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幸せのオムライス

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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:新たな拠点探し

第92話 露店の場所代が高すぎる! 中央広場の一等地に驚愕

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(……いやいやいや、ダメダメダメ!)

 悪魔の囁きが聞こえた気がして、私はぶんぶんと首を横に振る。
 ポイントからリントへの換金には、あの忌々しい手数料10%がかかるのだ。
 前世で、コンビニATMの時間外手数料にすら「もったいない!」と身悶えしていたこの私が、けしからん税率(?)をホイホイ払ってたまるものですか!

(それに、いきなり店舗を構えて、もし商品が全く売れなかったら? 固定費(家賃)だけが、毎月私の資産を食いつぶしていくことになる。それは、悪夢だわ……)

 そう、ビジネスは、スモールスタートが基本。
 まずは初期投資を最小限に抑え、リスクの少ない『露店』で、市場の反応を見るべきだ。

(うん、決してビビってるわけじゃない。これは、クレバーで、ロジカルで、極めて高度な経営判断なのだ! 断じて、家賃20万に怖気付いたとか、そういう話じゃないんだからね!)

 そう自分に強く、つよーく言い聞かせ、私は露店経営に舵を切ることにした。
 ……のだが。

 私の脳裏に、あの忌々しい数字が再び蘇る。
 露店の場所代、中央広場前の一等地、一日銀貨1枚(1,000リント)。日本円で約1万円。

(……うっ。露店だって、一番いい場所はめちゃくちゃ高いんだった……)

 安い一般区画でこぢんまり始めるか?
 いや、今日のフィールドワークで見たじゃないか。同じ広場でも、端っこの方や、ちょっと奥まった場所では、私のキラキラした『妖精の宝石ジャム』の魅力は伝わらない。埋もれてしまうわ。

 私の脳内で、天使と悪魔が再び激しい会議を始める。

 天使「待ちなさい、コトリ。まずは安い一般区画で実績を積んでから、ステップアップするのが堅実よ。大銅貨3枚ならリスクも少ないわ」

 悪魔「うるさい! ターゲットは富裕層なんだろ!? だったら、奴らが集まる一等地に殴り込みをかけるのが最短ルートだ! 初期投資をケチる奴は、一生三流のままだぞ! そもそも、端っこで売ってて誰が気づくんだ!」

(ぐぬぬ……悪魔の言うこと、いちいちもっともだわ……!)

 そう、ここで日和ってはいけないのだ。
 場所代が高いということは、それだけ「価値がある場所」だと、市場が判断している証拠。
 私のターゲットは、富裕層。彼らが集まる場所に店を出さなければ、意味がない。
 一般区画でその他大勢に埋もれるわけにはいかないのよ!
 初期投資は、ケチってはいけない。リターンを最大化するための、必要経費なのだ!

(よし、決めた! やるなら、とことんやってやる!)

 腹を括った。
 店舗は諦める。でも、露店の場所だけは、最高の場所を選ぶ!
 一日銀貨1枚の場所代なんて、私のジャムが10個か20個売れれば、すぐに元が取れるはず! たぶん! きっと!

(ふふふ……燃えてきたじゃないの!)

 私は、ウィンドウを閉じると、椅子に深くもたれかかり、天井を見上げる。
 手続き、場所、ターゲット。
 全てのピースが、揃った。

(よし、明日の午前中は、商業ギルド行きね。手続きは、早めに済ませるのがビジネスの鉄則よ!)

 全ての調査を終え、私は椅子に深くもたれかかり、天井を見上げる。
 手続き、場所、ターゲット。
 全てのピースが、揃った。
 あとは、それらをどう組み合わせて、最高の戦略を練り上げるか。

 今日のフィールドワークで見た、あの光景を思い出す。
 中央広場を行き交っていた、あの奥様方。
 彼女たちの服装やアクセサリーから察するに、可処分所得はかなり高いはず。

 そして、子供や友人との会話を楽しんでいた。
 つまり、彼女たちが求めているのは、単なる『甘いもの』じゃない。『話題性』や『特別感』、そして『共有できる楽しい体験』なのよ!

 私の『妖精の宝石ジャム』は、その全てを満たしている。
 この世界では誰も見たことがない『珍しい』商品。
 ルビーみたいにキラキラしてて『見栄え』も最高。

 そして何より、森苺と砂糖とレモン汁っていう、比較的安価な材料で作れるから、原価は低い!

(これは、安く大量に売るんじゃなくて、付加価値をつけて高く売るべきだわ。ターゲットは、中央広場に集う、裕福な女性たちとその家族!)
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