4 / 6
ユメカマコトカ 第4話
しおりを挟む
※こちらは『ウソカマコトカ1』の続編『ユメカマコトカ』の続きとなります。
※BL作品のため、BLが苦手な方はご遠慮下さい。
※今回は性描写無し。
------------------------------------------------
甘い夢は断片的に続いた。
それは、俺が知ることの無かった、酒に酔ったあとの俺の記憶。
俺達は――もう付き合っています。
神代の言葉を思い出す。
嘘、では無かったのか。
気付いた事は、どうやら俺と神代は、思っていた以上に長い時間を恋人同士として過ごしていたようだった。
連休が続いたせいもあったが、確かに毎晩のように神代と飲んでいた時期が、あるにはあった。
バイトから疲れて帰ってくると、酒の差し入れをもって神代が現れる事もあったし、学際の打合せと称して、神代を含めたクラブの数人と店で飲むこともあった。
どのパターンにしても、最終的に俺は、自室で神代と二人きりになってイチャつくという構図におさまっていたらしい。
そんな甘い事情を一切合切かなぐり忘れて、素面の俺は、毎朝二日酔いと戦い、時に諦め、普段通りの毎日を送っていた訳だ。
ビールの空き缶を畳の上に置き、スマホのゲームアプリを開く。
ログインボタンを押すと、それは派手に光って、その日のログインボーナスを加算した。
睡魔で閉じかけた眼で時計を見ると、しっかりと夜の12時を過ぎている。
よし、これで今日のログインボーナスを取り逃す事はない。安心だ。
そう思っていたら、視界の横から伸びてきた綺麗な指先が、俺のスマホをクレーンゲームのように釣り上げていった。
スマホを追った視線でそのまま隣を見上げると、クラブの後輩がにこりとして、こちらに顔を傾げていた。
ああ、そうだな。そうだった。
せっかくの短い時間を楽しまなくちゃな――。
そう思い、俺もにっこりと目を細め、極力可愛く笑顔をつくった。
すると神代は一瞬、やや見惚れたような、逆上せた視線で俺を見つめた。
こんな風に笑えば、誰もが同じ表情をする。
そんな事くらい、酔いの回った俺は、ずっと前から気が付いていた。
夢の中の俺は――酒に酔って俺の記憶に無い俺は、どこまでもあざとく、利己的だった。
そして、この時間制限ありのあざとい自分が、俺は大好きだった。
望んだものは何でも手に入るような気がしていた。
何も言わず、隣に座っていた神代に向かい合わせで抱きついて、触れるだけのキスをした。
額同士をくっつけたまま唇を離す。
のぞき込むと、神代は困ったような笑いを浮かべていた。
顔を離して、神代の前髪にそっと指を通すと、眩しそうに目を細めた。
名前も知らない不思議な色に反射するさらさらの髪。夢の中の俺はその手触りをとても気に入っていて、子犬を撫でるように、よく触れていた。
両手で神代の頬をそっと包み込む。
うっとりと眺める。
つやつやで、さらさらな髪。
全てが綺麗に整っていて、美しくて、可愛くて。
こんなにも透きとおった純粋な瞳でこちらを見つめている。
自分だけの天使を飼っているような。
ずっと独り占めにしたいような。
愛おし過ぎて、いつか壊してしまうんじゃないか、とか。
綺麗すぎて、いつか壊れてしまえとか。
はっきりとしない感情が、腹の底に渦巻く。
また唇に触れるだけのキスをする。
ぎゅっと抱き寄せられる。
大きな手が俺の後頭部を優しく押さえる。
ふにふにと唇を押し付けて楽しんでいると、突然、息継ぎするように、神代は顔を離して言った。
「ね、ねえ、真さん? 一つだけ、聞いてもい……?」
俺はこくりと顎を傾けた。
「あの、ずっと気になってたんですけど……」
若干申し訳無さそうに、上目遣いで神代は言った。
「こういう事……、他の奴らとは、してないよ、ね……?」
その表情が、あどけない子供のようで、俺は笑った。
あまりにも愛おしくなり、「ねえ、先輩?」と続けざまに聞く神代にまた抱きついて、キスを落とす。
唇。頬。首元。小さな泡が弾ける音を残しながら、さらりとした肌をたどっていく。
ところが「ね、ねえ。待って」とまた引きはがし、神代は俺の両肩を持って、真っ直ぐにこちらを見据えた。
そしてゆっくりと言った。
「俺達って……恋人同士、ですよね?」
その声は小さく、視線は明らかに不安で陰っていた。
神代との甘い時間は純粋に楽しかった。
ただ時折訪れるこういう瞬間を、俺はつくづく面倒くさいと感じていた。
恋人同士、ではない。そう答えたら、どう返すつもりなのかと思う。
他の奴らとも、こういう事をしているかもしれないし、俺達は恋人同士、とは限らない。そう俺が答えたらどうする。
いっそ、そう答えてやろうかと思ったが、どうせ面倒な事になるのだろう。
そう答えたところで、それなら……と、俺を嫌いになれるとでも?
