48 / 51
第7章 始末
48: 顛末
しおりを挟む神無月は、生指の柏崎から梅乃木大明神事件の顛末を説明された。
少年課を含む警察の動きは、神無月の予想を超えて遙かに速く、深く進展していたようだ。
そしてその動きは、子供達を使った代理戦争に一時、収斂されたという事なのだろう。
梅乃木大明神の決闘も全部、その直前に警察とこれに関係する数人の大人達によって回収されていた。
回収しきれなかったのは、勢い込んで決闘場所に向かった中学生の二人だけだったらしい。
つまり、取るに足りない動きとして、無視されたという事だった。
あの時、亀谷が梅乃木大明神に姿を見せたのは、おそらく亀谷の個人的な思いからではなかったか、と神無月は思っていた。
いや、やっぱりあれは酒飲みの瘋癲親父がうろつきまわった末の、単なる偶然か?、、まあどちらでも良いことだった。
所詮、一般人の神無月に、刑事がやるような潜入捜査の中身が判るはずもない。
ただリンジーの店で、神無月が起こした喧嘩について、あの亀谷が少しでも考える所があってくれればという願いが神無月にあっただけの話だ。
結局、岩田もあっけなく、あいりん地区内で警察に保護されている。
しかし柏崎によると、少年課が関わる普通のケースでは、これ程、物事は劇的に動いたりはしないそうだ。
岩田の保護にしても、何か別の事案を警察が追っていく中で、たまたま生まれた副産物のような感じだったのではないかと柏崎は言った。
一方、街では不法駐留外国人の検挙が大量にあった。
だが王の方は、引き続き買い占めをやっていて、そちらの状況は変わっていない。
つまり、いつ岩田が暴発するか判らない状況が続いていた。
だが、一つだけ朗報があった。
それは岩田の父親がふらりと家に帰ってきたという事だった。
加賀美は頑張って、この父親との関わりを深めると言った。
「だって岩田を責めたってしかたないじゃない」と。
それはそうだと、神無月は思った。
「先生、今度、岩田の所へ一緒に家庭訪問しません?あっそう言えば、神無月先生、あれだけやってくれたのに、岩田の顔一度も見たことないでしょ。」
「一度も、、?そう言えばそうですね。」
加賀美に指摘されて神無月は始めてその事に気付いた気がした。
岩田の顔は生徒手帳の写真でしか知らないのだ。
それなのに始めてという感じがしない。
何時も会っていたとは言えないが、いつも気に掛けていたように思う。
すこしして、神無月はその訳に気がついた。
神無月はキョウに岩田の姿を重ねて見ていたのだ。
もちろん岩田本人に会えば、そんな思いは霧散してしまうだろうが、きっと岩田を追いかけている時は、知らない内に、自分はキョウを追いかけていたのだろうと思った。
「でも俺には、岩田の境遇と良く似た友達がいてですね、、何か、岩田と会ってもいないのに、アイツとの距離感がゼロだったんですよね。」
神無月は特に口にしなくても良いことを言ってしまった。
相手が加賀美だからだ。
なんでも、どんな事でも、この人なら全部受け止めてくれる。
そう感じさせる部分が、この加賀美という教師にはあった。
「そうなんですね。だったら、そのお友達にも、お礼を言っておいて下さい。、、あら私ったら、まだ終わったわけでもないのに。」
久しぶりに加賀美が、花の咲くような笑いを見せて言った。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる