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閑話 恋人の過去を聞く先輩1
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照は夏が嫌いなのだと思う。去年、夏になると照はより一層の喋らなくなっていた。最初は何か怒らせたのかと思ったが、そういう訳ではなさそうだが聞いても教えてはくれなかった。夏休みに入り色々とデートに誘うと行ってくれてはいたが夏祭りは頑なに拒否された。
夏祭りが嫌いなのか夏が嫌いなのかよく分からないが教えてくれないので分かるわけもないと思って、今年も夏祭りは行かないんだろうなぁと考えていると、照は部屋からすら出てこなかった。
夏休みが終わり優希ちゃんたちとお昼を食べながら夏休みの事を話しているとやっぱり夏祭りに行きたがらない照の事が気になっていた。
その後、普通に過ごしており、家に帰り照は寝るために自分の部屋へ入った。私はもう少し照と話がしたいなと思い照の部屋の扉をノックすると「入っていいよ」と言われたので照の部屋に入りベッドに座っていた照の横に座った。
「夏休み明けの学校ってめんどくさいね~」
「そうやね」
「・・・昼のこと怒ってる?」
「なんで?」
「勝手に夏祭りを嫌がるって言ったから色々言われてたでしょ」
「そんな事で怒るわけないやん」
照はあんまり詮索されるのが好きでは無いので昼に余計なことを言って照は怒っているかと思っていたが怒ってはいないみたいだった。
「飛鳥はそんなに気になんの?私が夏祭り・・・いや、夏が嫌いな事」
「気になるよ。照はふざけて笑ったりはするけどあんまり感情を外に出さないし、私が誘ったら断らないのに夏祭りだけは絶対行かないって気にならない訳ないでしょ?」
「あははは!そっか~」
「でも、照が言いたくないことを無理に言わせたくもない!それは何に対しても同じだから!」
照は恋愛感情がないので好きと言わないそれを無理に言わせたくないと思っている。それと同じように照が夏を嫌う理由を無理に言わせたくはないと思っていた。
「そっかぁ・・・・・・ふぅー、よし」
照が深く息を吐き出して頷いて携帯を触り始めてどうしたんだろうと思っていたら照が携帯の画面を突き出して来たので見た。画面には写真が表示されていて照のお母さんとお父さんが写っているが今よりも若いかなと思い、家族写真かな?と改めて見るとある事に気付いた。
「照が2人いる・・・」
その写真には元気にピースしている照と照のお母さんに隠れて顔だけを出している照が写っていた。私は照のお母さんに隠れている方が照なのかなと思った。でも、照は前に3人家族だと言っていたし、照の家族とは何度も会ったことあるが、1度もこんな子に会ったことはなかった。私はもしかしてと思っていると照が答えた。
「亡くなった双子の姉だよ」
「・・・」
やっぱりそうなんだと思った。照が双子だった事にも驚いたが亡くなっていると言われた事に私は何を言ったらいいのか分からなかった。すると、照が昔話をするように話し始めた。
「むかしむかし、ある田舎の夏祭りに8歳くらいの双子の女の子を連れた家族が居ました。その家族は夏祭りを楽しんだ後、帰宅するために大通りの信号を待っていました。双子の姉は元気いっぱいで活発な女の子に対して妹は物静かで内気な女の子でした。横断歩道の信号が赤から青に変わった時、信号を無視した飲酒運転の車が凄いスピードで突っ込んで来ました。そして、信号が変わった瞬間に飛び出していた双子の女の子2人と衝突しました。」
「2人・・・?」
「双子の姉は妹の手を引っ張り一緒に渡ろうとしていたのでした。双子の親は急いで駆け寄り応急処置をしようとしましたが・・・」
「照?」
急に照が喋らなくなったので照の方を見ると照は目を押さえて肩は震えて泣いていた。
「て、照!?もういいよ!言わなくて!」
そう言って私は照に抱きついた落ち着いてもらおうとゆっくり背中を撫でていた。
「・・・即死、やったんやって。当たり所が悪かったんやって。」
「照・・・」
「なんでさぁ、なんで光だけなん?なんで一緒にぶつかったのに光だけ死ぬん?意味分からん。」
照は声を荒げるわけでも泣きながらでもなくただ訴え掛けるよに言っていた。光(ひかる)とは照のお姉さんの事なのだろうと思ったが私は何も言うことが出来なかった。
夏祭りが嫌いなのか夏が嫌いなのかよく分からないが教えてくれないので分かるわけもないと思って、今年も夏祭りは行かないんだろうなぁと考えていると、照は部屋からすら出てこなかった。
夏休みが終わり優希ちゃんたちとお昼を食べながら夏休みの事を話しているとやっぱり夏祭りに行きたがらない照の事が気になっていた。
その後、普通に過ごしており、家に帰り照は寝るために自分の部屋へ入った。私はもう少し照と話がしたいなと思い照の部屋の扉をノックすると「入っていいよ」と言われたので照の部屋に入りベッドに座っていた照の横に座った。
「夏休み明けの学校ってめんどくさいね~」
「そうやね」
「・・・昼のこと怒ってる?」
「なんで?」
「勝手に夏祭りを嫌がるって言ったから色々言われてたでしょ」
「そんな事で怒るわけないやん」
照はあんまり詮索されるのが好きでは無いので昼に余計なことを言って照は怒っているかと思っていたが怒ってはいないみたいだった。
「飛鳥はそんなに気になんの?私が夏祭り・・・いや、夏が嫌いな事」
「気になるよ。照はふざけて笑ったりはするけどあんまり感情を外に出さないし、私が誘ったら断らないのに夏祭りだけは絶対行かないって気にならない訳ないでしょ?」
「あははは!そっか~」
「でも、照が言いたくないことを無理に言わせたくもない!それは何に対しても同じだから!」
照は恋愛感情がないので好きと言わないそれを無理に言わせたくないと思っている。それと同じように照が夏を嫌う理由を無理に言わせたくはないと思っていた。
「そっかぁ・・・・・・ふぅー、よし」
照が深く息を吐き出して頷いて携帯を触り始めてどうしたんだろうと思っていたら照が携帯の画面を突き出して来たので見た。画面には写真が表示されていて照のお母さんとお父さんが写っているが今よりも若いかなと思い、家族写真かな?と改めて見るとある事に気付いた。
「照が2人いる・・・」
その写真には元気にピースしている照と照のお母さんに隠れて顔だけを出している照が写っていた。私は照のお母さんに隠れている方が照なのかなと思った。でも、照は前に3人家族だと言っていたし、照の家族とは何度も会ったことあるが、1度もこんな子に会ったことはなかった。私はもしかしてと思っていると照が答えた。
「亡くなった双子の姉だよ」
「・・・」
やっぱりそうなんだと思った。照が双子だった事にも驚いたが亡くなっていると言われた事に私は何を言ったらいいのか分からなかった。すると、照が昔話をするように話し始めた。
「むかしむかし、ある田舎の夏祭りに8歳くらいの双子の女の子を連れた家族が居ました。その家族は夏祭りを楽しんだ後、帰宅するために大通りの信号を待っていました。双子の姉は元気いっぱいで活発な女の子に対して妹は物静かで内気な女の子でした。横断歩道の信号が赤から青に変わった時、信号を無視した飲酒運転の車が凄いスピードで突っ込んで来ました。そして、信号が変わった瞬間に飛び出していた双子の女の子2人と衝突しました。」
「2人・・・?」
「双子の姉は妹の手を引っ張り一緒に渡ろうとしていたのでした。双子の親は急いで駆け寄り応急処置をしようとしましたが・・・」
「照?」
急に照が喋らなくなったので照の方を見ると照は目を押さえて肩は震えて泣いていた。
「て、照!?もういいよ!言わなくて!」
そう言って私は照に抱きついた落ち着いてもらおうとゆっくり背中を撫でていた。
「・・・即死、やったんやって。当たり所が悪かったんやって。」
「照・・・」
「なんでさぁ、なんで光だけなん?なんで一緒にぶつかったのに光だけ死ぬん?意味分からん。」
照は声を荒げるわけでも泣きながらでもなくただ訴え掛けるよに言っていた。光(ひかる)とは照のお姉さんの事なのだろうと思ったが私は何も言うことが出来なかった。
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