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ユメカマコトカ 第5話
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※こちらは『ウソカマコトカ1』の続編『ユメカマコトカ』の続きとなります。
※BL作品のため、BLが苦手な方はご遠慮下さい。
※今回は性描写無し。
------------------------------------------------
「なんていうか。先輩の場合は、その……ちょっと、病的じゃないのかなって……」
神代は、遠慮がちにそう言った。
指を絡ませ繋いだ手に、力がこもるのが分かった。
まだ夢の中にいる。
俺は気付かれないよう、細く溜息を吐き出した。
ずいぶんと夜はふけている。
また俺の部屋で、壁にもたれ二人で話をしていた。
ずっと同じ光景の夢だが、先程までとは別の日の記憶だ。
「あんまり、こういう言葉は使いたくないけど……記憶障害、とか……」
また始まった――。
砂糖漬けのように甘ったるい時間を引き裂く、気怠い瞬間。
つい数分前まで、あんなにエロいキスをしていた同じ唇で、よくもそんな話を、と夢の中の俺は呆れた。
「ちゃんと治療すれば、酔った時の事も、忘れずに済むかも……」
少し明るい口調で言うと、ちらりとこちらに顔を向けたが、俺は正面を見つめたまま何も答えず黙っていた。
神代は、俺が朝になって目覚めると、酔った時の全ての記憶を忘れている事が余程気にくわないようだった。
どうにかならないかと一人で模索しているようで、こういうところだけ、妙に医学部生らしい。
俺に言わせれば、そこがいいんじゃないか、と思う。
何をしても、どんなに人に言えない関係になろうと、朝になれば綺麗さっぱり忘れている事が――。
神代もそれを楽しめばいいのにと思う。
なのに先程の発言は、このあざとくて賢い、何でも手に入れられる、もう一人の俺を消そうとしているようで、何となく腹が立った。
「本当は全部覚えていて、忘れた振りをしてる……とかじゃ、ないですよね?」
もはや返事をしたかも不明。
しなかったのかもしれない。
数分前の心地良い時間が帳消しになるほど、つまらない時間だった。
しばらくして神代は、正面に向き直った。
そして途方に暮れたようにつぶやいた。
「どうして、忘れちゃうんだろ……」
俺は視線を畳に落とす。
そして思ったままを口にした。
『さあ。忘れたいから、だろ?』
その一言が。
繰り返し続く甘い記憶の中で、唯一。唯一自分が発した音。
言葉としてはっきりと聞き取れる自分の声だった。
自分の声音が耳に残るほど、確実にこの喉を通過して外に排出されたと確信できる言葉だった。
俺の言葉を聞いた神代は、息をつまらせ、隣で固まった。
全てがぴたりと止み、部屋が静かになった。
時折、かたかたと窓が震える。外は風が強いらしい。
時計は深夜3時を回っている。
横目で確認すると、神代はじっと前を見つめたまま黙りこくっていた。
繋いでいた神代の指先から力が抜けていった。
死んでいく手のようだった。
息苦しい時間。
別れ話をしているような重苦しさ。
俺は我慢出来なくなり、繋いだ手と反対の手でスマホを取り上げ、ゲームアプリを開いた。
適当にイベントカレンダーを確認したり、ガチャを回したりりしてみる。
しばらくして、ふと思い出す。
そうだ、と繋いだ手を離し、唐突に立ち上がった。
台所へ行ってしゃがみ込む。
冷蔵庫を開けてのぞき込むと、思っていた通り、落ち着いたいちご柄の包装紙が、ちょこんと待っていた。
昨日、学会帰りの助教授から土産で貰い、2つあったのを1つ食べたけど、これが思いの外美味しくて、1つ残ってるから一緒に食べよう、みたいな事を、複雑な表情でこちらを見上げる神代に一方的に喋った。
神代の隣にまた腰を下ろす。
なんかすっごい、やんごとないエクレアらしい……などと言いながら、袋の底面を裏返して店名を確認すると、どう発音するのか分からない、複雑な並びのアルファベットが印字されている。
袋を破いて、やや小振りのエクレアを取り出した。
はい、あーんと言いながら、神代の口元に持っていく。
すると、その表情は明らかに一瞬悩んで曇ったが、仕方なさそうに柔らかく微笑むと、口を開けた。
おいし? そう聞きながら、神代の唇をまた眺めている。余程、好きらしい。