嘘つけ。
こんなに夢中な癖に。
繰り返されるこの甘い夢の中で、俺は完全に神代よりも優位に立っていた。
動けない俺の隣に、神代がゆうゆうと座りこちらを見下ろしていたあの時とは真逆で、今の神代は完全に俺の手中にあり、俺はそれを上から見下ろしていた。
さらに、こちらが手に握っているのは、身体の自由などという一時的な上辺だけの物ではない。
そんな強い自信が、俺にはあった。
夢の中の俺は、どこまでも残酷だった。
「俺のこと――好き?」
何も答えない俺に、最終宣告のように、神代は聞いた。
語尾が微かに震える、弱々しい声だった。
「――――」
どう答えたか、それはもちろん覚えていない。
ただ間違いなく自分の口から何らかの音を発した。
そして言い終えた後、我ながら自分でも上手く言えたと感心するほど、良く出来た返しだったように思う。
俺の言葉に感動したらしい神代は、一瞬小さく驚いた表情を浮かべた。そしてすぐに眉を寄せて目の下を染め、満足したように微笑んだ。
嬉しそうな表情を見て、俺も安心する。
次の瞬間、力いっぱい抱きしめられる。
「俺もだよ」と耳元で囁かれるのは、さも恋人同士っぽくてなかなか良い。
俺も、神代の背中に両手を回してぎゅっと力をいれる。
それから少しの間、軽い会話をした
どこにデートしたいとか、二人でキャンプに行きたいとか、そんないかにも恋人同士らしい内容だった、気がする。
それいいなと適当に相槌を打ちながら、また俺はずっと形の良い唇が動くのだけを眺めていた。
見つめれば見つめるほど、喉がら手が出るほど欲しいと思った。
「先輩は、どこか一緒に行きたい所あります?」
言い終わった神代の上唇と下唇の間に、薄い隙間が出来たのを、俺は見逃さなかった。
その隙間は、底しれぬ快楽の入口のように魅惑的で、それでいて、透き通る薄氷のような儚さで、俺を煽った。
吸い寄せられるように、顔を傾けて近づく。
気がつけば、獲物を狙う蛇のように、舌先を唇から伸ばしていた。感覚を研ぎ澄ますように、目を閉じる。
そして、その隙間に挿し込んだ。
「……んッ」
驚いた神代の頭をぎゅっと抱き寄せて、くすぐるように舌を絡め取る。
笑いが溢れる程、良い気分だった。
少しすると、意思を持ち始めた神代の舌が、俺の口内に入り込み、掻き交ぜ始めた。
徐々に激しく絡まり合って、繋がっていく。
くちゅくちゅという音だけが響く。
細く流れた唾液が一筋、顎を伝う。
ほら、欲しいものは何でも手に入る。
顔を離すと、二人の唇が粘度の高い雫で繋がり、青白い蛍光灯の光を反射した。
粘膜で繋がった後の口内は脈打っていて、背筋がぞくぞくとした。
一呼吸おくと神代は、二人で暮らしたいと言った。
今すぐにではなくていいから、と。
俺もだよと、上の空で答えた。
それからは、ほとんどの時間をキスで埋めるようになった。
キスの合間に短い会話をする。
舌を絡めていない隙に、好きだよと囁き合う。
以前、神代はこの状況をなんと表現していたか……。
ああ、薬物を砂糖漬けにしたような甘い時間、だったか。
なるほど――大正解。
------------------------------------------------
【後書き】
こんばんは。
今回も夢の続きです。
思いの外、沢山の方にお読み頂いてるようで驚いています。
こんな荒れ地のBLで、さらに続編……読者数が減っていくだろうと思っていたので、どんどん増えていてびっくり……。
一つ前に書いた短編一話読み切りが、ほとんど会話無しだったので、会話のメインの軽い話をと思い書き始めた今作。会話重視だったので、ストーリーはどちらかと言うと王道だし、特に今回の続編は会話も少なめ。あまり読者数が増える要因を見い出せませんが、一人でも多くの方の現実逃避に貢献出来れば嬉しいです。
※全5話の予定でしたが、最終話が5000文字超になりそうなので、二話に割らせて下さい。あと2回お付き合い下さると幸いです。
※また2~3日中に更新予定です。
※BL作品のため、BLが苦手な方はご遠慮下さい。
※今回は性描写無し。
------------------------------------------------
甘い夢は断片的に続いた。
それは、俺が知ることの無かった、酒に酔ったあとの俺の記憶。
俺達は――もう付き合っています。
