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幸せのオムライス

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第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:激安の幽霊屋敷と二人の看板娘

第115話 目指せ店舗経営! 不動産屋で物件探しスタート

『木漏れ日の宿』の一階食堂。
 朝日が差し込む窓辺の席で、私は優雅に朝食をとっていた。
 目の前には、女将さん特製の焼きたてパンと、湯気の立つスープ。
 そして足元では、コロがいつもの『総合栄養ドッグフード』に、女将さんがサービスしてくれたゆで卵をトッピングした特製ブレックファストを、カリカリといい音を立てて食べている。

『おいしい! たまご、好き!』

「ん~、美味しい……。これぞ、私が求めていた生活だわ……」

 パンをスープに浸して口に運びながら、私は至福のため息をつく。

 もちろん、味のレベルだけで言えば、前世のデパ地下のパンや、通販で買える『有名シェフ監修のポタージュ』には及ばない。
 ここのパンは少し硬めで素朴だし、スープも塩と野菜の味だけのシンプルなものだ。「うま味調味料」の偉大さを痛感する瞬間でもある。

 でも、こうして現地の食事を味わうことは、重要な市場調査 (マーケティング)でもある。
 この素朴な味が『スタンダード』な世界なら、私の『妖精の宝石ジャム』や、これから広める『日本の味』が革命を起こせるという確信が持てるからね。
 何より、貴重な通販ポイントを使わずに、現地通貨 (リント)でこの温かい食事が提供されるなら、コストパフォーマンスは抜群だわ。
 自分で作らなくていいし、後片付けもしなくていい。これこそが最高の贅沢!

 昨日までの怒涛のような忙しさが嘘のようだ。
 露店は、リックという労働力、そして看板犬コロの活躍のおかげで、初陣として大成功を収めることができた。
 まさにチームの勝利だ。

 さて、と。
 私はパンをかじりながら、脳内で今日のスケジュールを確認する。
 昨日の打ち合わせ通り、今日は露店はお休み。リックには、いつもの仕事(日雇い)に戻ってもらっている。

 今日のミッションは、一つ。
 私たちの拠点となる『店舗物件』探しだ。

(もし良い物件が見つかれば、即金で契約して、今日中に大掃除まで済ませたいところね)

 物件の契約といった事務的な手続きなら、私一人でも問題ない。
 それに、もし格安のボロ物件を借りて掃除をするとなれば、私には最強のチート能力、【生活魔法】がある。
 誰かに見られると「魔法使い様!?」と騒がれて面倒なことになるかもしれないし、こういう作業は一人でパパッと片付けてしまった方が効率的だ。

(うん、今日はソロ活動で決まりね)

 私は最後のパンを飲み込むと、ナプキンで口を拭い、席を立った。

「ごちそうさまでした! 美味しかったです!」

「あら、もうお出かけ? 早いのねぇ」

 厨房から顔を出した女将さんが、にこやかに声をかけてくれる。

「はい! 今日は、本格的にお店を出すための場所を探してこようと思って!」

「あら、精が出るわねぇ。いってらっしゃい、良い場所が見つかるといいわね」

 女将さんの温かい笑顔に見送られ、私は軽やかな足取りで宿を出た。
 隣には、頼れる相棒のコロ。
 懐には、露店で稼いだ潤沢な資金と、最強の身分証『商業ギルド登録証』。

 そして、四次元バッグの中には、もしもの時のための手土産――通販で購入した『高級カステラ』も準備万端だ。
 前世では、交渉事には「菓子折り」が最強の武器。この世界でもきっとそうでしょ! 少なくとも交渉に不利になることはないはず!

(ふふふ……待ってて、私のお店!)

 怖いものなんて、何もない。
 さあ、ハルモニアの街よ。
 ヤマネコ商会の快進撃、第二幕の始まりだ!
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