次のひと口は自分が食べようとすると、手からエクレアがすり抜けていき、神代の手に渡った。
エクレアを奪い取ったのと反対の手が、ぎゅっと俺の肩を抱き寄せる。
俺の口元にエクレアがやって来たので、あーんと言いながら、むしゃりと頬張る。やたらと濃厚なクリームが、口いっぱいに広がる。
次のひと口は神代。それからまた俺。顔を寄せ合いながら交互にエクレアを頬張る。
神代はまだ無言で、どこかやりきれない笑顔をしていた。
俺は、肩を寄せ合ってスイーツを食べる楽しさと温もり、にたにたとしていた。
ふた口ほどエクレアを残す頃、いよいよ目の前にある、クリームで艶っぽく光る唇から、目が離せなくなった。
それは、高級感あふれるエクレアよりも、ずっと魅力的に見えた。
神代の頬にそっと手のひらを添える。
舌先を出して顔を寄せる。
形のいい下唇に、舌を這わせて舐め取る。
唇が触れるか触れないかの距離で、好きと囁く。
すると一呼吸おいて、神代は掠れた小さな声で「好きです……真さん」と言った。深く沈んだ声音だった。
それからまた、濃厚なキスをした。
2人分の唾液とカスタードクリームがどろどろに溶け合い、ぐちゃぐちゃに混ぜ合わさる。
両腕を神代の首に回して、強く抱きつく。
顎を傾けてより深みを欲する。
ぐちゅぐちゅと粘液が混ざり合い泡立つ、性的な音。
口の中は、体内なのだと痛感する。
体内で繋がっていると思うだけで脳がしびれる。
肌が火照る。体の中が沸き立つ。
最高だ――。
俺の肩を抱いていた神代の腕に、急に力がこもった。
強く抱き寄せられたと思ったら、身体の向きを変えられ、キスをしたまま、畳の上に押し倒された。
------------------------------------------------
【後書き】
こんばんは。
前回お知らせしたように、全5話の予定でしたが、最終話が5000文字超えてしまったので、二話に割って、次回が最終話となります。申し訳ありません。
夢で二人の関係を振り返る『ユメカマコトカ』は次回で一旦完結し、その次始まる『ウソカマコトカ2』でやっと本編が動きます。
本当にこんなに長く書く予定では無かったのに、沢山の方に読んで頂けて、ついついダラダラと書いてしまいます。
いつもポチやいいね♪ありがとうございます。
最終話、2~3日中に更新です。
※BL作品のため、BLが苦手な方はご遠慮下さい。
※今回は性描写無し。
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「なんていうか。先輩の場合は、その……ちょっと、病的じゃないのかなって……」
神代は、遠慮がちにそう言った。
指を絡ませ繋いだ手に、力がこもるのが分かった。
まだ夢の中にいる。
俺は気付かれないよう、細く溜息を吐き出した。
ずいぶんと夜はふけている。
また俺の部屋で、壁にもたれ二人で話をしていた。
ずっと同じ光景の夢だが、先程までとは別の日の記憶だ。
「あんまり、こういう言葉は使いたくないけど……記憶障害、とか……」
また始まった――。
砂糖漬けのように甘ったるい時間を引き裂く、気怠い瞬間。
つい数分前まで、あんなにエロいキスをしていた同じ唇で、よくもそんな話を、と夢の中の俺は呆れた。
「ちゃんと治療すれば、酔った時の事も、忘れずに済むかも……」
少し明るい口調で言うと、ちらりとこちらに顔を向けたが、俺は正面を見つめたまま何も答えず黙っていた。
神代は、俺が朝になって目覚めると、酔った時の全ての記憶を忘れている事が余程気にくわないようだった。
どうにかならないかと一人で模索しているようで、こういうところだけ、妙に医学部生らしい。
俺に言わせれば、そこがいいんじゃないか、と思う。
何をしても、どんなに人に言えない関係になろうと、朝になれば綺麗さっぱり忘れている事が――。
神代もそれを楽しめばいいのにと思う。
なのに先程の発言は、このあざとくて賢い、何でも手に入れられる、もう一人の俺を消そうとしているようで、何となく腹が立った。
「本当は全部覚えていて、忘れた振りをしてる……とかじゃ、ないですよね?」
もはや返事をしたかも不明。
しなかったのかもしれない。
数分前の心地良い時間が帳消しになるほど、つまらない時間だった。
しばらくして神代は、正面に向き直った。
そして途方に暮れたようにつぶやいた。
「どうして、忘れちゃうんだろ……」
