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最終章

落花。

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「死んでだよー。」
桜は、矢を射る。
力強く。

だが、岸柳は動きなかなか狙いが定まらない。

「くっ。。」
歯を食いしばる。

そして、矢を放つ。



「シュパッ。」
外した。


「貴方には使えませんよ。」

「うるさいんだよー。」

「とりあえず、死んでもらいましょうか。」

「停止。」
その言葉を発した途端、桜の動きは止まった。

「何故だよ。」

「あぁ、動きを止める技さ。」

「何故、銃とかを使わないんだよ?」

「そりゃ、死神にはアイテムが触れないからだ。死んでいるからな。」

「そういうことなのかだよ。」

「あぁ。だから、諦めろ。」

「嫌だよ。」

「懲りないヤツめ。死ね。」
桜の溝に膝を入れる。

「ガバッ。」
痛そうな息を出す。

その後も、じわじわと痛めつけられた。

「な、何故。そんなことをするんだよ?」

「痛そうな顔が大好きなんだよ!」

その言葉を聞いた時、桜は力を振り絞った。
だが、体は動かない。

そうこうしているうちに、敵が鎌を持ってこちらに歩いてきた。

「ドスン。ドスン。」
重みのある嫌な音がずっと続く。
その時間はとても長く感じて、耳を塞ぎたいほどだった。

「や、やめるんだよ。」

「嫌だ。ここで終わりにしてやる。」

そして。桜の目の前に来た。

「うっ。ぁぁああ!!」
桜は、泣きながら必死に動かそうとする。

最後の悪あがきだ。
こんな最後なんて、嫌だ。
まだ、生きたい。



殺したい。殺したい。
殺したい。殺したい。
殺してやる。殺してやる。

矢で。この矢で。


そう、心で唱える。

だが、動けないことには変わりはない。

「じゃあな。少女よ。楽しかったぞ。」

「ああああああああ!!!!!」







「ザクッ。」


























































目を開けた。

「ん?」











「あれ。なんでなんだよー。生きてる。」



「敵は?え。」
目の前には、矢が刺さった敵がいた。

「何故なんだよ?」










桜が、鎌で殺される瞬間だった。
桜は強く殺したいと願った。
その思いで、矢が動き、空中で矢を射た。

桜は、触っていない。
ただ、心で願ってた。

その思いが届いたのだ。


「勝っちゃった。終わったんだよ。」

「ねぇ。みんな。勝ったよ。ねぇ。」

「って。誰もいないよね。会いたいよ。」

桜は、泣きながら言う。




「おめでとうございます。お客様。」

「あなたの願いをひとつ叶えます。」

「それではどうぞ。」




もちろん。
願いは決まってる。

それは。
例え、裏切られても、それでも。
やっぱり、恋しい。

それは、そう。


「向日葵。金木犀。梅。彼岸花。を生き返らせて。」


やっと会える。
これでハッピーエンド。

そう。

この物語の名前に、ハッピーエンドを入れよう。
そして、みんなに伝えたい。

この物語は、、。???





終わらない。






「それは、出来ません。お客様。」

「なんでだよ?」

「人を生き返らせることは無理です。」

「そんなの。そんなの。聞いてないんだよ。」

「それ以外をお願い致します。」

そんなこと言われたって、何を願えばいいのだろう。
だって、たった一つの願がそれだったのだから。

もう、大切な友達は生き返らない。

じゃあ。なんだ。












「じゃあ。」













「じゃ...あ。」

















「私を。」





「わ、私を。」


















「殺して。」



















「それは、出来ません。」











「もう。どうしたらいいの。」














「それでは、死神になってください。」


「え?」


「そうすれば、みんなの姿は見えます。
そして、話せます。
生き返ったようなものです。」


その言葉に迷った。
だが、直ぐに決めた。









「私、死神になります。」





「了解致しました。
もう、二度と人間には戻れませんがよろしいでしょうか?」


「はい。」







その後、菅原道真が使っていた刀で腹を切腹した。

そして。目を開けたら、死神になっていた。
やはり、死神のようなオーラを放ち、見た目は化け物のようになっていた。
死神になった今、気分は良くない。

むしろ苦しい。

だけど、大好きなみんなに会える。
それだけは、唯一の心の支えだった。

「向日葵」

「金木犀」

「梅」

「彼岸花」

「みんな。ありがとう。」



「良く頑張ったねっ!」

「す、凄いよ、!」

「おひょー、会えて嬉しいよ」

「また会えて嬉しいですわ~」


こうして。
この田舎町は、これを機にこういった事件は怒らなかった。
それは、桜の頑張りがあったからだ。
苦しくて人に当たりたい気持ちになってしまうが、仲間に助けられ、決して人に当たらない。

そう決めていた。


「あぁ。幸せ。」

そう。これは、ハッピーエンドだ。

やっと。

やっと、願っていた。
ハッピーエンド。

「みんなありがとう。」

「ずっと。一緒にいてね。」


「あれ。」

「なんでみんな居ないの?」


「ねぇ。ねぇ。」




これが、ハッピーエンド?






























バッドエンドだ。
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