかも知れないが。
……それにしたって大英雄の肉体を持ってるなんて初めて聞いたな。おれが知らなかっただけか? ……いや、どうやらそうでもないようだ。
「……ユリオス様が……!!?」
「死んだ英雄の命が弄ばれてるなぞ……世間には言えないからな」
セリアが少々語気を強めて言葉を発した。この場の全員が怒りを感じている。だが、セリアの大英雄に対する尊敬は並じゃない。それゆえに誰よりも感情が暴れていた。アールデント様は公表していなかった理由を簡潔に話した後、説明を再開した。
「そして三界の本山・デスバルト。能力は『我が世界』。能力の詳細は分かっていない」
「つまり……?」
「魔界に乗り込むに従って各自の役目を決めねばならない。と言ってもあらかたこちらで決めているがな」
「バンリューは1人でダンディールの相手をしてくれ。クロワールについてはグランデュースの2人、リンシャ、それからエスト君の4人で頼むよ。残りのイリア、ドーラン、ガルヴァン、ミーラン、グラダルオ、デモンゲートの6人がデスバルトの相手だ。それから我金隊隊長の相手はグランデュース班から頼むよ。だがイリア班、デスバルトの相手は無茶をしないでくれ。グランデュース班か、特にバンリューかが加勢出来るまでは時間稼ぎに徹してくれて構わない。作戦決行は2週間後、質問は?」
「班分けの基準は?」
「時間稼ぎに優秀な者をデスバルトに回した。他は?」
「バンリューにデスバルトの相手をさせた方が良いのでは?」
「流石にデスバルトの相手をするのはバンリューでも厳しいだろうからな。……というより、バンリュー以外ならばダンディール1人にも油断ならない。それなら奴を1人で早く倒してもらった方がいいと考えた」
その後も10分ほど質疑応答が続いた。分かってはいたが、最高戦力で臨むということはこの一戦に全てを賭けるということなんだな。誰が死んでもおかしくはない。そんな戦いがすぐ未来に待っている。
あんまり話が長くておれにとっては分かりづらかったが……まぁなんとかなるか。
会議は終わり、おれ達は各々宿へ戻った。1週間後に船で魔界に向けて出発するようだが、それまでの間は大聖堂の中庭で特訓をしてもいいらしい。特殊な結界が貼られていて相当暴れてもいいようだ。
みんな少なからず緊張しているようだった。セリアも普段よりも口数が少なかった。まぁセリアの場合は他の理由があるだろうか。おれも今日は長い話を聞いて疲れていたので、すぐにベッドの中に入った。窓の外に広がる夜空は、無数の星が光り輝き、賑やかでありつつ寂しくもあった。
アールデント様は両手をパンと合わせてそう言った。そうだ。忘れかけていたが、今回集まったのは魔界に攻撃を仕掛けるためだったな。
「まず、君達の記憶にもあるだろうが、我界・デスバルトが言った魔族の大侵攻、恐らく2ヶ月後に行われるだろう。2ヶ月後でちょうど3年だからな。それでだ。人間界で迎え撃つと被害が大きくなるから我々の方から魔族の地、魔界へと行くという訳だ」
アールデント様は早速説明を始めた。まぁここまではこの前聞いた通りの話だ。
「ただ魔族と全面戦争を始めるとなると当然三界と戦うことになる。障害になるのはこの3人と我金隊の隊長の4人だな。対して我々の戦力はここにいる私とスリドを除いた11人……。勝率で言えば五分五分といった具合か」
「我々だけで行くんですか? 騎士団や冒険者とかは連れて行かないんで?」
「最初は私もそう考えていたのだが……君達の戦いに中途半端な者を連れて行っても邪魔になるだろう? 君達が魔界にいる間、他の者には人間界の守備に回ってもらう」
「………確かに。数が多ければいいという訳でもないですね」
「では知らない者もいるだろうから、確認がてら少し説明しようか」
そうしてアールデント様は三界について説明を始めた。厳密に言えば三界の能力について。彼は3本の指を立てて話をした。
「まず三界の三番・ダンディール。奴の能力は『崩れる世界』、触れたもの、奴の魔力よ支配下にあるものを破壊する能力だ。三番といえど三界、恐ろしい能力を持っている」
「三界の双角・クロワール。奴の能力は『支配する世界』。その名の通りにあらゆるものを支配下に置く能力だ。……奴は本体は精神体なのだが、今は大英雄の身体を乗っ取っている。大英雄の封印術によって魔力は制限されているだろうから恐らくダンディールよりは弱いだろうな」
大英雄の身体を支配してるってことは……強い肉体の方が出せる力が大きいということか。それか人間の戦意を削ぐ目的でもあるのかも知れないが。
……それにしたって大英雄の肉体を持ってるなんて初めて聞いたな。おれが知らなかっただけか? ……いや、どうやらそうでもないようだ。
「……ユリオス様が……!!?」
「死んだ英雄の命が弄ばれてるなぞ……世間には言えないからな」
セリアが少々語気を強めて言葉を発した。この場の全員が怒りを感じている。だが、セリアの大英雄に対する尊敬は並じゃない。それゆえに誰よりも感情が暴れていた。アールデント様は公表していなかった理由を簡潔に話した後、説明を再開した。
「そして三界の本山・デスバルト。能力は『我が世界』。能力の詳細は分かっていない」
「つまり……?」
「魔界に乗り込むに従って各自の役目を決めねばならない。と言ってもあらかたこちらで決めているがな」
「バンリューは1人でダンディールの相手をしてくれ。クロワールについてはグランデュースの2人、リンシャ、それからエスト君の4人で頼むよ。残りのイリア、ドーラン、ガルヴァン、ミーラン、グラダルオ、デモンゲートの6人がデスバルトの相手だ。それから我金隊隊長の相手はグランデュース班から頼むよ。だがイリア班、デスバルトの相手は無茶をしないでくれ。グランデュース班か、特にバンリューかが加勢出来るまでは時間稼ぎに徹してくれて構わない。作戦決行は2週間後、質問は?」
「班分けの基準は?」
「時間稼ぎに優秀な者をデスバルトに回した。他は?」
「バンリューにデスバルトの相手をさせた方が良いのでは?」
「流石にデスバルトの相手をするのはバンリューでも厳しいだろうからな。……というより、バンリュー以外ならばダンディール1人にも油断ならない。それなら奴を1人で早く倒してもらった方がいいと考えた」
その後も10分ほど質疑応答が続いた。分かってはいたが、最高戦力で臨むということはこの一戦に全てを賭けるということなんだな。誰が死んでもおかしくはない。そんな戦いがすぐ未来に待っている。
あんまり話が長くておれにとっては分かりづらかったが……まぁなんとかなるか。
会議は終わり、おれ達は各々宿へ戻った。1週間後に船で魔界に向けて出発するようだが、それまでの間は大聖堂の中庭で特訓をしてもいいらしい。特殊な結界が貼られていて相当暴れてもいいようだ。
みんな少なからず緊張しているようだった。セリアも普段よりも口数が少なかった。まぁセリアの場合は他の理由があるだろうか。おれも今日は長い話を聞いて疲れていたので、すぐにベッドの中に入った。窓の外に広がる夜空は、無数の星が光り輝き、賑やかでありつつ寂しくもあった。
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