俺は視線を畳に落とす。
そして思ったままを口にした。
『さあ。忘れたいから、だろ?』
その一言が。
繰り返し続く甘い記憶の中で、唯一。唯一自分が発した音。
言葉としてはっきりと聞き取れる自分の声だった。
自分の声音が耳に残るほど、確実にこの喉を通過して外に排出されたと確信できる言葉だった。
俺の言葉を聞いた神代は、息をつまらせ、隣で固まった。
全てがぴたりと止み、部屋が静かになった。
時折、かたかたと窓が震える。外は風が強いらしい。
時計は深夜3時を回っている。
横目で確認すると、神代はじっと前を見つめたまま黙りこくっていた。
繋いでいた神代の指先から力が抜けていった。
死んでいく手のようだった。
息苦しい時間。
別れ話をしているような重苦しさ。
俺は我慢出来なくなり、繋いだ手と反対の手でスマホを取り上げ、ゲームアプリを開いた。
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しばらくして、ふと思い出す。
そうだ、と繋いだ手を離し、唐突に立ち上がった。
台所へ行ってしゃがみ込む。
冷蔵庫を開けてのぞき込むと、思っていた通り、落ち着いたいちご柄の包装紙が、ちょこんと待っていた。
昨日、学会帰りの助教授から土産で貰い、2つあったのを1つ食べたけど、これが思いの外美味しくて、1つ残ってるから一緒に食べよう、みたいな事を、複雑な表情でこちらを見上げる神代に一方的に喋った。
神代の隣にまた腰を下ろす。
なんかすっごい、やんごとないエクレアらしい……などと言いながら、袋の底面を裏返して店名を確認すると、どう発音するのか分からない、複雑な並びのアルファベットが印字されている。
袋を破いて、やや小振りのエクレアを取り出した。
はい、あーんと言いながら、神代の口元に持っていく。
すると、その表情は明らかに一瞬悩んで曇ったが、仕方なさそうに柔らかく微笑むと、口を開けた。
おいし? そう聞きながら、神代の唇をまた眺めている。余程、好きらしい。
次のひと口は自分が食べようとすると、手からエクレアがすり抜けていき、神代の手に渡った。
エクレアを奪い取ったのと反対の手が、ぎゅっと俺の肩を抱き寄せる。
俺の口元にエクレアがやって来たので、あーんと言いながら、むしゃりと頬張る。やたらと濃厚なクリームが、口いっぱいに広がる。
次のひと口は神代。それからまた俺。顔を寄せ合いながら交互にエクレアを頬張る。
神代はまだ無言で、どこかやりきれない笑顔をしていた。
俺は、肩を寄せ合ってスイーツを食べる楽しさと温もり、にたにたとしていた。
ふた口ほどエクレアを残す頃、いよいよ目の前にある、クリームで艶っぽく光る唇から、目が離せなくなった。
それは、高級感あふれるエクレアよりも、ずっと魅力的に見えた。
神代の頬にそっと手のひらを添える。
舌先を出して顔を寄せる。
形のいい下唇に、舌を這わせて舐め取る。
唇が触れるか触れないかの距離で、好きと囁く。
すると一呼吸おいて、神代は掠れた小さな声で「好きです……真さん」と言った。深く沈んだ声音だった。
それからまた、濃厚なキスをした。
2人分の唾液とカスタードクリームがどろどろに溶け合い、ぐちゃぐちゃに混ぜ合わさる。
両腕を神代の首に回して、強く抱きつく。
顎を傾けてより深みを欲する。
ぐちゅぐちゅと粘液が混ざり合い泡立つ、性的な音。
口の中は、体内なのだと痛感する。
体内で繋がっていると思うだけで脳がしびれる。
肌が火照る。体の中が沸き立つ。
最高だ――。
俺の肩を抱いていた神代の腕に、急に力がこもった。
強く抱き寄せられたと思ったら、身体の向きを変えられ、キスをしたまま、畳の上に押し倒された。
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【後書き】
こんばんは。
前回お知らせしたように、全5話の予定でしたが、最終話が5000文字超えてしまったので、二話に割って、次回が最終話となります。申し訳ありません。
夢で二人の関係を振り返る『ユメカマコトカ』は次回で一旦完結し、その次始まる『ウソカマコトカ2』でやっと本編が動きます。
本当にこんなに長く書く予定では無かったのに、沢山の方に読んで頂けて、ついついダラダラと書いてしまいます。
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