227 / 410
本編 学園中等部編
80 sideリヴァイ
しおりを挟むその日の放課後、ルーカス達は生徒会室で会議を行っている。
「7の月19の日にある体術大会について話し合う。この中で、大会に出る者は名を上げろ」
生徒会では、エドワード、アドルフ、アシェル、ルーカスが出るようだ。
「1週間前からは他の者達で仕事を回してくれ。配分は──……」
そして会議が終わると、エドワードがルーカスの元へ行く。
「ルーカス、アレイルは大会に出場するのか?」
「いえ、出ないと言っておりました」
「護衛はどうするのだ? リヴァイに頼むか?」
エドワードが尋ねると、ルーカスはリヴァイの方を一切見ずに、答える。
「リヴとキャシーは生徒会の仕事があるので、エイルに頼もうかと」
「そうか。護衛だけはしっかり付けておけ。最近馬鹿な者達が多いようだからな」
「はい」
そういうとエドワードもルーカスも自分の仕事に戻った。
……今日は朝から一日、殿下とは全くと言って良いほど目が合わない気がする。
ルーカスは無意識のうちにリヴァイと話す頻度を減らしていた。
その後も仕事の事でルーカスに質問に行っても、何時もより簡潔に答え自分の仕事に戻って行く。
しかし、リヴァイから見ても機嫌が悪そうでもなく、いつも通りのように思えた。
……私の勘違いだな。
その後、見回りを終えて寮にルーカスを送りに行こうとした時、リヴァイはソフィアに呼び止められた。
「リヴァイ、少し良いですか? キャシー、ルーを寮まで送って貰えますか? 私は後でリヴァイに送って貰うので、ティファとグレースも先に帰っていて下さい」
それを見た皆は不思議そうにしたが、真剣な面持ちのソフィアに邪魔をしまいと直ぐに帰って行った。そしてキャサリンもソフィアに了承の返事をして、ルーカスと共に帰って行った。
生徒会室にはソフィアとリヴァイだけとなる。
「どうされましたか?」
「単刀直入に言います。リヴァイ、どうしてルーの誘いを断られたのですか?」
ソフィアが真剣な表情で尋ねると、リヴァイは少しだけ後ろめたそうな表情をして言う。
「……私は口下手なので、殿下と出掛けたとしても、殿下に楽しんで頂けないと」
「ええ、そうですね。それはルーから聞きました。しかし、それは建前ですよね?」
ソフィアの言葉に、リヴァイは目を見開く。
ソフィアはルーカスにリヴァイが断った理由を聞いた時から、建前であると確信していた。
ルーカスが自分との会話を楽しんでいることをリヴァイが分かっていると、ソフィアは知っている。
その為、ルーカスが自分といて楽しくないと思うのは、絶対に有り得ないと思った。
「私は貴方の本心を尋ねているのです」
その言葉を聞き、リヴァイはソフィアから目を逸らした。
わかっている。殿下は、私との会話の時間をいつも楽しそうに過ごしてくださる。だが、それは……
「私は殿下を愛しているのです。しかし殿下は、私の事など眼中にありません。私はそれが耐えられません。
殿下と遠乗りをして、出掛けて楽しく過ごした後、私はまた現実に戻される。殿下は、私を側近や友人としてしか見ていない……」
リヴァイは苦しそうにそう嘆いた。
「ルーが貴方に恋情を抱えているとは思わないのですか?」
「有り得ません。殿下は、私の恋路を全力で応援すると仰られました。ソフィア様は、好いた相手が自分でない誰かに与える愛情を応援する事が出来ますか?」
「それは……」
ソフィアは言い淀む。ルーカスがリヴァイに恋路を応援すると言ったのは、ルーカスが自分の恋情に気づく前の事であった。
しかしルーカスの性格上、リヴァイに対する恋情に気付いた今でも、彼はリヴァイの恋路を全力で応援するのだろう。
「私は、応援など出来ません。殿下が私以外の者を愛するのならば、殿下を傷付けてでも私のものにしてしまいたい。
こんなにも醜い感情を、殿下に知られてしまったら……」
自分の気持ちを伝えられず、こんなにもうじうじと悩む臆病者の私には、恋愛など向いていないのだろう。
2人は互いに想いあっている。一方は重く独占的な黒い愛情を。もう一方は独占欲の無い、白い愛情。両極端な想いがある事をリヴァイもルーカスも気付かない。
ルーカスの想いを知っていても告げられない、そんな状況にソフィアはもどかしく思う。
そんな状況の中、生徒会室の扉がガチャリと音を立てて開いた。話に集中していた2人は、扉の向こうに人がいた事に気付かなかった。
側近達は皇族を守る為に、学園内での帯剣が許されている。リヴァイは急いでソフィアの前に立ち、剣の柄を握った。
23
あなたにおすすめの小説
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
嘘はいっていない
コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。
バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる