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幸せのオムライス

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第一章 森の生活と孤児院改革:孤児院のニューフェイス

第21話 初めての街『ハルモニア』! 巨大な城壁とファンタジーな住人たち

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 街道は、私の想像を遥かに超えて「ファンタジー」していた。
 石畳ではなく土を固めた道だけど、その幅は車が余裕ですれ違えるほど広い。道の両脇には、等間隔で簡素な石の道しるべが立っている。うん、インフラ、ちゃんとしてる!
 そして何より、道を行き交う人々!

 ロバが引く荷台に山のような野菜を積んだおじさん、背中に背負うには大きすぎる剣を持った冒険者風のお兄さん、フードを深く被った怪しげなローブの人……。
 わあ、本当に異世界なんだ! 脳内のテンションは、初めてテーマパークに来た子供みたいに爆上がりだ。

『コトリ、あの四角い家、動いてる!』

「あれは馬車っていうんだよ、コロ」

『ばしゃ!』

 コロも初めて見る文明の利器(?)に興味津々で、尻尾をぶんぶん振っている。その姿は、都会に出てきた柴犬そのもの。可愛い。あまりに可愛いので、すれ違う人たちが「あら可愛い」みたいな顔で私たちを見ている。うんうん、うちの子、可愛いでしょ?

 そんなふうに、田舎者丸出しでキョロキョロしながら歩くこと約一時間。
 ついに、地平線の向こうに見えていた巨大なシルエットが、その全貌を現した。

「でっっっか……!」

 思わず声が出る。
 高さ10メートルはありそうな、堅牢な石造りの城壁。それが、街全体をぐるりと囲んでいるようだ。ところどころに監視塔のようなものまで備え付けられている。

 これはもう、ファンタジー映画で見たやつそのもの!
 城壁に近づくにつれて、人の往来も激しくなる。巨大な門の前には、街に入る人々の長い列ができている。

「すごいな……。ハルモニアって、結構大きな街なんだ」

 地図ではただの黒い点だったけど、これは相当な規模の都市だ。よかった、いきなり寂れた村とかじゃなくて。文明レベルが高い方が、私のスローライフも捗るというものだ。前世の文明レベルとは比べるべくもないけどな!

 しかし、ここで一つ、重大な懸念が……。
 あの人たちの言葉、わかるかな?

 今まで話したのは、コロと、あとあのチャラ神様だけ。異世界の人と話すのは、これが初めてだ。
 もし言葉が通じなかったら? ジェスチャーで乗り切る? いやいや、私のコミュ力のジェスチャーなんて、たかが知れてる。「トイレどこですか?」くらいが限界か?

 期待と不安が胸の中でごちゃ混ぜになりながら、私たちは列の最後尾に並ぶ。
 列は意外とスムーズに進み、あっという間に私たちの番が来る。
 門の前には、いかにも「衛兵です」と言わんばかりの、屈強な鎧を着て槍を持ったおじさんが二人立っている。

 うわ、こわそう……。職務質問とか、前世でも苦手だったのに。
 衛兵さんの一人が、こちらに気づき、一歩前に出る。

「嬢ちゃん。一人か? 親はどうした?」

 低く、よく通る声。有無を言わせぬ威圧感。
 思わずビクッと体を震わせる。

 ……ん? あれ?
 ……え? 普通に言葉がわかる! しかも、完璧な日本語に聞こえるんだけど!?
 脳内で自動翻訳されたかのように、衛兵さんの言葉がすんなりと頭に入ってくる。なんで? どうして?
 あ! そうか!
【もふもふテイマー&翻訳】!
 あの能力、もしかして「翻訳」機能、人間にも効果あったんだ!

 あのポンコツ神様、とんでもなく重要なことを説明し忘れてる! でも、今回はグッジョブ! たまには良い仕事するじゃない!
 心の中でガッツポーズ。

 事前に考えていたとおり、精一杯のか弱い子供を演じることに全神経を集中。こういう時は、同情を誘うのが一番だ。
 目にうっすらと涙を浮かべ(たつもりで)、か細い声で答える。

「……わかりません。お父さんも、お母さんも……どこにいるか……」

 衛兵さんの表情が、わずかに和らぐ。もう一人の衛兵さんも、心配そうにこちらにやってきた。

「はぐれちまったのか? どこの街から来たんだい? 名前は言えるか?」

 優しい方の衛兵さんが、子供に言い聞かせるように尋ねてくれる。よし、ここが正念場だ。
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