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第十三章 生残競争
第89話 割と元気
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「イリア、手出して」
「……?」
おれはイリアにそう声を掛けた。イリアは不思議そうな顔をしつつも、おれに従ってくれた。
……上手くいくかは分からないが……でもやってみるしかない。おれはイリアの手を掴んで魔素を流し込んだ。ちゃんと魔力になるように集中して流していく。
「ゔッ……熱ぅ……!」
「ちょっと痛むかも知れねぇけど我慢してくれよ」
「ッ…………。ふぅ……ありがとう」
これでイリアの魔力は完全に回復した。時間がかかるしイリアにも相当の負担が掛かるから戦闘中には使えない。
というか落ち着いた状況で魔力を回復させる必要なんてそう無いだろうから滅多に使うことは無いだろうな。今みたいに特殊な状況下でない限りは。
「じゃあ……ふんッ!!」
「えっと……? 何してんの……?」
おれは巨大な岩を蹴ってちょうどいい大きさに砕いた。うん。これなら3人で乗れるだろう。
「よし! じゃあ2人共、乗って」
「乗る……?」
おれはセリアとイリアを岩の上に招いた。2人共何が何だか分かっていなさそうだが、まぁ説明するのも面倒なのでとりあえず乗せることにした。
その岩を念力で持ち上げ、勢いよく飛ばした。少し時間が掛かるだろうが、走るよりは楽だろう。セリア達に関して言えば乗ってるだけだからな。
「魔力があるのはこっちだな。途中誰かを見つけたら合流しよう。だから2人は魔力の反応に気をつけてくれ」
「うん! 分かった!」
おれ達は一際大きな魔力のある方へと向かっていった。つまりデスバルトの方へ。
緊張で胸が激しく鼓動した。なんとかクロワールに勝つことは出来たおれ達が、デスバルトに勝てるのだろうか……。いや、勝つしかない。
数十分ほど飛んでいると、大きな魔力に動きがあった。こちらに気づいたのか、もの凄い速さで接近してくる。
唯一確認できた魔力だったからデスバルトだろうと勝手に思っていたのだが………嫌な予感がしてきた。一応、接近する魔力に警戒しつつ、速度を落とした。
いや、これはある意味ちゃんと警戒しないといけない。
「エスト様ぁ~! お久しぶりです! わざわざ私を探していただけるなど……感無量です……!」
「おぉ……別にお前に会いにきたんじゃないけどな」
「……! つまり……運命という訳にございますか……!」
そう言って目の前に現れたのはデモンゲートだった。なんか……デスバルトにやられたって割には元気だな。
「おれ達は魔力を感じる方に来たんだけどよ。なんでデスバルトじゃなくてお前なんだよ」
「魔界は全域デスバルトの魔力で覆われていますから。集中して魔力の濃いところを探さないとなりませんよ。バンリューに関しても同じでしょう」
そうか……そう言えば昔アイツを見たときも魔力は感じられなかったな。魔力の中に埋まっていては確かに分かりづらいか。……ならまた探すところから始めないと。
「デモンゲート、デスバルトがどこにいるか分かるか?」
「当然であります!」
「そうか、じゃあ乗れ。行くぞ」
「はッ! い、良いのですか!?ではエスト様のお隣に……」
「別に隣じゃなくてもいいけどな」
おれはデモンゲートを岩に乗せて、彼の指差す方向へ飛んでいった。なんか耳元でうるさいが、関係ないことは無視していこう。
……次第に空気が重くなってゆく。今回は間違いなくデスバルトだ。こんなヤツと戦ってたとは……みんな凄いな。そんなことを考えていると遠くに2つの影が見えた。
片方は……酷く血だらけだ。もう片方も怪我をしているようだが、そこまで酷くはない。遠くからはよく分からなかったが、近づけばそれがデスバルトだと分かった。そして重傷なのは……!
「バンリュー! 大丈夫か!?」
「その……声は……」
「……はぁ……ははッ……! お前は……来たか!!」
おれは岩から飛び出してバンリューの元へ行った。バンリューに向けて振ったデスバルトの拳をなんとか受け止め、バンリューを抱えて一度後ろに下がった。
イリアに治療を頼みたいが……バンリューを治すのにはどれだけの魔力を使うのだろうか。そんな時間をデスバルトがくれるだろうか。いや、そんなはずはない。
「楽しみにしてたよ……エスト……!」
「そうか。おれは楽しみじゃなかったんだけどな」
「ははッ! 気が合わないな!」
見方によっては今が最高のタイミングとも言える。バンリューが削ってくれているからな。今勝てないならいつまでも勝てない。おれは気を高ぶらせて構えた。
「……?」
おれはイリアにそう声を掛けた。イリアは不思議そうな顔をしつつも、おれに従ってくれた。
……上手くいくかは分からないが……でもやってみるしかない。おれはイリアの手を掴んで魔素を流し込んだ。ちゃんと魔力になるように集中して流していく。
「ゔッ……熱ぅ……!」
「ちょっと痛むかも知れねぇけど我慢してくれよ」
「ッ…………。ふぅ……ありがとう」
これでイリアの魔力は完全に回復した。時間がかかるしイリアにも相当の負担が掛かるから戦闘中には使えない。
というか落ち着いた状況で魔力を回復させる必要なんてそう無いだろうから滅多に使うことは無いだろうな。今みたいに特殊な状況下でない限りは。
「じゃあ……ふんッ!!」
「えっと……? 何してんの……?」
おれは巨大な岩を蹴ってちょうどいい大きさに砕いた。うん。これなら3人で乗れるだろう。
「よし! じゃあ2人共、乗って」
「乗る……?」
おれはセリアとイリアを岩の上に招いた。2人共何が何だか分かっていなさそうだが、まぁ説明するのも面倒なのでとりあえず乗せることにした。
その岩を念力で持ち上げ、勢いよく飛ばした。少し時間が掛かるだろうが、走るよりは楽だろう。セリア達に関して言えば乗ってるだけだからな。
「魔力があるのはこっちだな。途中誰かを見つけたら合流しよう。だから2人は魔力の反応に気をつけてくれ」
「うん! 分かった!」
おれ達は一際大きな魔力のある方へと向かっていった。つまりデスバルトの方へ。
緊張で胸が激しく鼓動した。なんとかクロワールに勝つことは出来たおれ達が、デスバルトに勝てるのだろうか……。いや、勝つしかない。
数十分ほど飛んでいると、大きな魔力に動きがあった。こちらに気づいたのか、もの凄い速さで接近してくる。
唯一確認できた魔力だったからデスバルトだろうと勝手に思っていたのだが………嫌な予感がしてきた。一応、接近する魔力に警戒しつつ、速度を落とした。
いや、これはある意味ちゃんと警戒しないといけない。
「エスト様ぁ~! お久しぶりです! わざわざ私を探していただけるなど……感無量です……!」
「おぉ……別にお前に会いにきたんじゃないけどな」
「……! つまり……運命という訳にございますか……!」
そう言って目の前に現れたのはデモンゲートだった。なんか……デスバルトにやられたって割には元気だな。
「おれ達は魔力を感じる方に来たんだけどよ。なんでデスバルトじゃなくてお前なんだよ」
「魔界は全域デスバルトの魔力で覆われていますから。集中して魔力の濃いところを探さないとなりませんよ。バンリューに関しても同じでしょう」
そうか……そう言えば昔アイツを見たときも魔力は感じられなかったな。魔力の中に埋まっていては確かに分かりづらいか。……ならまた探すところから始めないと。
「デモンゲート、デスバルトがどこにいるか分かるか?」
「当然であります!」
「そうか、じゃあ乗れ。行くぞ」
「はッ! い、良いのですか!?ではエスト様のお隣に……」
「別に隣じゃなくてもいいけどな」
おれはデモンゲートを岩に乗せて、彼の指差す方向へ飛んでいった。なんか耳元でうるさいが、関係ないことは無視していこう。
……次第に空気が重くなってゆく。今回は間違いなくデスバルトだ。こんなヤツと戦ってたとは……みんな凄いな。そんなことを考えていると遠くに2つの影が見えた。
片方は……酷く血だらけだ。もう片方も怪我をしているようだが、そこまで酷くはない。遠くからはよく分からなかったが、近づけばそれがデスバルトだと分かった。そして重傷なのは……!
「バンリュー! 大丈夫か!?」
「その……声は……」
「……はぁ……ははッ……! お前は……来たか!!」
おれは岩から飛び出してバンリューの元へ行った。バンリューに向けて振ったデスバルトの拳をなんとか受け止め、バンリューを抱えて一度後ろに下がった。
イリアに治療を頼みたいが……バンリューを治すのにはどれだけの魔力を使うのだろうか。そんな時間をデスバルトがくれるだろうか。いや、そんなはずはない。
「楽しみにしてたよ……エスト……!」
「そうか。おれは楽しみじゃなかったんだけどな」
「ははッ! 気が合わないな!」
見方によっては今が最高のタイミングとも言える。バンリューが削ってくれているからな。今勝てないならいつまでも勝てない。おれは気を高ぶらせて構えた。
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