神代の言葉を思い出す。
嘘、では無かったのか。
気付いた事は、どうやら俺と神代は、思っていた以上に長い時間を恋人同士として過ごしていたようだった。
連休が続いたせいもあったが、確かに毎晩のように神代と飲んでいた時期が、あるにはあった。
バイトから疲れて帰ってくると、酒の差し入れをもって神代が現れる事もあったし、学際の打合せと称して、神代を含めたクラブの数人と店で飲むこともあった。
どのパターンにしても、最終的に俺は、自室で神代と二人きりになってイチャつくという構図におさまっていたらしい。
そんな甘い事情を一切合切かなぐり忘れて、素面の俺は、毎朝二日酔いと戦い、時に諦め、普段通りの毎日を送っていた訳だ。
ビールの空き缶を畳の上に置き、スマホのゲームアプリを開く。
ログインボタンを押すと、それは派手に光って、その日のログインボーナスを加算した。
睡魔で閉じかけた眼で時計を見ると、しっかりと夜の12時を過ぎている。
よし、これで今日のログインボーナスを取り逃す事はない。安心だ。
そう思っていたら、視界の横から伸びてきた綺麗な指先が、俺のスマホをクレーンゲームのように釣り上げていった。
スマホを追った視線でそのまま隣を見上げると、クラブの後輩がにこりとして、こちらに顔を傾げていた。
ああ、そうだな。そうだった。
せっかくの短い時間を楽しまなくちゃな――。
そう思い、俺もにっこりと目を細め、極力可愛く笑顔をつくった。
すると神代は一瞬、やや見惚れたような、逆上せた視線で俺を見つめた。
こんな風に笑えば、誰もが同じ表情をする。
そんな事くらい、酔いの回った俺は、ずっと前から気が付いていた。
夢の中の俺は――酒に酔って俺の記憶に無い俺は、どこまでもあざとく、利己的だった。
そして、この時間制限ありのあざとい自分が、俺は大好きだった。
望んだものは何でも手に入るような気がしていた。
何も言わず、隣に座っていた神代に向かい合わせで抱きついて、触れるだけのキスをした。
額同士をくっつけたまま唇を離す。
のぞき込むと、神代は困ったような笑いを浮かべていた。
顔を離して、神代の前髪にそっと指を通すと、眩しそうに目を細めた。
名前も知らない不思議な色に反射するさらさらの髪。夢の中の俺はその手触りをとても気に入っていて、子犬を撫でるように、よく触れていた。
両手で神代の頬をそっと包み込む。
うっとりと眺める。
つやつやで、さらさらな髪。
全てが綺麗に整っていて、美しくて、可愛くて。
こんなにも透きとおった純粋な瞳でこちらを見つめている。
自分だけの天使を飼っているような。
ずっと独り占めにしたいような。
愛おし過ぎて、いつか壊してしまうんじゃないか、とか。
綺麗すぎて、いつか壊れてしまえとか。
はっきりとしない感情が、腹の底に渦巻く。
また唇に触れるだけのキスをする。
ぎゅっと抱き寄せられる。
大きな手が俺の後頭部を優しく押さえる。
ふにふにと唇を押し付けて楽しんでいると、突然、息継ぎするように、神代は顔を離して言った。
「ね、ねえ、真さん? 一つだけ、聞いてもい……?」
俺はこくりと顎を傾けた。
「あの、ずっと気になってたんですけど……」
若干申し訳無さそうに、上目遣いで神代は言った。
「こういう事……、他の奴らとは、してないよ、ね……?」
その表情が、あどけない子供のようで、俺は笑った。
あまりにも愛おしくなり、「ねえ、先輩?」と続けざまに聞く神代にまた抱きついて、キスを落とす。
唇。頬。首元。小さな泡が弾ける音を残しながら、さらりとした肌をたどっていく。
ところが「ね、ねえ。待って」とまた引きはがし、神代は俺の両肩を持って、真っ直ぐにこちらを見据えた。
そしてゆっくりと言った。
「俺達って……恋人同士、ですよね?」
その声は小さく、視線は明らかに不安で陰っていた。
神代との甘い時間は純粋に楽しかった。
ただ時折訪れるこういう瞬間を、俺はつくづく面倒くさいと感じていた。
恋人同士、ではない。そう答えたら、どう返すつもりなのかと思う。
他の奴らとも、こういう事をしているかもしれないし、俺達は恋人同士、とは限らない。そう俺が答えたらどうする。
いっそ、そう答えてやろうかと思ったが、どうせ面倒な事になるのだろう。
そう答えたところで、それなら……と、俺を嫌いになれるとでも?
嘘つけ。
こんなに夢中な癖に。
繰り返されるこの甘い夢の中で、俺は完全に神代よりも優位に立っていた。
動けない俺の隣に、神代がゆうゆうと座りこちらを見下ろしていたあの時とは真逆で、今の神代は完全に俺の手中にあり、俺はそれを上から見下ろしていた。
さらに、こちらが手に握っているのは、身体の自由などという一時的な上辺だけの物ではない。
そんな強い自信が、俺にはあった。
夢の中の俺は、どこまでも残酷だった。
「俺のこと――好き?」
何も答えない俺に、最終宣告のように、神代は聞いた。
語尾が微かに震える、弱々しい声だった。
「――――」
どう答えたか、それはもちろん覚えていない。
ただ間違いなく自分の口から何らかの音を発した。
そして言い終えた後、我ながら自分でも上手く言えたと感心するほど、良く出来た返しだったように思う。
俺の言葉に感動したらしい神代は、一瞬小さく驚いた表情を浮かべた。そしてすぐに眉を寄せて目の下を染め、満足したように微笑んだ。
嬉しそうな表情を見て、俺も安心する。
次の瞬間、力いっぱい抱きしめられる。
「俺もだよ」と耳元で囁かれるのは、さも恋人同士っぽくてなかなか良い。
俺も、神代の背中に両手を回してぎゅっと力をいれる。
それから少しの間、軽い会話をした
どこにデートしたいとか、二人でキャンプに行きたいとか、そんないかにも恋人同士らしい内容だった、気がする。
それいいなと適当に相槌を打ちながら、また俺はずっと形の良い唇が動くのだけを眺めていた。
見つめれば見つめるほど、喉がら手が出るほど欲しいと思った。
「先輩は、どこか一緒に行きたい所あります?」
言い終わった神代の上唇と下唇の間に、薄い隙間が出来たのを、俺は見逃さなかった。
その隙間は、底しれぬ快楽の入口のように魅惑的で、それでいて、透き通る薄氷のような儚さで、俺を煽った。
吸い寄せられるように、顔を傾けて近づく。
気がつけば、獲物を狙う蛇のように、舌先を唇から伸ばしていた。感覚を研ぎ澄ますように、目を閉じる。
そして、その隙間に挿し込んだ。
「……んッ」
驚いた神代の頭をぎゅっと抱き寄せて、くすぐるように舌を絡め取る。
笑いが溢れる程、良い気分だった。
少しすると、意思を持ち始めた神代の舌が、俺の口内に入り込み、掻き交ぜ始めた。
徐々に激しく絡まり合って、繋がっていく。
くちゅくちゅという音だけが響く。
細く流れた唾液が一筋、顎を伝う。
ほら、欲しいものは何でも手に入る。
顔を離すと、二人の唇が粘度の高い雫で繋がり、青白い蛍光灯の光を反射した。
粘膜で繋がった後の口内は脈打っていて、背筋がぞくぞくとした。
一呼吸おくと神代は、二人で暮らしたいと言った。
今すぐにではなくていいから、と。
俺もだよと、上の空で答えた。
それからは、ほとんどの時間をキスで埋めるようになった。
キスの合間に短い会話をする。
舌を絡めていない隙に、好きだよと囁き合う。
以前、神代はこの状況をなんと表現していたか……。
ああ、薬物を砂糖漬けにしたような甘い時間、だったか。
なるほど――大正解。
------------------------------------------------
【後書き】
こんばんは。
今回も夢の続きです。
思いの外、沢山の方にお読み頂いてるようで驚いています。
こんな荒れ地のBLで、さらに続編……読者数が減っていくだろうと思っていたので、どんどん増えていてびっくり……。
一つ前に書いた短編一話読み切りが、ほとんど会話無しだったので、会話のメインの軽い話をと思い書き始めた今作。会話重視だったので、ストーリーはどちらかと言うと王道だし、特に今回の続編は会話も少なめ。あまり読者数が増える要因を見い出せませんが、一人でも多くの方の現実逃避に貢献出来れば嬉しいです。
※全5話の予定でしたが、最終話が5000文字超になりそうなので、二話に割らせて下さい。あと2回お付き合い下さると幸いです。
※また2~3日中に更新予定です。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる